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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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67話 使者の集まり

 -----(田川視点)-----


 コスタル、ウッドランドの両国とも、子供が召喚されて来るとは思わなかった。それが大きな誤算であったと言っている。

 魔物がいて魔術がある世界、いったいどんな世界だと危ぶんでいたが、意外にも人道的な考えでホッとした。


 そういえば『奴隷』制度も無いと聞いた。ラノベの異世界ものでは割とあるあるなんだがな、奴隷は。



「犯罪に手を染めた者は即断罪です」


「我が国もそうですね。悪に染まった者を生かしておいても後にもっと大きな罪を犯すかもしれない。そうなる前に……」


「ですね」



 ウッドランドの使者とコスタルの使者が頷きあっている。この国、ブリンクランドの宰相もだ。

 子供に優しい人道的な国と思っていたが、そうでもないのか?



「警察とか裁判のような機関はないのですか?」



 説明が難しかった。が、そういう機関はないそうだ。

 罪が発覚した時点で首チョンパか。厳しいな。誤解や冤罪があったらどうするんだ?



「疑われた時点で終わりですから、その後の真実など誰も追いません」


「家族や身内は不満では?」


「そもそも犯罪者の家族になってしまった時点でほぼ村を出て行きますね」


「追放ですか?」


「追放しなくとも居づらくなりますから自然にそうなります」


「村を出て他の街へ行き着ける事も稀ですし、身内に犯罪者が出ると地獄ですよ」


「それは……確かに。ちなみに、身内とはどのくらいの範囲なのでしょうか」


「近しい身内は伴侶と親、くらいでしょうか」

「そうですね。成人していない子供は別家族に引き取られますね」


「成人している子は?」


「成人していたらもう、別家族ですよ。特に何も負わされはしません」


「親は断罪されるのか……」


「ええ、そのように育てた責を負わされます。ただ、別に暮らしていた場合は問題にはなりませんがね。同居の息子か娘、嫁か婿が犯罪に手を出し発覚したら親も首斬りです」



 虫も殺さないようなエルフの口から爽やかに説明をされ、複雑な気持ちになった。

 犯罪者の親と伴侶は斬首、それ以外の身内は村から出奔。子供は養子か。



「その、子供が罪を犯した場合はどうなるのでしょうか」



 爽やかエルフの顔が少しだけ歪んだ。



「人が生きていくのは難しいこの世界、病気でも怪我でもあっさりと死にます。ましてや魔物が村に入り込んだら全滅です。なので、子供は大事に育てます。ただ、稀に、歪んだ子供が育つ。親は良い人なのに、と」



 そりゃそうだろう。人間なんて複雑だ。良い人間が育てた子供が全員善人に育つとは限らない。

 それに大人が思う以上に子供はずる賢く悪どいやつもいる。中学の教師をしていると、たまにどうしても『何をしても無駄』な生徒に出会う事がある。


 生まれながらに『悪』のような子供だ。あれは手の出しようがない。



「そういう子供は、親が一緒に連れていきます」


「親ともども追放って事か?」


「いえ。親と一緒に斬首ですね。次に生まれかわる時は、そう願い斬首されます」

「早くに生を終わらせた方が本人にも周りにも、いいのですよ」



 この世界、なんと命の軽い事か。だが、使者達の表情は決してソレが軽いとは思えなかった。


 生徒達には口が酸っぱくなるくらい、犯罪に触れない行動をするように言っておかなくては。

 日本では子供は許される事が多い。だがこの世界ではちょっとした事で大ごとになるかもしれない。故意でなく事故であっても刑に触れるかもしれない。


 この国の法について、早急に調べておこう。



 召喚と魔物討伐の話になった。

 やはりコスタル、ウッドランドともにうまくいっていないようだ。



「実は、ブリンクランド国では今回の召喚による討伐が上手く進んでいると聞きました」



 宰相のこめかみがピクリと動いた。

 『聞いた』と言うのはこの国に忍び込ませた間者からの情報か?



「いえいえ、うちもまだ手探りですよ。ねっ、田川先生?」



 宰相が俺に振ってきた。どこまで話していいんだ?



「ふむ。…………腹を割って話しませんか? お互いに隠したままだと話が進まない」



 宰相は少し考えてから頭を縦に振った。コスタルの使者もウッドランドのエルフも頷いている。



「まず。その、『聞いた』ってのはこの国に忍ばせた間者からですよね? ブリンクランドにはあちこちの国からの間者が入り込んでいるようですね。コスタルもウッドランドも送り込んでいますよね?」


「あー……はい。その通りです。攻めてくる兆候はないか、いつでも気にしているのは真実です」


「私の国もです。交流を持ちたいと願う派閥と戦争を懸念する派閥があるのは確かです」


「この国からの間者はどうなったのですか? ブリンクランドからコスタルやウッドランドへも間者は送っていたのですよね?」


「そうです。ですが、音信不通なりました」


「それは……国に問い合わせてみないと何とも言えませんが。本当に我が国へ来られましたか? 途中で魔物にやられた可能性は」



「ストップ! それはお互い様。国まで無事に辿り着けない場合もあるでしょうね。だが、今後3国が交流をしていくなら、表向きにちゃんとした外交官をおいた方がいい」


「外交官とは」



 ふむ、まずそこからか。


 とにかく、今後の三国についてザッと話した。

 俺はブリンクランド人じゃないんだけどな。そばで聞いていた高田さんも笑っていた。

 


 俺たち召喚人の力を利用するにしても、まずは3国の中学校の交流が必須だ。

 コスタルはあみだくじでスキル分けをしたと言うし、ウッドランドは向こうに行って聞いてみない事には始まらない。もしかするとうちのように複数の宝箱をゲットしているかもしれない。



 そう、忘れてはいけない。コスタル、ウッドランドの両使者に確認したい大事な事。



「召喚人を元の世界へ帰すつもりはあるのか」


「もちろんです。そうでなければ交流を考えたりいたしません」

「そうです。我々も、出来る限りの事をして必ず召喚した皆さんをお返しいたします」



 生徒達はコスタルへ行く計画を立てていたが、先にウッドランドへ行った方がいいかもしれない。

 ウッドランドの生徒達やスキルについて知りたい。


 帰還のための魔力石収集の計画はそれからだな。


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