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おねえさんはエコバックを肩に原付で異世界を爆走中  作者: 浦 かすみ


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第十話 魔法の瓶だった(中身)

 


 リライさんは、おろし金で擦り下ろした大根おろしをのせてハフハフ言わせながら、アジの開きを食べている。


「これ、美味しいな!昔、食べたことのある干物ってもっと辛くて食べれたもんじゃなかったよ」

 

 リライさん、それってもしかして天日干しのうるめいわしみたいな魚を、塩抜きしないで食べたんじゃないの?


 アジの開きをリライさんと半身に分けたので、私も大根おろしをのせていただいた。


 ぅうんまあああ!!


 やっぱり日本人はヒカリモノだよ。ああでもお米があるのに、ご飯炊けないよ。鍋買うぞ、絶対買うぞ!


「本当助かったよ。自分でもさすがに今回はヤバいかな、と思っててさ。ハヅキのくれたお茶飲んだら、一気に体が楽になったよ。あれって回復薬なの?」


 リライさんの問いかけに、ビックリしてしまったよ。


 なんだってぇ?!ただの麦茶だよ!回復薬なわけないってば!


 「いや、お茶だと思う?けど……」


 もうなんでもありな気がするので、確かめてみようと保冷エコバッグ様の中から、麦茶が入った魔法瓶を取り出した。


 ええ……もう驚きませんよ。たっぷりと中身が補充されて入っております。


 麦茶の入った魔法瓶の蓋を開けて中を覗きつつ、小声で、鑑定と呟いた。


『深蒸し黒豆麦茶(異世界仕様)体力、魔力を全回復。ほとんどの病気、怪我、状態異常の全回復。』


「……」


 なんこれ?麦茶じゃないよ……もはや万能薬だ。


 マジこの麦茶持ってたら死ぬことないじゃん。


「ハヅキって鑑定スキル持ってるんだ、お茶なんだって?」


「イエ、フツウノオチャデシタガ?」


 咄嗟にリライさんに嘘をついてしまった。


 これは絶対にバレてはいけないことだと思った。


 リライさんは首を傾げながら、でも体の調子良いんだよなぁ〜と、呟いている。


「倒れてたのは、どこか調子が悪かったのですか?」


 そうだ!この話の流れで、リライさんに聞きにくい所を聞いてしまおう。


 リライさんは、表情を硬くすると苦笑いを浮かべている。


「さっきもちょっと言ったけど、チームを組んでダンジョンに潜って、魔獣討伐や宝物を見つけたりしていたんだけど……チームリーダーから、クビを言い渡されてしまってさ。揉めた時に金目のもの全部取られて、ダンジョンに置き去りにされてしまったんだ。何とか脱出して少しでも遠くの街に行こうとして、今に至るかな?」


「……っそれって!」


 異世界小説テンプレ来たーー!!


 勇者パーティをクビになったが、その後勇者にざまぁが発動し、役立たずだと思われていたクビ主人公が、実は凄かった系の、例のあれ?あれなの!?


「ちょっとっ!リライさんの居たチームって勇者がいるの?勇者なのかな!?どうよ!?」


 興奮してリライさんに、にじり寄るとリライさんは仰け反りながら首を横に振った。


「いやいや、勇者じゃないよ。それに勇者ってあれだろ?去年、魔王倒したよね?それで確か何百年かは魔王が生まれないんじゃなかったかな」


「……そう、魔王討伐祭りは去年終わってたの」


 なんてこと……魔王討伐の流行りに乗れない時期に異世界召喚なんて。神様、何やってんのさ!


 原付バイク様とエコバッグ様が活躍する展開が無くなるじゃない!


 「俺からもいくつか聞いてもいいか?」 

 

 リライさんは原付バイク様をチラチラ見ている。


 あ〜気になるよね?私の愛車だけど、異世界仕様の主人公様()になっちゃってるのよ。


 この世界で見たことないバイクだと思うし、気になるよね?


「さっきから、あの辺りで空中に異空間開けて、食材取り出してたけど、ハヅキってアイテムボックススキル持ってるの?」


「え?」


「いや、そこで異空間開いてただろ?さすがに俺も気付くって。でも迂闊すぎるよ。()()()()()()から物を取り出していたら、スキル持ちだと気付かれるし、悪い奴に捕まることもあるから、使う時は気をつけた方がいいと思う」


 何も無い空間……いや、あそこには原付バイク停めてるし、リアボックスから取り出してるし。


 私は原付バイク様の所に駆け寄った。


 確かに、原付バイク様は居る。でもリライさんには見えてない?


「バイク……見えてないの?」


 私の呟きに原付バイク様の、タッチパネルモニターが反応した。


『只今、ステルス機能発動中……操縦者以外には原付バイクは見えておりません』


 流石、主人公様!


 魔王討伐祭りには混ざり損ねたけれど、自身を守る機能は充実していらっしゃいますね!


「スキル持ってると狙われるのね、気を付けます」


 リライさんは真剣な表情になると何度も頷いている。


「ハヅキの田舎じゃ、多分そんな悪い考えを持つものなんていなかったんだろうな。でも特殊スキル系は余程のことがない限りは秘匿にしておいた方がいい。じゃないと、俺みたいに……なる」


 おっ!?もしや、チームをクビになった経緯を話すのかな?


 でも、どうしてクビになったんだろう。さっき鑑定したリライさんのステータス、結構すごかったよね。チームに一人は欲しい人材だと思うよ、


 あの特殊スキル持ってたものね。……『経験値譲渡』スキル。


 このスキルって、他人に経験値をあげること出来るんだよね。リライさん、もしかして本当に搾取されてたのかも。




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