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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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27話 C班は

 -----(城之内視点)-----


 D班から相談を受けた。


 俺はD班の日向とチェンジする事になった。本当の理由は漆原のD班移動を目立たなくするため、俺、日向、鈴山田さんの3人を巻き込んでのチェンジとなった。


 俺と漆原がCからDへ、日向と鈴山田さんがDからこっちへくる予定だ。

 流石、日向だ。スキル内容からもよく練られている。後付け理由とは思えない、不自然ではない。実際C班にマッピング持ちはいなかったからな。


 漆原がうちの班で浮いていたとは気が付かなかった。

 元々うちの班は個人主義者の集まりだ。部活がバラバラなせいもあるのかもしれない。

 俺が演劇部で、剛力が陸上、井伊がサッカー部、久遠がダンス部で竜崎が吹奏楽、そして漆原が外国部だっけか語学部だったか。


 言われてみると俺と漆原以外は運動部だな。あ、いや、竜崎は吹奏楽部だけど、あそこは運動部並みの練習があるのは有名だし実際に運動部とも関わりが大きい。試合の応援には必ず駆り出されている。俺も演劇部で体を動かすとは言え、やはり運動部とは比べ物にならない。


 C班は個人主義とは言え、集まる時は集まるし一緒に行動もする。特に誰と誰が仲が悪いという事も聞いた事はなかった。

 とう言うかまだ新学期、新クラスは始まったばかりだ。その状態で知らない世界へといきなりやってきた。


 スキルとか魔物とかよくわらない事に対応させられたりで、人間関係で揉めている場合ではない。とくに『イチクミ』は。


 けどここ数日、ホームシックにかかっている女子もいるとは聞いていた。夜間に布団にくるまって泣いていても翌日は元気に振舞っていたので俺ら男子は気がつかなかった。


 正直言うと俺もそろそろ地球に帰りたい。自宅に戻りたいと思っている。不思議な経験は3日で十分だ。

 『誰ひとり欠けずに戻る』タガセンがよく口にする。帰れる根拠があるわけではないがタガセンが言う言葉は妙に安心感を覚えてしまう。ろく中でタガセンは神に近いからかな。イチクミ(俺ら)からしたら鬼神だけどな。



「さて、俺らもスキルの訓練をしようか」


「おう」


「何をどうやるの?」


「うん。まずさ、自分らが持ってるスキルをしっかり理解しようぜ」


「そうだね、じゃないと必要な時にすぐに使えないからね」


「ええと、付与魔術、体力回復、回復、毒回復、解呪術、それと弓と収納ボックスか」


「詳細メモ……誰か持ってるか?」


「あ、借りてあるよ。これ」



 ふむふむ。



「付与魔術は、防御、回避、縮地、跳躍の四種類か。体力回復がリジェネと強化。回復が怪我、病気。そして毒回復と解呪術」


「毒回復はそのまんまの意味でしょ?」


「たぶん。毒状態になった時に使う」


「って事は毒のある魔物がいるって事ね。毒蛇とか」


「問題……と言うか疑問はある。毒回復ってスキル名のスクロールだったけど、何毒に効くとかは書かれてなかったんだよな。すべての毒に効くものなのか……」


「マムシには効くけどサソリには効かない、とか?」


「でもさぁ、試せないじゃん。誰かがいちいち噛まれてみる?」


「無理ね」

「無理だな」


「それに、毒の強さ」


「強さ?」


「即死毒には無効な気がする。だってさ、毒を回復しても即死してるんだぜ?」


「確かにぃ」


「毒回復スキルって案外使えないスキルね」


「てえかー、練習出来ねえよ」


「井伊、ちょっと俺にかけてみて」


「かけるってどうすんの?」


「そう言えばスキルの使い方がわからないね」


「俺に向かって毒回復って叫んでみてくれ。ほら、赤城らがファイアファイア叫んでるだろ」



 皆がA班の方を見た。叫びまくっている。井伊が微妙な表情になった。



「そういやさ、A班の訓練中に井伊が付与スキル飛ばしてなかったか?」


「あ、あれ、嘘。アニメを真似ただけ。勇者を背後からサポートする付与術師になってみた」



 あっそ。皆が割と白い目で井伊を見た。



「あー、じゃあ、えと、行くぞ? 城之内、毒回復ー」



 恥じらいながらの毒回復。井伊が突き出した手からは何も出なかった。

 そもそも俺も毒状態ではなかったからな。だが、何かがカシンと弾けた気がした。



「ねえ、今、城之内の身体が薄く、光った?」



 竜崎さんも気がついたようだ。



「光ったかどうか、俺自身はわからなかったけど、何かが弾けた気がした。毒じゃなかったからスキルを弾いたのかも。ちょっとお互い掛け合ってみて」



 慌てて付け加えた。



「詠唱は口にしなくていいかも」



 詠唱が恥ずかしいのか女子が小声になっていたからだ。

 何度かお互いかけあって、スキルの雰囲気は掴んだ。



「毒の回復がどの程度かは実践しないとわからないわね」


「じゃ、次は解呪術、なんだけど、これも呪われていないと検証にならない」


「誰か呪われているやついないかー? 恥ずかしがらずに手をあげろ? 解呪してやるぞー」


「いるわけないか」


「いたら逆に怖いわよ。いつ呪われたの? 誰に呪われたの?」


「クラスで呪われていそうなやついないかな。そっと解呪してやるのに」


「あ、いる」



 剛力の言葉に皆が瞬間黙った。剛力目線の先、そこに居たのはタガセンだ。



「あー、確かに。絶対誰か呪ってるって」


「だなー」


「うちらに限らないわよ。こないだ卒業した前のタガセンクラスとか」


「あー」


「ねえ」


「どうする? 解呪しとく?」


「うーん、あ、じゃあさ、現イチクミの呪いだけ解く?」


「前三年イチクミの呪いはそのまま?」


「ねぇ、そんなに複雑な解呪出来るの?」



 皆が『あっ』となった。



「とりあえず普通に解呪しよう。全員タガセンに向けて同時に行うぞ?」



「せぇの、解呪!」



 突然タガセンがクルリこちらを振り返った。あんなに遠くにいるのに、何故気づかれた!!!

 あ、違う違うです! 呪ったんじゃない、俺たちは善意で解呪をしたんだ!善意で!


 俺は踏ん張って立っていたが、井伊も剛力も竜崎も久遠も地面に膝をついていた。



「跳ね返った! 今の、絶対跳ね返ったよな?」


「うんうんうん。呪い返しきたっ!」



 いや、俺たち呪ってないし、解呪が返されるってあるのか?



「城之内君、今タガセンにスキル使ったでしょ」



 突然背後から声をかけられて飛び上がり、振り向いた。ポチャ次郎が立っていた。



「今ね、呼ばれちゃってタガセンのとこに居たら、タガセンが突然肩が軽くなったって。そしたらC班が並んで手を突き出していたからスキル使ったのかなーって」



 マジか。いや、マジでタガセン呪われていたんだ。誰だ? 呪った奴。まぁクラスでタガセンを呪わないやつは居ないか。



「なんのスキル? 回復とか体力系の? 僕もやってほしい。あ!漆原さんにお願いしよう。メンバーチェンジあって良かった〜」



 呑気な顔で腹回りの肉をタポタポ揺らしながらポチャ次郎が去っていった。



「危険……じゃない?」



 竜崎さんが神妙な顔つきだ。美人は神妙な顔をしても美人だな。



「何? 何が危険なの?」



 久遠さんが反応した。



「解呪ってうっかり呪い解くと呪い返し?その呪いがこっちに来ちゃうんじゃない?」



 座っていた井伊と剛力がすわっと立ち上がった。



「ちょ、俺今絶賛呪われ中?」


「待て待て、お互い解呪しあえば」


「呪いの押し付けあいにならない?」


「と、とと、とりあえず誰か解呪してぇ」



 慌てる美人の竜崎さん。

 その後、落ち着いて解呪してわかった。別に呪いは俺たちにかかっていなかった。毒にかかってなかった時に弾かれた時のように、お互いの解呪も弾かれた。そう言えば『呪い返し』は最初に呪ったやつのところに行くんだった。



「って事は、少なくとも俺たちはタガセンを呪っていなかったって事だな」


「だよな。まだビンタくらってないし、校庭10周は普通だし、そんくらいで呪わないぞ」


「そうよね」


「でも、さっきタガセンがラクになったんならクラスで誰かが呪ったのかも」


「「呪った本人に返った呪いって解呪出来るのかな?」


「どうだろな」


「複雑ー。とりあえず今夜全員に解呪かけとく?」


「だな」


「に、してもスキルって便利そうだけど色々と面倒だし怖いわね」



 だなぁ。色々と研究と検証が必要だ。

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