99話 結局、そこ
休憩を申し出たので、お茶タイムになった。
だがタガセンも高田の爺ちゃんもなんかやる気満々になっている。
そんなに帰りたかったんだ……。僕も頑張って探すね。
それから頑張って探した。太い壊れそうな古い本を、そっとそっと棚から床に出す。
気を使う分、疲れるな。
でも、結構見つかった。
過去に召喚された日本人はあちこちに書き残していた。
日本人だけでなく、外国人が召喚された時代もあったようで、外国語の文章も発見された。
もちろん、読めない。英語が苦手以前にグニャグニャ一本線で書かれた外国語だった。最早、模様だ
日本語でもあまりに崩れた文字は読むのに難儀した。
けど、日本人はマメなのか、丁寧に残されているのが多い。
しかも図解、イラスト付きもあった。四コマを発見した!
「太郎君に見せたかったあー」
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もっぱら、文章を読み解き明かすのはタガセンと高田の爺ちゃん。僕は、『あっ』と思ったのを運ぶ役。
文献で明らかになった事実。
『境の頂の塔には12の召喚陣がある』
うん、それは、あそこに行ったから解ってる。13階建てで、各階に召喚陣があったからね。
『一度召喚を行うと帰還を行うまで次の召喚は行えない』
召喚と帰還でワンセットなのか。
つまり同じ召喚陣で何度も続けて召喚ばかりを行えない、と。
そうだよね、そんなに次から次へと召喚されたらたまったもんじゃない。
ちゃんと帰してからにして。
『12の陣のどれかが作動中の時それの帰還が済むまで他の陣の召喚は行えない』
これ、どういう意味だろう?
「12国が一緒に召喚と帰還をしないとダメって事? でも今回って7国なんだよね?」
「一緒、ではないんだろう。召喚と帰還でワンセットとなっていたから、どこかが召喚中の時は他の国のフロアが使えなくなる」
「つまり今回も7国全ての帰還が終わるまで、次の召喚は出来ない、と」
「ですね。今回、4国の帰還が終わっていない。もしも、このまま召喚された地球人が全員死んでしまったら、今後二度とあの塔は使えなくなるのかもしれないな」
「という事は、過去の召喚では必ずどこの国も帰還をさせていたのか」
「でしょうね。でなければ、今回召喚が出来なかったはずだ」
「過去に12国の召喚を行った際は、12国必ず帰還を行ったのか。残った者もおったじゃろうに。恐らくはひとりでもいいから帰還させたんじゃろうな」
「だから、異世界の話が昔から伝わっていたのかもしれない。時間の捻れはあったかもしれないが、帰ってきた者がいなければ、これほど伝わりはしないだろう」
「一番初めに、誰があの塔を作ったんだろう?」
「さぁな。そのあたりは文献にも残されていなかった。過去召喚された日本人にも見つけられなかったか。何者があの塔と召喚のシステムを作ったのか」
「それはわかりませんが、昔は国同士も交流が盛んだったのかもしれませんね。12国同時召喚なぞ、交流が無ければ出来ないでしょうからな」
「だが、それも徐々に廃れて、国家間が疎遠になった。いつから12ヶ国でなくなったのか。5ヶ国の行方はどうなっているのか」
「僕たち魔石を集めても、この国の召喚陣では帰れないのかぁ。連続帰還はダメなんだよね」
「誰かを召喚すれば帰還が出来るが……。結局、人数オーバーになるな」
「それにまだ4ヶ国が未帰還のままだ。この国で新たに召喚は出来ないぞ」
「そうだった」
「仮に新たに召喚をするにしても、残り4ヶ所の帰還をしないとならん」
「結局、どこかの国の召喚陣を使うしかないなら、ディサートだな」
「人数に空きがあるのはディサートか」
「でも、あっちももう帰還しちゃってたら……」
「確実に空きのあるディサートが帰還使用済みだった場合、アンブリア、フォーレスタ、ウッダレジオンの3国を訪ねてみる。現在まだ未帰還だからな」
「情報の無い国か……」
「アンブリア国が確か山岳地帯」
「フォーレスタ国とウッダレジオン国は森林地帯か」
「行くしかない、か」
勝手な想像だけど、なんか意地悪そうな国で嫌だなぁ。
だって国同士で仲良くしようって声をかけても無視してる国なんだよね。
やだなぁ。ツンデレならいいけど本当のツンツン系だったら嫌だなぁ。
綾香さんが言ってた。
ツンツンしてもいいけどデレ部分は大切なのよって。
僕んちの椿さん(姉)は、僕にツンツンしているけど隠れデレなんだって。
ちょっとよくわからない。ほんとかなぁ。僕、椿さんのデレって見たことない。
フォーレスタもウッダレジオンも森林民族か。
引っ込み思案なのかな。
話してみたら案外良い人だったらいいんだけどな。
タガセンも地獄の鬼みたいに言われていたけど、普通に頼れる先生だったから、うん、希望は持っていよう。
タガセンと高田の爺ちゃんは僕を必ず帰すって言ってた。
でも、僕は、自分が帰る時はタガセンと爺ちゃんも一緒に帰るって決めている。
「今回、他の国に召喚された全員を救えるとは思っていない。けど、できる事はやってから俺たちも帰還しよう」
『俺たちも帰還しよう』、タガセンはそう言ってくれた。
だって、『イチクミ』にはタガセンが必要なんだ。じゃないとただの『1組』になっちゃう。なんだかんだ言ったって赤城君達も絶対タガセンの帰還を望んでいるはず。
-----(その頃の地球)-----
「ポチャ次郎、無事かなぁ」
「心配だな、あいつ斜め上な失敗するからなぁ」
「大丈夫よ、ポチャ次郎君はきっと戻ってこれるわよ」
「ポチャの事だから、うっかりタガセン連れて戻って来そう〜」
「うわぁ、やりそうだな。ポチャ、くれぐれも、ひとりで戻ってこいよ!」




