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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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47話 いつものルーティン

 皆でゾロゾロと食堂に向かった。

 食堂はなんか雰囲気がいつもと違うように感じた。


 廊下ですれ違ったメイドさん達も、なんかちょっと困った顔をしていた。食堂でもスープをよそってくれるおばちゃんやおかずをとりわけてくれるお兄さんも、なんか挨拶がよそよそしかった。



 席についた人からいただきますして食べ始めている。僕は最後の方に食堂に入ったので列の最後の方だ。D班のみんなも一緒に並んでくれている。


 いつもは太郎君とふたり、空いている席に適当に座るんだけど今日は6人で座れる席を城之内君が探してくれた。鈴山田さんはC班と一緒にご飯を食べてる。


 この食堂は僕たちのクラスだけで使っているわけではない。かなり広い食堂で、この城の、偉い人以外はみんなが交代で利用している。木で出来た長テーブルはガタイの良い兵士さんが並んでも10人くらい座れるんじゃないかな? 向かい側も入れるとひとつのテーブルで20人くらい。


 僕ら中学生なら詰めれば全員座れそう。でも先に座っている人たちもあちこちに居るのでテーブル一本が丸々空いている事は少なかった。予約……とかすれば出来るのかな。


 僕は食べるのが遅いしおかわりもしたい派なので、いつもは太郎君とふたりで知らない大人に混ざって食べていた。

 でも、今日は、クラスでまとまっている。ABC班は同じテーブルにつけたけど、うちの班だけ少し離れた場所になった。



「あっちに合流する?」



 漆原さんが向こうを指差した。けど城之内君が首を振って小声で僕らに言った。



「ここで食おう。他の人の会話に聞き耳たてて情報を仕入れたい。ポチャ次郎、ゆっくり食えよ。出来るだけ長くここに居ようぜ」


「なるほど」


「わかった」


「あ、じゃあ、おかわりとかしていい?」


「いいぞー。食え食え」


「あ、でも、僕その、食べてる時に聞き耳は立てれないかも……」


「お前は食ってればいいよ」



 良かった。僕って一点集中タイプなんだ。食べている時は食べる事に集中しちゃう。



「あれ? 今気がついたけど、日向君もC班へ移動したんだ」


「そう。昨夜の事件がなかったら交代はまだ先だったんだけどな。混乱するからもう交代する事になった。俺と漆原がこっち。日向と鈴山田がC班」


「そうなんだ」


「スキル訓練の時だけ戻るけどな」



 ふーんと返事をした後は黙々と食べた。途中で太郎君に「おかわり行こうぜ」と声をかけられて席を立った時、城之内君もついてきた。


 城之内君はフルーツを色々と取っていた。女子に頼まれたのかな?

 もう一度おかわりに。城之内君は今度はパンを取っていた。知らなかったけど城之内君って意外と大食いなんだね。


 あれ? 何だろう。今日はおかわり行く人が多いな。女子も並んでいる。

 運動部の女子でもいつもはおかわりに行く事はないのに今日は行ってる。それに文化部の董明さんや鈴山田さんも、あんなにほっそりしているのにおかわりするんだ?


 痩せの大食いってやつかな。太らないの羨ましい。僕は食べただけ肉になるのでデブの大食いだ。

 待って、今日おかわり5回目。僕もう食べられない。



「いいから、ポチャ次郎。ほら、その肉も取って」



 肉ぅ? 肉もどきか。さっきの4回目おかわりで果物食べたのに、締めに肉???



「ポチャ次郎、食えない分は亜空間にしまっとけ」


「亜空間?」


「スキル持ってただろ? 荷物とか入れたとこ」


「あ、あ、うん」



 亜空間倉庫って中がどうなっているかちょっと気になる。着替えとか荷物とか適当に突っ込んでるんだけど、そこにお(もどき)を入れて大丈夫なの?

 服が肉まみれになるんじゃ……。


 お肉はタッパーに入れてから亜空間で保管した方が……、太郎君、タッパー持ってるかな。


 太郎君を見ると、太郎君は目の前の料理のお皿に手を翳すと料理が一瞬で消えた。お皿ごと。

 城之内君は果物が乗った自分のお皿を太郎君の方へグイっと押しやった。それも太郎君が消していた。


 なるほど。夜中にこっそり食べるようだね。わかった! 僕もしまっておこう。




 朝食が終わると歯磨きに行く。この時間は洗濯に行く人も居るけど、女子が洗濯室を利用している時は男子は絶対に行ってはならない、鉄の掟がある。


 なので男子は歯磨きしながら井戸端でチャチャっと洗う。そして部屋に干す。ただ、洗濯室には絞り機みたいな物があるけど、それが使えないと自分の手で絞る事になり、当然干したパンツやタオルからは水がボタボタと滴り落ちる。


 部屋に水たまりを作ると怒られるので、窓からパンツをぶら下げる事になる。一応メイドさんの許可は得ている。

 最初の時、「私どもが洗いますのに」と言われたが、「自分達でやらせます」とタガセンが断固として断ってしまった。


 ボタンひとつで脱水まで出来る日本の洗濯機が懐かしい。僕のうちは両親が忙しくて掃除も洗濯もそれ以外の家事も、週に何回か来る人がやってくれていた。

 けれど僕が中学生になった時に『洗濯くらい自分でしなさい』と綾香さんに言われた。だから洗濯は出来る!と思い込んでいたけど、洗濯は洗濯機が、干すのは乾燥機がやってくれていたんだと、今、自分でやるようになって初めてわかった。


 今居る部屋が2階(結構な高さはある)なので、一応下を確認して窓から洗濯物をぶら下げた。



「男だって部屋干ししたいよなー」



 太郎君がぼやいていた。



「ちょっ、太郎君は隣の部屋じゃん。なんでこっちに干すの」


「いーじゃん、いーじゃん。一緒に干させて」



 さては、乾いたら僕に畳ませる気だな。いいけどさぁ。



「今日は午前中の座学は変更になった。昨日の事件の説明があるみたいだな。部屋はいつものとこだ」



 あまり大きくない部屋に人数分の椅子が運び込まれていて、いつもはそこで授業をしていた。

 この世界の日常生活的な事は最初の1週間で学んだ。お金、食料、仕事、歴史など。


 最近はこの国の周りの危険や魔物についてが多いかなぁ。

 午後はお城の庭での訓練だ。体力作りや武器に触れたり、スキルの練習。


 僕らが授業の部屋へ入ると、他の班の子達は既に席に座っていた。僕らが座って程なくして、宰相さんとお供の人が入ってきた。

 宰相さんを見たのはちょっとぶりなんだけど、ものすごく疲れた顔をしていた。


 爆弾犯は掴まったんだよね? 事件はもう解決済みじゃないの?


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