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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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37話 肉職人

 地面には山盛りのお肉。これ、捨てちゃうんだよね。勿体無い。実は、ちょっと気になってた事があるんだけど……。

 でも、さっきお肉の話で全員に怒られたし。



「いいのか」



 え、タガセンの『いいのか』攻撃! しかも、僕に向かって放たれた気がする。

 タガセンが僕を見てる。気のせいじゃない。


 え、何? 何がいいの? 


 日向君達に助けを求めて、見たら3人も固まってる!

 え、どうしよ、どうしよ。



「じ、次郎、それで、は、よくないんだ。たぶん、きっと」



 太郎君が何を言ってるのかわからないよ!



「ポチャ次郎! よくない、よくないんだ。何かが」

『何だよ、日向ぁ!今の流れでどこが悪かった?』

『わかんねぇ、けど確実にポチャ次郎に言ってるよな』

『ポチャ次郎が肉を拾い食いしようとした事か?』



 日向君達は小声で話してるけど聞こえてる。僕がお肉を拾い食い?拾い食いなんてしていないのに!


 お肉を茹でたらどうかって話を……あ!



「お肉は茹でるんじゃなくて、焼いた方がいいのか!」


「違うっ!」



 びっくりした!タガセンに怒鳴られた。タガセン、焼いたお肉も嫌いなのか。茹でる、焼く以外……あと、何だ?

 生は寄生虫が怖いって前に綾香さんが言ってたし。



「田川先生、ポチャ次郎にヒントをくださいっ!」



 太郎君……ありがとう。

 タガセンはため息を吐いたあと、床の肉を指差した。



「草凪、思った事はちゃんと口にしろ。気づいた時に言わないと忘れてしまうぞ。さっき、地面の肉を見て何か思いついたんじゃないのか?」



 あ、ああああ、そうだった。そうなんです。言いづらいからやめたけど、言っていいのかな?



「あの、さっき解体した時に……あ、これ」



 僕は地面からソレを拾った。



「これ、解体の途中で出たやつ、です」


「ああ、それな。俺も出た。胃袋かな?糞が詰まった腸かな」



 薄い膜に包まれたブニョっとした黒い何か。魔イタチの内臓に数カ所と、手足の多分……関節に近いところにもあった。



「これ……、毒、じゃないかな? これ食べたら死ぬのかもって思った。上手く解体しないと袋が破れてお肉にかかっちゃうでしょ?だからお肉を食べると食べた人が死んじゃうのかなぁって」


「あー、なるほど。言われてみるとそうかも。俺も解体していてスキルのおかげか、ソレを取り除く時めっちゃ慎重になったわ」



 タガセンも日向君達も黙っている。



「あの、すみません。僕がお肉を食べたいから妄想しちゃったかもです。ごめんなさい」



 太郎君は少し不服そうな顔をした。



「試す、価値はあるかも、しれない」




 城之内君がタガセンを見た。



「田川先生、試してみたいです」


「待てよ、試すって、肉を食うのか? 腐って死ぬんだぞ?」


「俺達にはスキルがあるじゃないか、毒回復!」


「待った待った待った、その前に俺たち鑑定スキルあるじゃん。食えないって頭から思ってたから鑑定しなかったけどさ」


「太郎、ナイス! 鑑定!」



 日向君が地面に置かれた肉のひとつを持ち上げて、スキルを使った。



「魔イタチの肉。脂が少なくあっさりしている。こ、これは、どうなんだ? 食えるのか食えないのか? 太郎も鑑定してみてくれ」


「同じだな。肉の部分は。ポチャ次郎、ヤバイのはどれだ?」


「あ、謎袋はそっちの隅にまとめてある。素手で触らない方がいいかも。破けやすい」


「なるほど。肉職人にしか扱えないって事か。どれ……」



 日向君はソレには触れずに、近寄って鑑定をしている。



「ああ、ビンゴ! これだな。魔イタチの毒袋。体内の毒を袋へ集め、爪や牙での攻撃時に使用」


「うわぁ、俺ら、遠距離からの魔法攻撃で良かったな」


「もふもふ可愛いーとか言ってうっかり近づいたらアウトだった」


「鑑定! 死後数日で毒袋から体内へ毒が蔓延だと。なるほど、新鮮なうちなら肉へ毒が回らないのか」



 ねぇ、日向君の鑑定スキルが凄くない? 僕が鑑定しても『魔イタチの肉。あっさりしている』しか出ないんだけど?

 毒袋の方も『魔イタチの毒袋』としか出ない。僕ももっと鑑定も頑張らないとダメだね。




 それから、鑑定しながらお肉を確認していく。万が一にも毒袋が破れて肉に付いていないかどうか。


 残った毒袋は、村の外の地面に穴を掘ってそこに入れて、呼んできた赤城君にファイアで燃やしてもらった。

 千谷君の風魔法で、燃やした煙が村へと反対方面へ飛ばしてもらった。燃やして出たのが毒煙だったら怖いからね。でもそれも日向君が鑑定していた。


「ただの煙だ」


 そうか、良かった。




 問題は肉の試食である。

 食べられると言っても、『食べたら腐って死ぬ』と言われていた魔物の肉だ。

 口にするのに勇気がいる。



「鑑定では『食べられる』とは出てないんだよな?」


「食べられないとも出ていない」


「あっさりしているって表現、これ、絶対食べた時の感想よね?」



 一応、鑑定持ち全員が鑑定をした。日向君ほど詳しくはなかったけど、董明さんも鈴山田さんもやないさんも似た鑑定結果だった。



「C班は解毒魔法スキルもいるし、ここは、食べてみるべきだ」


「誰が?」


「誰かが?」


「そうだ! この村に野良犬居ないか?」


「ちょっとお! 犬に毒味させる気? 信じられない!」


「え、野良だぞ? 野良でもダメなん?」


「動物虐待反対!!!」


「えぇぇ、じゃあどうする? 誰が食う?」



 僕はありったけの勇気を出した。お肉のためなら……、あ、違った、クラスのみんなのために頑張る。

 手を挙げた。



「ここは、肉職人の僕が責任を持って、食べますぅ」



 あ、誰も止めてくれない。うん、頑張るね。


 馬車のある広場の前には、小さな火が焚かれていた。そこに乗せた鉄板みたいな物。

 小さく切った魔イタチにお肉をその上に一切れ置いた。


ジュワワワァァ


 焼けてくる。

 一応鑑定してみた。

『焼いた魔イタチの肉』

 うん、そうだね。


 僕の周りをC班6人が取り囲む。毒回復スキルを持っているからだ。



「城之内、剛力、井伊の3人は毒回復、竜崎、久遠、漆原は普通の回復を。ポチャ次郎に異変を感じたら即スキルを使ってくれ」



 6人の後ろから日向君が指示を出した。止めてはくれないのね。


 焼けた肉が僕の持つお皿に乗せられた。匂いは美味い。久しぶりに嗅ぐ焼いた肉の匂いだ。

 あ、口に中に唾液が溜まる。


パクリ ムグムグ、ゴクリ



 僕に向けてC班が手のひらを向けている。いつでもスキルを発動出来るように。

 どこも痛くない。苦しくない。腐るとしたらこれから?それともお肉一切れくらいじゃ腐らないのかな。


 あ、タガセンが先に食べてた。あっちでも同じのを焼いていて、結構パクパクと食べていた。



「どうだ? ポチャ次郎、大丈夫か?」



 日向君が心配そうに聞いてきた。



「うん。でも、あのぉ、お塩ください」



 お塩かけたらさらに美味しかった。久しぶりの焼肉!うっまぁ。周りのみんなが羨ましそうな顔になってきている。


 そう、実は試食の話になった時にタガセンが試すと言い出してくれたんだけど、僕の肉職人魂がそれを許さなかった。

 最初はタガセンから僕の試食は却下されたけど、僕は食らいついた。結局最後にはタガセンが折れて、時間差で僕も食べていい事になったのだ。


 ただ、他のみんなは1〜2日様子を見てから、となったのだ。


 太郎君も肉職人を名乗ったけど、もしも万が一があった時に同じスキル持ちが死んだりしたら困るって事で、今回はタガセンと僕だけの試食だ。


 塩もいいけど、お醤油が欲しいなぁ。あ、焼肉のたれがあれば1番嬉しいです。


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