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おねえさんはエコバックを肩に原付で異世界を爆走中  作者: 浦 かすみ


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第十ニ話 旅は道連れ世は情け、原付バイクはステルス中



 いや、えっとホホラマウントから当たってきたんだよ。逃げようとしたけど、ドーンとね?そうしたら、ホホラさんってば勝手に飛ばされちゃって、打ち所が悪かったみたいな?


 私の凄腕冒険者疑惑に興奮しているリライさんに、何とかしているうちに、あら不思議!ホホラマウント倒しちゃった!の説明をした。


 リライさんは私の苦し紛れで適当な説明に何度か首を傾げていたけど、取り敢えずは納得してくれたようだった。


「でも、ホホラマウントなら高額買取は間違いないぞ。良かったな」


 私はリライさんに頭を下げた。


「そういうわけで護衛の料金は買取後の後払いになりますが、それでよければ護衛お願いします」


 私とリライさんは握手した。契約成立だね!


 リライさんは立ち上がると、先程私が入っていた洞窟の入口を指差した。


「あそこに洞窟があるな。あそこで休むか?」


 冒険者さん的にも、あの洞窟は使って大丈夫みたいだね。私ってば迂闊に何も考えず、洞窟に入っていたけど少し安心した。


 リライさんは先に洞窟に入ると、中を確かめてくれているみたいだ。


「大丈夫みたいだ、灯りをつけるから待ってて」


 リライさんはキャンプでよく見る携帯ランプっぽいのをウエストポーチから取り出して、床に置いた。


「魔獣避けの結界石もあればよかったけど、ヴェルダムに取られちゃったからさ。安眠は難しいけど夜番はしっかりするから任せてくれ」


「結界石?」


 聞き慣れない言葉に反応した私に、リライさんが説明してくれた。


「主に野営する時に使うんだ、魔獣や魔物や害意のある生き物が入れないように魔術結界を張る魔石だ。結構な値段するんだよ。ヴェルダム腹立つな〜」


 ちゃっかり金目の物は盗っていくヴェルダムさんにムカつきつつも、アイツらに天罰下りますように……と、祈っておいて上げた。


「多分、近くに獣とか何もいないと思うよ」


 リライさんに安心して欲しくて、原付バイク様からの、ここ安全!情報を伝えた。


 リライさんは洞窟の奥を見て、私を見て……を繰り返してから目を見開いた。


「もしかして、ハヅキは探索スキル持ち?」


 探索……それは持ってないけど、原付バイク様が警告音出してないので安全だと思ってる。でもリライさんは探索スキルを持ってるよね?恐らく今、探索スキルで洞窟の中を確認していたんだと思う。


「いえ、探索はないけど……なんとなく安全かなと思って」


 リライさんは苦笑いを浮かべてから、地面に座り直している。私も腰を下ろした。


「俺は持ってるから、事前察知は出来ると思うよ」


 あ、探索スキルは私に隠さないんだ。


 保冷エコバッグ様を胸の前に抱え直して、洞窟の壁に凭れかかった。


 ランプの灯りが、胡座をかくリライさんをボンヤリと照らしている。


 リライさんは異世界人の私から見ても、中肉中背の良くも悪くも普通の若者って感じの人だ。


 勿論、私よりは目鼻立ちはっきりしていますけどね。え?お前は平べったい顔だって?


 心の中で一人ツッコミをしていたら、睡魔が襲ってきたみたいだ。


 その後、私も夜番代わります……と、伝える前に寝落ちしてしまったみたいだった。


 自分の首がガクッと下がった驚きで目を開けたら、少し外が明るくなりかけていた。

 

「あ、さ?」


 私の声にリライさんがこちらを向いた。


「おはよう、起きたか?」


「ぉはょぅごじゃぃま……朝!?すみません!寝落ちしちゃってた。夜の見張り変わろうと思ってたのに」


 慌てて飛び起きると、リライさんは携帯ランプをウエストポーチに仕舞いながら笑っている。


「構わないよ。朝の身支度してきてね」


 私はリライさんに謝った後、原付バイク様のリアボックスから除菌シートを取り出して、手を拭いた。


 そして起き抜けの麦茶(万能薬)を飲んで、口を潤した。


 リアボックスの通勤鞄の中の入っている、化粧ポーチを開けて中を覗いた。


「良かったっ!化粧水のミニボトル持ってきてた!」


 出先で簡単に化粧直し出来るように、拭き取りメイク落としと、化粧水のミニボトルがポーチに入れていた。


 ポーチに入れてて良かったよ〜


 洗顔の代わりにメイク落としシートで顔を拭いてから、化粧水を使った。


 ……もしかして、化粧水とメイク落としシートも、復活するのかな?

  

 保冷エコバッグ様に、シートとミニボトルを入れてみた。


 お願いします!エコバッグ様!


 軽くストレッチをしてから洞窟に戻って、保冷エコバッグ様の中から食パンを取り出した。

 

 やった!五枚切りパン、元に戻ってる!


「リライさん、またパンしかないですけど、かまいませんか?」


 リライさんはキョトンとした後に聞いた来た。


「聞くのをわすれてた。ホホラマウントなんだけど、肉は使わないの?パンに焼いたホホラ肉乗せたら美味しいよ。香辛料くらいは持ってるけど?」


 焼いたホホラ肉!?食べたい!食べたいけど……


「私、捌けないので」


 リライさんは微笑んだ。


「なんだ〜早く言ってよ。もし良かったら捌こうか?」


 神様っ仏様っリライ様っ!焼いたお肉食べたいです!


「お願いします、リライさん!」

 


 

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