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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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36話 初解体

 村の中央の広場で僕らは今夜泊まる。馬車周りに寝床を作ったりしていたら、タガセンが村の人と一緒に戻ってきた。



「善哉、草凪、ちょっと来い」



 ひぃやあああああ、なに?なに?なに? 何で僕と太郎君だけ呼ばれたの? 何かしちゃった? じゃなくて、何もしなくて役立たずだったから、タガセンビンタ?!タガセンビンタかな!


 横の太郎君の腕にしがみついた。太郎君もちょっとブルブルしてる。僕より小さいブルブルだけど。

 僕なんて、ブルブルガクガクドワドワダバダバ。



「落ち着け、ポチャ次郎。大丈夫だ、タガセンは怒ってないぞ」



 日向君が何か言ってたけど耳に入ってこない。太郎君に引っ張られて前へ進もうとするけど、足が、足が言う事を聞かない。

 そしたら、太郎君にしがみついてたのと反対側を日向君に掴まれて、ふたりに挟まれてタガセンの前まで来ちゃったああああ。


 強制連行?



「草凪、どうした? 具合が悪いのか?」



 タガセンに詰問された!



「ひゃわ、ふぁい、具合、ぎゅわいははるくないです!申し訳ありませんでしたああああ」



 とりあえず、まずは、謝る! 考えるのはその後。



「落ち着け、ポチャ次郎。田川先生、ポチャコンビをご指名と言う事は、さっきの魔物の解体ですね。僕も見学してもいいでしょうか」


「いいぞ」


「狩猟・解体スキル持っているのはポチャコンビだけですが、スキルがなくてもやり方は覚えておきたい」


「俺も見たい、見学してもいいですか?」



 城之内君も来た。

 自分の心臓と爆音と血管のドク音がおさまってきて、やっと話が耳に入ってきた。


 なんだ、怒られるんじゃなくて、解体するのか。



「スキルはあるけど、使い方がわかんねぇな」



 うんうん。太郎君と同じ事を考えてた。あのイタチを前にして『解体〜解体〜』って唱えればいいのかな?

 とか、思っていたらタガセンと一緒に来た村人に連れて行かれた水場に、大きな木の台があった。


 僕らが狩ったイタチがその台の横に重ねられて置かれていた。



「まずは一体、やってみますね」



 村人さんがそう言うと、イタチを1匹台に乗せた。仰向けにしたソレのお腹に大きめのナイフみたいな武器を刺した。



「よく見ておけ」


「スキルの操作方法はわからないけど、一般的な解体方法は見ておくべきですね」



 日向君と城之内君も、僕らの横で村人さんの解体を見ている。




 ああ、そう言う事、なのかな。

 見ていて、『わかった』。

 今までの僕には無かった不思議な才能、『スキル生産(狩猟・解体)』、そうか、これが生産スキル。


 あ、採取で草を採った時も、そうだったのかも。できてしまう不思議な力。神様からの贈り物か。



「不思議、一度見ただけなのになんか解る。これがスキル」



 ポロリと口から出た。



「そうだな。凄いな、俺ら。将来肉屋に就職出来るな。しないけど」


「うん、しないけど」



 太郎君も同じ気持ちだったみたい。



「そうなんだ、羨ましいな。俺には普通にただ解体しているのを見ているだけ、やれと言われても同じように出来るかどうか……」


「そうだな。数をこなして慣れればなんとかなる程度だな」



 城之内君、スキル無いのになんとかなるんだ。そっちのが凄い。



「これが魔力石です」



 村人さんが取り出した魔石は物凄く小さかった。ビー玉より小さい……、ビーズより若干大きいサイズ。



「小さいな」


「魔イタチの魔力石なんてこんなもんですよ。これでも大きい方です」


「そうなんですね」



 この小さいので、大きいほうなんだ? てか、あのイタチ、この世界では『魔イタチ』って呼ばされいるんだ。

 という事は、もしかして、『魔犬』とか『魔ゾウ』とか、動物に魔が付くのがこの世界の魔物名前?


 僕が魔物の名前について考えている間に、村人さんは魔イタチの皮を剥ぎ終わっていた。

 魔イタチは、毛皮は加工して使えるんだって。肉は後で埋めるとかで台の横の地面に寄せられていた。


 地面に。皮を剥いだお肉が。

 うん、食べられないって言ってたもんね。食べたら人間が腐るって言ってた。

 人間が腐る……。不貞腐れるって意味、じゃないよね?純粋に腐る……んだよね?


 地面に捨てられたお肉を見る。新鮮で美味しそうなんだけど、腐るんだ。本当に?



「魔イタチのお肉って、誰か食べた人、いますか?」


「いねえわ、食ったら死ぬぞ?」



 村人さんが慌てたように言う。



「食うなよ? 食ったら死ぬぞ? 食うな?」



「ポチャ次郎、熱湯風呂じゃなぞ? 押すな押すなじゃないんだから、本当に食うなよ? 食えって意味じゃないぞ?」



 城之内君、何を言ってるかわからないよ。何でお風呂の話?しかも熱湯……。あ、もしかして。


「お肉を熱湯で茹でて食べろって事?」


「違うからっ!!! マジ、食うな!」

「食うなよ、ポチャ次郎!」

「草凪!魔物肉は食えん! 腹が減ったなら持って来た物を食べろ、夕飯まで我慢出来ないのか」



 え、あ、タガセンに怒られた。日向君と太郎君にも怒られた。みんなの考えてる事がわかんないよ。

 お風呂とお肉の関係……。



「ほら、ポチャ次郎、解体しようぜ! 俺ら、肉職人になれるぞ」


「肉職人になっても、肝心のお肉が食べれないんじゃねぇ。お肉屋さん失格だよ……」



 まぁまぁと太郎君に宥められて解体をやってみた。



「スキルって凄いねぇ。スルスル解体出来るね」


「だなぁ。伊達にスキルを名乗っちゃねえな」



 僕らはさっきの村人さんよりも、速く綺麗に解体を進めていく。あっという間に終わってしまった。

 魔イタチは解体前に軽く血抜きをしてあったので、村人さんもそれほど血まみれにならなかったけど、僕と太郎君は、全く血を出す事なく解体が出来た。



「このスキルって、日本に戻っても使えるかな。僕、やっぱ、お肉屋さんになろうかな」


「ポチャ次郎、多分、スキルは持って帰れないぞ」


「そうなん……。でも、この国にいる1年で解体しまくったら、帰ってからも出来る気がする」


「……そうだな。頑張れ」


「スキルを持って帰れるなら、俺は亜空間倉庫持ち帰るぞ」


「同意」

「だな」



 地面には山盛りのお肉。これ、捨てちゃうんだよね。勿体無い。実は、ちょっと気になってた事があるんだけど……。

 でも、さっきお肉の話で全員に怒られたし。

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