69話 ウッドランドへ向かい
みんなが戻ってきた。クラスの間。
タガセンの話はやはりウッドランドへ先に訪問するという事だった。
コスタルに召喚されためぎ中は大人が3人いた。それにスキルについても聞いている。
だけどウッドランドからは使者のエルフさんが来たので、学校名とかは預かってきた手紙でわかったけど、実際にタガセンが知りたかった事は不明のままみたい。
3国が交流して、合同で討伐を行うにしてもやはりまずは3つの国の行き来を簡単にしないとならない。
なので、縮地&魔法移動チームはまずはウッドランドに行く事に決まった。
クラスの間にはイチクミと高田さんのみ。つまり地球人のみになった。使者さん達は別の部屋だ。
「ウッドランドにまず向かうが、ウッドランドの情報が少ない。使者からの話のみだ。コスタルは高田さんから話を聞けたが、ウッドランドは実際に日本人の口から聞いたわけではない。鵜呑みには出来ない」
『エルフだしな……』
『エルフだもんな』
小声で誰かが呟いていた。エルフ……だと何なんだろう?僕の知らない世界では、エルフを信じたらダメなのかな。
美形すぎなのがダメなのかな?
「計画書どおりの行動だが、行き先はウッドランドだ。ただし、ウッドランド国に入る直前に、全員帰還だ」
城之内君達が頷く。漆原さんは不安そうな顔をしている。
「帰還したら魔法移動班と俺を連れてウッドランド前まで飛んでもらう。高田さんはその間うちの生徒をよろしくお願いします」
「かしこまりました」
「魔法移動班のブックマークが済んだら、全員戻る。千谷、船橋、俺の3人でウッドランドへ出来るだけ近づく。そこでブックマーク。その後一度戻り、ウッドランドからの使者1名を連れてウッドランド入りをする」
千谷君と船橋君はお互い顔を見合わせている。女子は置いていくのか。怖いもんね。でも、男子でも怖いよね。
「千谷、船橋、出来るか? 危なそうなら即帰還だ」
「だ、大丈夫、です」
「はい。大丈夫……です」
「田川さん、ウッドランドの使者は1名のみですか? 残りはなにかあった時のための人質ですか」
「ええ、念の為、ですね」
ウッドランドの使者……、エルフさん以外もいたんだ? タガセンは誰を連れていくのかな? エルフさんかな。
「ウッドランドの国内に入り、部屋に案内されたら、船橋、ここに帰還して他のメンバーを連れて飛べ」
「え、はい。あの、誰を?」
「鈴山田、百野、ファリタ、漆原だ。魔法移動スキルの女子も、ウッドランドの室内をブックマークする。その後は即帰還でいい」
なるほど、それでイチクミの移動スキル持ちが行き来が出来る。
「千谷は俺から離れるな」
「はいぃ」
あ、千谷君の声がちょっと裏返ってる。
ええと、未知の国ウッドランドが怖いからだよね? タガセンと2人きりが怖いからじゃないよね?
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翌日さっそくウッドランド行きが実行された。と言っても、まずはウッドランド方面への商人ロードを縮地しまくる系。
僕らはクラスの間で待機だった。
-----(縮地チーム)-----
城塞都市の北側の出入りの門までは馬車で移動した。討伐はいつも南側の門を利用していたので、こちら側に来たのは初めてであった。
門前で馬車を降りてそこから縮地をスタートする。
ちなみに最初にスタートした縮地チームは城之内、井伊、剛力、竜崎、久遠、漆原の6人だ。
地図を持った城之内を全員が囲み、覗き込む。城之内が地図から顔をあげて道が続く一方を指差した。
「まず俺が飛ぶから、皆は俺の元まで飛んできてくれ。それを連続で行う。行くぞ」
5人が頷いたのを確認して城之内が消えた。次の瞬間、遠く前方に現れた城之内を目標に、5人が次々と飛んで行く。
井伊達5人が現れたのを確認した城之内はすかさず次のポイントへと飛ぶ。皆が追う。
飛ぶ、追う、を繰り返し進んで行く。ブリンクランドの中心である城塞都市都市から、領土の外側へ向かって続く道を縮地で飛んで行く。
結構な距離を進んだが、それでもまだブリンクランドの領土内だ。城塞都市は中央とはいえかなり南寄りにあったのだ。なので今回向かう北側の出入り口は遠い。
30分ほど縮地を繰り返して、城之内は休憩を入れた。
「城之内、今、どの辺?」
「北門まであと15分くらいか。ここで5分休憩する。皆、大丈夫か?」
「まだ30分しか飛んでないのぉ?」
「久遠、大丈夫? 漆原は?」
「大丈夫だけどぉ、慣れないから気を使うわぁ」
「うん、皆に遅れずに着いていくのがやっと……」
「ねぇ、私達も大変だけど、飛ぶごとに私達を確認してから前方の道を確認する城之内はもっと大変よ。前見て後ろ見てを永遠に繰り返して」
「まぁな。けど、途中で脱落者を置き去りにしないためにも都度の確認は必要だ。俺の事は気にしなくていい」
「ダメよ。気にするわ」
「竜崎……」
「この旅は城之内がへばったら終わりなのよ。それに皆も置いていかれまいと気を使って疲れている。もっとリズミカルに行こうよ」
「リズミカル……どうやって? 竜崎は吹奏楽やってるからリズムに乗れるかも知んねえけど、俺は陸上部だかんなぁ」
「陸上もサッカーも走りながら的を確認出来るでしょ? 久遠、ダンス部も飛びまわるに得意でしょ。漆原が1番慣れていないから疲れるはず」
「……」
「私達、城之内が縮地で飛んだ後に、城之内の背後近くに縮地で移動していたじゃない? だから城之内も私達がちゃんと着いてきているか、いちいち振り返って確認しないとならなかった」
「そうだな。置き去り防止だから仕方がない」
「ねぇ、私達、城之内の前に飛びましょうよ。そしたら城之内は振り返らずに確認出来るでしょ? それから、久遠と私が漆原を挟むように縮地で飛ぶわ。私が右、久遠が漆原の左」
「じゃあ俺と井伊がその両脇に飛ぶ」
「そうね、そうしたら置き去りは防げるし、城之内は振り返らずに次の場所へ飛んで。漆原は前方に城之内が見えたら、城之内の前へと意識して飛んで見てね。それだけを意識していればいいから」
「わかった。城之内が見えたらその前あたりへ飛ぶ、うん。それだけ考えればいいなら、大丈夫、出来そう」
「久遠と私は、漆原を目標に飛ぶ。井伊と剛力は女子3人を目標に飛ぶ」
「なるほど。流石、竜崎。吹奏楽部でも指揮をとるだけあるな。各自の目標、確認物が単純だと余計な時間が取られずに済む。よし、じゃあそれでいこう! 飛ぶぞ」
「おう」
「おけ」
さっきまでよりもスムーズに縮地チームは進んで行った。
「うわっ」
「何だっ、キモっ」
「嫌だ、何今の?」
北門を越える時に一悶着起こった。今まで問題なく行っていた縮地であったが、門を越えた瞬間に今までにない感覚が6人を襲ったのだ。
「鳥肌出たぞ」
「ねぇ、ここ気持ち悪い。離れましょうよ」
「そうだな、飛ぶぞ」
数回の縮地を繰り返してから6人は一旦止まった。
「たぶん、『聖壁』のせいだな。魔力を吸うとあっただろ」
「アレがそうなの?」
「なんか、想像以上に吸われたぞ。あそこを通る商人とか大丈夫なん?」
「まぁ、馬車で通る分には大丈夫なんだろうが、気持ち悪くはあるな。スンっと血の気が引いた感じがした」
「立ちくらみに近かったわね」
「おかげで魔物も近づけないから、助かってるんだろうけど。聖壁は諸刃の剣ってのを実感したな」
「さぁ、行くぞ。ここからは完全に外になる。俺が危険と叫んだら全員漆原に捕まる。帰還と叫んだら漆原、魔法移動で城の部屋に戻ってくれ」
「わ、わかった」
-----(ブリンクランド、草凪)-----
縮地チームはへとへとになりながら、1時間ごとに戻ってくる。漆原さんの魔法移動でだ。それで15分の休憩を取ったらまた縮地の続きなんだって。
この作戦は漆原さんがいないとなりたたない。涙目になりながらも頑張っている漆原さんって凄いなぁ。
お昼はたっぷり1時間、それからさらに1時間の休憩タイム。代われるものなら代わってあげたいけど、それは無理。僕は生産スキルしかないから。
みんなも持ってるスキルで出来る事をしてあげているみたい。回復とかリジェネとか。
夕方には戻ってきた。今日1日では無理だったみたい。
「商人ロードは出来る限り安全な道なんで、けっこうな回り道なんだよ。曲がりくねると縮地も距離が稼げない」
「そう。見えるところにしか飛べないから。小回りになるのよ。はー、疲れた」
「ご苦労さん」
「今日はこれで終了で続きは明日になる。飯食って風呂入ってゆっくり休め」
タガセンはそう言って部屋から出て行った。タガセンも忙しそう。
翌日も朝ごはんが済んだら、縮地チームは昨日の続きで出発した。
僕らは今日もクラスの間で留守番だ。
董明さんが、聖壁の話をみんなにした。男子が盛り上がっている。
「で? 董明先生、どうやるんだ?」
「作るのは聖なる壁よ、聖女を作るんじゃないのよ?」
やないさんに怒られていた。男の夢がぁとか言ってたけど、どっちみち回復と解呪持ちの縮地チームが戻ってこないと聖壁は作れないよね。




