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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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79話 イチクミ一丸となって

 縮地チームが戻って来た。交代で魔法移動チームがタガセンと共に消えた。

 その後に漆原さんだけが戻ってきた。



「漆原ぁ、お疲れー」

「漆原、ご苦労様」


「タガセンから伝言。なんかね、コスタルの国境は簡単に越えられそうって。ウッドランドの時より、解放的な感じ。だからこのまま、千谷達魔法移動チームと国境まで徒歩で近づいてコスタルに入るって」


「って事はそのメンバーでめぎ中がいる所まで行くつもりか」


「うん。だからコスタルの使者さんも連れていったんじゃない? 私は縮地チームを連れて帰還しちゃったけど」



 魔法移動チーム、千谷君、船橋君、鈴山田さん、百野さん、ファリタさんの5人。

 それとタガセンと使者さんが現在コスタルの国境を越えつつあるみたい。



「しまった! ファリタを連れて行かれたぁぁぁ」


「ちょっと、漆原の話だと、今回魔法移動チームは暫く戻ってこれないじゃない! どうすんのよ」


「くぅっ、この作戦は魔法移動のファリタがいないと成功しないぞ?」



 だよね。罠を仕掛けた所まで歩くとなると結構な距離があったもん。タガセンが2〜3時間、絶対に戻らないとかわかっていれば徒歩で行くのもありだけど、急に戻ってきたらマズイと思うよ?

 今、この部屋に残ってる魔法移動スキラーは漆原さんだけ。



「……漆原さん、はもう魔力は使い切っちゃって、疲労困ぱいなんだよね?」


「何よ! ポチャ次郎! 疲れてはいるけど疲労困憊までは行かないわよ! それにアンタ、『疲労困憊』のパイの字書けないでしょ。意味わかって使ってんの?」


「ごごご、ごめんなさい。漢字は書けないけど、あの、疲れたサラリーマンのイメージ……」


「ちょっと! 私とオヤジサラリーマンを一緒にしないで!」


「そ、そうだよね、漆原さんは若いからまだ全然イケるよね?(何がイケるかわかんないけど) ごめんね、ごめんね」



 突然、赤城君が僕の両肩に手を置いた。



「でかした! ポチャ次郎」



 な、何が???

 僕の横で日向君が漆原さんの両肩に手をポンと置いた。



「漆原、そうか、若いもんな。まだまだ行けるよな?」


「ちょ、何がよ? どこに行くのよ」


「ファリちゃんの代わりに漆原ゲットね。漆原ぁ、ちょっと飛んでほしい場所があるの」



 日向君が、さっきの話をザッと漆原さんに聞かせた。



「赤城、百目木、太郎、行くぞ! 漆原、よろしくな」



 漆原さんが深くため息をついてから、一瞬僕を睨んで、そして日向君達と共に、消えた。

 さっき言ってた『罠』の場所に飛んだのかな。


 僕はタガセンが戻ってきたらどうしようと、ハラハラしていた。



 10分くらいで5人が戻ってきた。



「あー、疲れた」



 漆原さんはブツブツと文句を言っていたけど、日向君達はホクホクした顔をしていた。



「いやぁ、大量大量。置いといた罠、全部かかってた。一体だけ腐ってたから赤城に燃やしてもらった」



 太郎君もニヤニヤと笑っていた。



「何体獲れたの?」


「おう、梁井。あそこにあった罠に鹿1体、猪4体、狼3体かかってた」


「へぇ。このお城近くにも獣って結構居たんだね」


「あ、地球のに似てたから勝手にそう呼んだけど、若干の違いはあった。角とかデカかったな」


「あれ、鹿じゃなくてトナカイじゃないか?」


「猪は鼻が大きすぎ」


「魔物じゃないよな? 解体する時間はないからそのまま亜空間に突っ込んできた」


「董明ぉ、ちょっと来てくれ。魔物か獣か判別できるか?」



 董明さんだけでなく、もう、イチクミ全員が僕らを囲んでいた。

 日向君が作戦をみんなに説明していた。



「流石だ、日向。抜け目がない。あ、これ、褒め言葉な」

「だよな、必要だよな。俺たちが使えるお金が、さ」

「董明に見てもらおうと思って」

「書物に載ってたものしか判断出来ないわよ」

「いい、いい。獣か魔物かがわかれば」

「と言うか、日向君も太郎君も鑑定を持ってるじゃない」

「そうだったー! 書物の知識より鑑定のが確実だったわ」

「よし。日向、出すぞ? 鑑定しようぜ」




「なぁ、もっと罠、しかけておかないか? 今後も稼ぎたいじゃん」

「そうだよ、俺らは魔力石取りがメインになるから、生産チームが俺らイチクミのサイフを握る事になるな。特に、ポチャコンビ」

「おう! まかせとけ」

「罠を仕掛けるにしても、またあそこまで飛ぶのか。漆原?」


「ちょっと! 少しは休ませてよ! 鬼!」


「あ、日向ぁ、タガセンにバレても怒られないように何か言い訳を考えておいたほうがいいぜ」

「そうだな」


「言い訳ではなくて、ちゃんと田川先生に話しなさい」



 あ。高田さんの存在を忘れていた。みんな慌てまくった。


 その後は落ち着きを取り戻して、クラス会議を始めた。議題はタガセンへの説明について、だ。



 タガセン達が留守の間にクラス会議で色々と決まった。



「じゃあ、そういう事で。鈴山田達には戻ってから了承を得る。タガセンに話すのはそれからだな」


「黒板もタブレットもないのって結構不便よね」


「董明、ノートにまとめておいてくれ」



 ええと、僕と太郎君は、罠を仕掛けるのと、仕掛けた罠をチェックに行く。それを毎日だっけ?

 ギルドに依頼が出ているか確認をする。って、これは誰が行くんだっけ? 何の依頼? 獲れた獲物の買取金額……確認は、いつ、誰がするんだっけ?


 ああ……董明さん、書いたの僕も見せてほしい。今の話し合いで決まった事全部は覚えていられない。

 自分が関係するとこって何だっけ?



「ポチャ次郎は基本、太郎と一緒だから覚えなくても大丈夫だよ」


「やないさん、太郎君のフットワークに僕ついていけない時があるんだけど……」


「そん時は留守番しておけ。俺は俊敏なデブだからな」



 答えたのはやないさんじゃなくて太郎君だった。でも日向君も頷いていたから、そん時は僕待ってていいのかな?



「ポチャ次郎だけでなく、他のみんなも董明が書いたノートを確認しておいてくれな」


「はーい」

「わかった」

「でもさ、コスタルとウッドランドに左右されそうだな」


「そうなんだよなぁ。俺達ろく中の、ブリンクランドでのルーティンを決めたけどさ、今後は合同でやる事とかも増えてくるだろうし」


「計画にゆとりを持たせておいた方がいいわね」


「未知な事が3つもあるからな」


「3つ?」


「そう。コスタルの出方と交流。ウッドランドとの交流。それと1番大事な、魔力石の必要量だな。宰相にその件をつめてもらっている最中にウッドとコスとの交流が割り込んできたからな」


「俺らのルーティンと関係あるか? コスタルやウッドランドには休日に買い物に行くくらいのイメージなんだけど?」


「え、俺ら休日無しで馬車馬のように働かされる系?」

「イチクミだからな。目指せ!ブラック企業のサラリーマン」

「目指すかっ! 俺は土日は休む!」

「土日はウッドランドで美形エルフの推し活しなくちゃ!」


「いや、マジさ、土日抜きで魔力石集めしないとならないかもよ? 俺らが地球に帰るためにさ……」


「うーん、どうなんだろうな。元から国も協力するつもりだったろうけど、子供が来るとは思わなかったって言ってただろ?」

「大人だったらブラック並みにこき使われていたって事かしら」


「まぁ、とにかく。帰還に必要な魔力石をバンバン集めていこうぜ!」

「だから、さっき決まったイチクミのルーティンが、城之内班は生産スキルで金稼ぎ。日向班と鈴山田班は魔物討伐で魔力石収集。ただし、城之内班はポチャコンビ以外は検証を急いで、臨機応変に他の班のフォローをしてもらうんだよな」


「他校との交流だけど、ネックになる危険性のが高いと思うんだ」


「え……何でだ? 日向?」


「他校との交流があれば、大人は増える。タガセンは教師同士で相談が出来る。けどさ、ウッドランドは宝箱がひとつだろ? だからスキルも各自ひとつずつ」


「そうだな……」


「つまり、単純に考えると、魔力石の収集も俺たちの6倍、時間がかかるかもしれない」



 クラスの間がシンとなった。



「単純に6倍ではないだろうけど、俺らが集めるよりも遅いのは確実だろう」


「そう、かもしれない、な」


「俺達が360日以内に魔力石を集め終わっても、さか中はまだ終わらないかもしれない。タガセンがそれを許すかな」


「タガセンがさか中を怒るって事か?」


「違う違う。例えば帰還期限の2ヶ月前になって、俺らは収集を終えてる。けど、さか中がまだ半分しか集め終えてない。そうなったら、さか中を切り捨てるなんてタガセンがするとは思えない」


「つまり?」


「俺らはさ、自分達の分だけでなく、もしかするとさか中、めぎ中の3校分の魔力石集めをしないとならないって事」


「えええ」

「嘘だろ」

「いや、でも……確かに」


「あ、でもさ、今向かってるコスタルのめぎ中がさ、俺らと同じ6個の宝箱を開けていれば、うちとめぎ中でさか中をフォローすればいいんじゃないか?」

「うん。もしかしたらもっと沢山の宝箱を開けたかも。10個とかさ」


「おい、思い出せよ。高木さんに聞いただろ? めぎも宝箱はひとつだったって」

「あー……、そうだった」


「そ。つまり、3校交流は、俺らがかなり頑張らないとならない未来が見えているんだよ」



「ブラック企業以上にブラックになりそうだな、俺達……」



 なんか、みんな顔が曇ってしまった。楽しい買い物や旅行の話で盛り上がっていたのに。現実は厳しいって事?



「でもさ。仕方がないんじゃない? だってさ、逆だったら助けてもらいたい、かな……とか、思う」



 あー、ポロっと口から出てしまった。そもそも逆の立場でもなくて恵まれたろく中で、6個のスキルを持っているのに、十分役立たずな僕。



「あ、あの、ごめんなさい。その、スキルをいっぱい持っていても僕はみんなの足を引っ張っているし、自分では魔力石を……集められないし……、あ、あの、僕の事、置いて帰っても…」


「バッカヤロー!」

「アホポチャ!」



 あ、太郎君にタックルされて後ろに吹っ飛んだけど、後ろで誰か、赤城君かな?にガッチリホールドされた。そんでそこにやないさんがヘッドロックをかけてきたと思ったら、漆原さんの頭突きが僕のお腹に減り込んで弾き返した。ごめん、漆原さんが飛んでった。

 戻って来た漆原さんに耳たぶを引っ張られた。イタタ。


 あっという間にみんなから揉みくちゃにされた。あれかな?お饅頭の刑?


 日向君に頭をコンコンとぶたれた。



「ポチャ次郎。イチクミは全員で帰るに決まってるだろ。頭にしっかりと入れておけ」

「そうだぞ。それに俺と次郎はみんなの小遣いを握っているんだからな!」



 あ、そうだった。罠を頑張ってしかけよう!!!




「それに、1番の未知数がまだある。蒼井達、本郷中とディサート国」

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