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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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70話 聖なる壁の作り方

 赤城君達一部の男子がやないさんに怒られていた。



「そういや、聖壁の作り方まで残ってたのか?」


「あったのよ、ねっ? 梁井さん」


「うん。あった。描き写したよ。土魔術がメインの土台、そこに付与の防御と回避。そして回復と解呪ね。だから出来れば5人居たら成功率高いかな」


「手書きの魔法陣が5種類発見された。関係スキル持ちが見たら理解出来るんじゃないかな」


「見せて見せて」


「やらないけど、見るだけ見せてくれ」



 董明さんがノートを数ページめくった。そこに複雑な図名が描かれていた。



「ふうん」

「ほうほう、なるほど」



 僕は関係のスキルがないせいか、全くわからなかった。



「200年前の聖女はこれをひとりでやったのよね」


「5つの魔法陣をひとりで同時に作動させたのか」


「かなり苦労したって残ってたわぁ」


「腕は2本しかないのにどうやったんだろ?」


「なんかね、凄く薄い紙に魔法陣を描いて、重ねて使用したみたい」


「サイズを合わせるのに苦労したって書いてあったわね」


「それでも詠唱も5重でしょ? 聖女って本当に人間?」


「僕らは5人いて良かったね。5人で同時にやったら成功しそう」


「そう。ポチャ次郎君の言うとおり。多分、5人で同時詠唱で聖壁は成功すると思う。でも、それだけじゃダメなのよ」


「そうだよねぇ。それじゃあ200年前と同じ轍を踏んじゃうよ」


「200年前はどんな鉄を踏んだの?」


「……ポチャ次郎、その鉄じゃない」


「じゃあ、どの鉄?」


「鉄は置いておいて。魔力を吸う聖壁、魔物は嫌がって近寄らない。でも人間がうっかり近寄っても吸われてしまう」


「元から魔力が無いやつなら別に近寄っても平気だろ?」


「そうだけど、これ以上、人間の魔力が減らないのが理想。魔物からだけ吸う」


「そんな魔法陣、誰か描けるのか?」


「だから、塀を二重にするって話も出たよな」


「うん。まぁ、最悪二重塀で。たださ、昨日縮地グループが戻ってきた時に言ってただろ? 壁を越えた時サブイボ立ったってさ」


「ああ」


「あれ、絶対、そこを通った城之内達、吸われたよな」


「ステータスとか見える画面が無いから確証はないけど、絶対吸われたって言ってた」


「聖壁の出入り口のとこだけを広くすれば?」


「そしたら魔物も入り放題じゃん」


「そっかぁ」


「聖壁の外側だけ魔力吸うように出来ないかな。そしたら内側に住んでいる人間は魔力を吸われない」


「でも、門を通る時にチューチューされるのは一緒じゃん」


「いや、さ。俺……南門しか知らないけど、門って内側に開くじゃん? あれ外開きに出来ないかな」


「出来るだろ? で、それが?」


「もしもよ、塀の外側だけにチューチュー機能を付けれたとして、内側に開けると俺たちがチューチューされるけどさ、外開きなら何とかいけそうじゃない? 無理、かな」


「ああ、確かにな。広め門で外開き。問題は片面だけのチューチュー機能付き門を作れるかどうか、だな」



 僕のスキルとは無関係のスキルなので、あの魔法陣の図を見てもさっぱりだ。

 複雑だけど綺麗な図形。


 なんて言うんだっけ、あーいう模様。……科学模様、奇天烈模様、びしゃまく、違うな。綾香さんのスカーフもゾウリムシみたいな模様が一面にあった。

 「何でゾウリムシなの?」と聞いたら「さあねぇ、そもそも意味がありそうでなかったりするのよ。幾何学模様って」



「あぁ! そうだ。きがががく模様」


「ポチャ次郎君、もしかして幾何学模様って言いたいの?」


「あ、うん。意味がありそうで無いんだって」


「ん? 次郎、どこの話に繋がってる?」


「あ、魔法陣の図がね、凄く細かくて難しそうに描かれているけど、実はオシャレ感を出す……あ、ごめんなさい。叔母のスカーフの話です……。ヘンテコ模様」


「確かに、コレ、全部必要な情報なのかな? 同じ模様が細かく使われていない? ほら、こことここ」


「こっちとそこもね」


「オシャレ感を出すためにわざわざ凝った魔法陣する?」


「でもさ、この粒々とか、あちこちに散ってる四葉を無くすとあっさりしすぎちゃうかも。描き手としては懲りたくなる気持ちはわかる」


「ねぇ、何気に右上4分の1と、左下4分の1も激似」


「そこ、切り取ったらどうなるかな」


「うーん、そんな歪な魔法陣なんてあるのか?」



 4等分したケーキの上半分と下半分、くっつけたらケーキが半分残る。



「円じゃないとダメなの? 4分の1くっ付けて半分にしたら?」


「半分にする意味って何よ」


「元々半分で良かったんじゃない? それをあえて円にするために左上と右下にもってきた」


「ねぇ、5枚の図のうちこの4枚は対角線の区画で同じ模様の部分があるけど、この1枚だけ同じ模様部分は無いのよ」



 みんなが顔を突っ込んで図見ている。



「それ、土魔術だぞ」

「土で壁作る魔法陣だ」



 赤城君と馬場君が同時に声をあげた。



「そうなの?」

「そうなのか?」


「ああ。自分のスキルに関係しているせいか、解る」

「だよな? あ、これ、土で壁作れるって思った」

「本当だぁ」

「見せて見せて」



 呉崎さんと羅木さんも顔を近づけている。バレー部の試合中の作戦会議?みたい。



「多少、要らない模様はある……」

「どこだ?」

「ほら、この小さいハートみたいなのとか、葉っぱ模様も無くても別に困らなそう」



 バレー部は全員魔術使いだもんね。魔法の図を見ただけでわかるって格好いいな。

 あれ? でも、赤城君達がファイアする時っていちいち魔法陣の図とか使わないよね?



「ねぇ、赤城君。魔法使う時って魔法陣描いた紙を使って……ないよね?」



 赤城君が、バレー部みんなが、イチクミのみんながビビビっとなった。



「使ってねえ」

「そうだね。うちら使わない」


「頭でそれを浮かべては……?」


「ないないない」

「いちいち図形を思い浮かべないよね」


「なぁ、でも俺、あの図の壁、作れると思う。なんか頭の中にスルッと入った」



 馬場君をみんなが見つめた。そんで赤城君が馬場君の背中をバンって叩いた。



「馬場ぁ!」



 バレー部がみんなニコニコしている。



「つまり、魔法陣の図を見ただけでそのスキルがある物はその術が使える、と」



 日向君が赤城君達に問いかけるとバレー部全員が頷いた。



「魔法陣を集めた魔術書ってないのかしら」


「どうだろうな」


「あったら昔の召喚人が描き残したりしないだろ」


「そうか」



「ねぇ、この1枚が土魔術の壁としたら、残りの4枚が防御、回避、回復、解呪よね」


「それらのスキル持ちは今、全員、ウッドランドへ出向いてるからなぁ」


「戻ったら見てもらいましょうよ」


「ならそれまでに、ポチャ次郎君が見つけた重複している所を省いた図形も描いておこうかな」


「美術部のリカちゃんと梁井さんに描いてもらいましょう」


「オッケー」

「うん、模様っぽい所も省いちゃうわね」

「右下の部分を上に移動させて……半円にしたらいい?」

「うんうん。あとね、こっちもそうだね。全部上寄せにしようか」

「あ、これなんてかなりスリムになるね」



 鈴山田さんとやないさんがさっそく紙に描き始めている。定規使わずにあんなにまっすぐに線が引けるなんて、流石は美術部だな。僕だったらヨレヨレした線になりそう。



「あ、じゃあさ、半円のをそれぞれ4枚仕上げたら、合体したのも描いてみない?」

「半円の物を合体させて円にするのね?」

「うん、そう。図柄的にはこれとこれの合体」

「こっちは1枚がスリムすぎて合体は難しいわね……」

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