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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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56話 どこ中

 男子部屋、女子部屋の間の部屋、『クラスの間』と名付けた部屋に僕らは集まっていた。



「俺らがブリンクランド国に召喚されたように、他に6つの中学が他の国に召喚されたはずだ」


「どこの国がどこの中学を召喚したのか、タガセンはわかっているのかしら」


「どうだろうな。あまり国交がないって言ってたからな」


「でも隣のコスタルとウッドランドとは多少なりとも友好的ってきいたよね」


「あいつ、そのどっちかに召喚されたのか」


「けど、何でこの国の領地にいたの? あそこの林はブリンクランド国の領地よね?」


「なんか逃げて来たっぽくなかった? ボロボロだったしガリガリに痩せてたし。あまり良い待遇じゃなかったのかな」


「タガセンが戻ってきたら聞こう」



 ちょうど城之内君がそう言った時にドアが開いてタガセンが入ってきた。

 連れて行ったあの子は一緒ではなかった。



「…………」

「……」



 聞こうと言ってたけど誰もタガセンに聞けずにいる。

 うう、僕が頑張って聞いてみようかな……どうしようかな……うむむむ。



「あの、タガセ……田川先生」



 良かった。城之内君が声を上げてくれた。



「さっきのアイツはどうなったんですか?」



 タガセンは僕らを見てからため息を吐き、一瞬おいてから話し始めた。



「城の別室で休ませている」


「あの、アイツ、八王子の本郷中学って言ってたんですけど、隣の国のどっちかが本郷中を召喚したんですか?」


「うむ」



 タガセンは話すのを悩んでいるみたいだったけど、ソファーを指差した。

 座れ?

 城之内君や董明さん達が座った。僕も一緒に、あ、三人掛けのソファーはダメだ。僕が座ると狭すぎる。


 女子3人でひとつ、もうひとつには城之内君と太郎君、仕方がないので僕はその後ろにひとりで座った。



「皆が戻ったら話すつもりだったが、日向班、鈴山田班は遠征だったな。先に話しておく」



 待って、ノートに取らないと僕、全部覚えていられない。慌てて亜空間倉庫からノートとペンを出した。



「彼は東京都八王子市の本郷中学の2年生だ。今回召喚されたうちのひとりだ。先日の爆破事件、アレも本郷中の生徒だろう」


「ええっ!」

「マジ?」


「襲撃犯グループのひとりって事?」


「襲撃ではないそうだ。3人で逃げて来て、さっきの、蒼井と言う生徒だが、彼が草原の罠に掛かり動けなくなり、他の2名に置いていかれたそうだ。あそこに3日、飲まず食わずでいたそうだ」


「え……あそこに3日」


「罠に掛かったまま3日も?」


「食糧とか持ってなかったのか」


「じゃ、残りの2名は今どこに?」


「木田と言う男子生徒と瀬戸と言う女子生徒だそうだが、現在は見つかっていない。先日の爆破事件と関連があるかもしれない事がわかった。城内や街の中を捜索中だ」


「爆破事件の犯人なのか。どこの国から送り込まれたんだ?」


「あれは事件ではなく事故である事がわかった。見つかって逃げようとして土魔法を使ったようだ。男子生徒の木田が土魔術のスキルを持っていたと」


「じゃあ結局テロじゃなかったわけか。それにしてもどこから来たんだ」


「海側がコスタル国で森側がウッドランド国でしたっけ? どっちからの……てか、何しに来たんだ?」


「コスタルでもウッドランドでもない。彼は、彼らはディサート国から逃げて来たそうだ」


「ディサート……って、かなり離れた国じゃなかった? 確か、砂漠地帯とか教わったわね」


「ディサート国に召喚されたのが八王子市の本郷中学。田川先生、ウッドランドとコスタルはどこの学校を召喚したんですか?」


「今はまだわかっていない。が、ウッドランドとコスタルとは今後国交を深めると言っていた。だが、他の国はかなり閉鎖的で関わりを持つのは難しいそうだ。出来れば召喚された7校で交流を密にしたかったのだが……」


「ええと、蒼井は僕らと一緒に行動する事になるんですか?」


「ううむ、同じ日本人としてこちらで保護をしたいが、召喚したディサートがどう出るか。何か言ってくるかもしれないな。それから蒼井の体調が回復するまでは別室で護衛付きだ」


「護衛ってか、監視だな。仲間が接触してくるかも。木田と瀬戸」


「じゃ、また地震か爆発が起こる?」


「ああ、な。どうだろ。土魔術で爆破っぽいのも出来るんだ。赤城達が戻ったら検証してみようぜ」


「先生、蒼井のスキルは何なんですか? それと瀬戸のスキル。木田は土魔術の他に何を持っているんだろう」


「蒼井はノンスキルと言っている。瀬戸もノンスキルだそうだ」


「ノンスキル? スキルスクロールを使わなかったって事?」


「かなり疲労が激しかったので、今は眠らせたそうだ。体力が回復したらもっと話を聞く」



 タガセンは難しい顔をしたまま部屋から出て行った。いつもの黙った顔とは違って見えた。なんか、こう、苦しそうな顔だった。何か辛い事でもあるみたい。



「俺らどうする?」


「タガセン、何も言っていかなかったね。城にいろ、とか、外に出るな、とか」


「どうしよっか。勝手に動く?」


「勝手に動いても動かなくても怒られそうだな」


「さっきさ、漆原さんの魔法移動で瞬時にここの庭に戻ってこれたよね。それってさっきの林にも瞬時に行ける?」


「行けるわよ? でも勝手に外に出たらタガセンに怒られるかもよ?」


「ねぇねぇ太郎君、さっきのとこに罠仕掛けてこない?」


「肉ゲットしに?」


「うん。お肉ゲットもだけど、蒼井君だっけ? 罠に掛かってたの。逃げた2人が蒼井君の様子を見にくるかも」


「ちょっ、ポチャ次郎、お前、容赦ないな。他の2人も罠で捕まえようなんて」


「えっ、あ、まぁ、ちょっと痛いかもだけど漆原さんの回復魔法で怪我はすぐ治るし。それに他にもディサートから来た人がいるかも」


「うわぁ、他の学校の奴らを根こそぎ捕まえる気か」


「ポチャ次郎、意外と鬼畜ね」


「え、や、ちがっ、その、違うから! 早く捕まえてあげた方がお互い良いかなーって思って。だってさ、だってあんなに痩せて思い詰めてて、召喚した国から逃げ出すって、ディサートってあまり良い国じゃないかもって思って」


「確かにな。それ、俺も思った。そもそもノンスキルってとこから怪しい。多分俺らと同様にスキルの宝箱はあったはず。木田っつーやつが土魔術を使えたのもスキルを取得したからだろ。アレだけ宝箱があって、スキルを貰えないやつがいるって、そこが気になった」


「スキル分けで揉めたのかな」


「それを言ったら私なんてスキル8個貰ったけど、梁井は4個でしょ。うちだって不公平と言えば不公平じゃない?」


「うちは数じゃなくて中身で分けたからね、私は不満はないよ?」



 やないさんはあっけらかんとしていた。



「それでもスキル無しは酷くない?」


「確かになぁ。まぁ、それは蒼井が復活したら聞いてみよう。で、ポチャ次郎、罠を仕掛けにいくのか?」


「うん、さっきの小屋から罠持って来た分だけでもセットしておきたい。獣が獲れればいいし、他国から逃げてきた日本人が獲れればもっとよし」


「いや、ポチャ怖えよw」


「んじゃ、チャチャっと行ってこようぜ。タガセンに気づかれる前に戻ってくればいい」


「待って、罠作成に必要な材料書き出すから、他の人は周りで見つけたら採取しといて」


「なんか前向きポチャ次郎、初めて見たかも」


「そうだねぇ」



 僕らはさっきの場所に罠を複数セットしてすぐに戻った。


 採取してもらった長細い藁のような植物で、罠の材料になる紐を編んでおいた。これもスキルのおかげだ。元の世界ではそんな物編めなかったから。


 罠に必要な留め具や刃の部分はお城のメイドさんに聞いて、街の金具店で購入する事になった。鉄の鉱石とかがあればそれも作れるんだけどな。


 漆原さんの移動魔法で何度か草原とお城を行き来した。移動魔法が便利すぎる。

 もしもこの先スキルスクロールを貰える機会があったら移動魔法を貰いたい。それはみんなが実感していた。

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