第十一話 テンプレどおりの嫌な仲間
リライさんが所属していた冒険者チームは、男女四人のランクはCの、中堅クラスのチームだったそうだ。
初期メンバーはリライさんとヴェルダムさんの二人。リライさん達は同じ村出身で都会への就職活動の為に向かった集団の中で、何となく意気投合して冒険者のチームを組んだそうだ。
「ヴェルダムとも最初は、助け合ったり励まし合ったり、関係も悪くなかったと思う。俺が荷物持ちをして、魔法で後方支援。前衛は剣士のヴェルダムという役割だった」
そのチームバランスが崩れたのは、一年前にヴェルダムさんが回復系が使えるメンバーを入れたいと言い出してからだったらしい。リライさんの意見は聞かずに、若い女の子を加入させたそうだ。
「冒険者チームってのは、大体が同性同士でチームを組みがちになるんだ。男女間の恋愛トラブルが多いからなんだけどね。ヴェルダムは、新しい女性メンバーのメーシーと、そういう関係になった。それは別に構わなかったんだ。討伐や依頼に支障がなければ」
ヴェルダムさんが更におかしくなったと感じたのは、今年に入ってまた新しくチームメンバーを入れたいと言い出したことだったそうだ。
それもまた女の子、その子もヴェルダムさんと関係を持っていたらしい。
「ヴェルダムは女性二人との関係を隠すことなくってさ……またメンバーを入れたいと言い出したんだ。勿論、女性だけどね」
うはぁ……ヴェルダムさんって、本当にテンプレみたいなハーレム展開する人だね。
ヴェルダムさんが見た目が自分好みの女性ばかり連れて来たせいか、彼女達の冒険者レベルは低くかったらしく、リライさんの持つスキル『経験値譲渡』を使って彼女達のレベルを上げろ、と散々せがまれたらしい。
「ヴェルダムにスキルのこと教えなきゃ良かったんだけど、教えたのは子供の時だったから、何も考えてなくてさ。今になって後悔してる」
「あ〜それでさっきの私のスキルは隠しておけに、繋がるんてすね」
「そういうこと。アイツら、俺に経験値を積ませて自分は譲渡してもらえばいいって思ってたみたいで、俺にだけ経験値を積ませようとして、一人で戦わせようとしたり。無理矢理、高難度の依頼受けて俺に押し付けてくるようになってさ。それでも友達だし、我慢してた……だけど喧嘩になってルーシーやザナも一緒になって殴ってくるし、女とはいえ、三対一だぜ?もう嫌になってそのまま逃げてきたわけ」
あ……まさしく、着の身着のまま這這の体ってやつだ。
「高難度ダンジョンの中から一人で脱出するのに、何日もかかってしまった。そんな訳でも食料も底をついてしまったし、ダンジョンから少しでも離れようとして倒れてしまったんだ」
「大変でしたね」
リライさんは苦笑いを浮かべている。
「田舎から一緒に出てきて、上手くやってるつもりだった。あ〜情けない、しかも初対面のハヅキに愚痴ってしまった。ごめんな」
同期の同僚の愚痴、言いたくなるよね〜分かる。しかも幼馴染だし、生々しいエロネタで悲しいし、ショックだと思うよ。
私に愚痴って少しさっぱりしたのか、リライさんの表情は明るくなっていた。
そして、周りをキョロキョロ見ていたが、再び私を見ると首を捻っている。
何だろ?
「今更だけど、連れの人はいないのか?ハヅキはまだ若いんだし不用心じゃないかな?」
ん?若い?どこにそんな人いるの?……私のことかーい!
「いやいや、私はリライさんが思っているより年上だと思うよ?」
そう言うとリライさんは疑ってるのか、私の全身を見てきた。
「いや、ハヅキは十代だろ?変わった服装だけど、どこかの学校の制服だろ?」
学生!?ただのアラサーの地味スーツが制服に見えていたとは!
「その学生の年齢に十を足した年齢が私の年齢です」
私の大体の年齢が分かったみたいで、リライさんは驚愕の表情を浮かべていた。
「ま、まあそれでも女性の一人旅は危険だよ。もしよかったら、俺を護衛として雇わないか?……本音を言えば俺の食料事情もあるし、近くの街まで同行してもらえると有難い」
リライさんは正直だね!
リライさんの鑑定で本人の性格までは分からないけれど、レベルとスキルをみた感じでは、彼は冒険者として有能な方だとみたよ。
しかし、こちらにも切実な事情がある。護衛してくれるのは有難いけど……
「実は……私、お金を持っていなくて、リライさんの護衛代を払えるかどうか分からないのです。今からさっき捕まえた獣をギルドに買取してもらいに行こうとしていたくらいなのです」
リライさんは一瞬目を丸くしたが、嬉しそうに笑った。
「護衛代はハヅキの無理のない範囲でいいんだ。食料を分けてもらえるだけでも助かるし!それにしても、どんな獣を売りたいんだ?」
「え〜と、ホホラマウントかな?」
「……何だって?」
「ホホラマウント、です?」
リライさんがフリーズしている。
鑑定でホホラマウントって名前を見たんだけど、合ってるのかな?
「本当に、ホホラマウントなのか?」
リライさんが疑いの眼差しで見てくる。
そんなに疑うなら、お見せしましょうよ!
保冷エコバッグに手を突っ込んで、ホホラマウントをリライさんの前にドーンと、取り出した。
「ホ……ホラマウント!?」
リライさんがホホラマウントを指さして絶叫している。
さっきからそう言ってんじゃん?
「ハヅキ、さっき捕まえたとか言ってたけど、ホホラマウントってBランクの魔獣だよ!?単独討伐はSランク以上持ってなきゃヤバいレベル何だよ!どうやって戦ったの!?怪我はしてないのか!?ハヅキって凄腕のハンターなのか!?」
「……」
リライさんが興奮して凄い剣幕で詰め寄ってきます。どうやって戦ったなんて聞いてきますが、ただ原付バイク様と正面衝突しただけです。
凄いのはホホラマウントをぶっ飛ばした、主人公の原付バイク様なのです。




