26話 B班作戦会議
-----(百目木視点)-----
B班は悩んでいた。
A班の特訓を見て、自分達は明らかに遅れていると。
うちの班はバスケ部が4人。百目木、江崎、女子バスの夏原、大野。それから野球部の船橋、卓球部のファリタ。
学校の部活なら俺らも負けていない。バレー部は全国大会常連だが、うちのバスケも県大会優勝連続記録更新中だし。
だがそれも日本の中学ならの話だ。
異世界となると話は別だ。
異世界ではまだ何の結果も出していない。何しろ得意分野からいきなり初めてのスポーツ(?)に挑戦するわけだ。
A班が魔法特化なのに比べて自分達B班は物理型なんだが、どうしたもんか。
どうしたもんかな。
「そもそも剣道部でも柔道部でもないのにさー」
「だよな。スキルを取ったからってアニメみたいに突然戦えるわけないじゃん」
「そうだよね。うちらバスケ部ってさ、結局ボールの取り合いでリングに入れてなんぼじゃん? コート内で殺戮は起きないわけよ」
「起きたら怖いって。反則どころじゃないじゃん」
「その点、船橋とファリタはまだいいよなー。一応武器を使う部だもんな」
「ちょ、武器なんて使わないよ」
「使ってるじゃん。ラケット。船橋はバット」
「バットは武器じゃねえええええ」
「えっ、バットなんて武器以外の何物でもないじゃない。ほら、クギ付けてさ」
船橋が頷きかけてから慌てて首を横に振った。
「ラケットもゴムのとこを鉛にすれば殺傷能力あるよね」
「確かに。でもかなりの接近戦になるわね」
「ファリちゃん、やる気だね? ふひひ」
「とりあえず俺らの出来る事を考えようぜ」
「なるべくスキルを使った方がいいのよね」
鈴山田さんが書き出したもの見る。
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B班
百目木 体術、剣、槍、双剣、投技術、ポーチ、マッピング
江崎 体術、剣、槍、双剣、投技術、ポーチ
船橋 体術、剣、槍、双剣、投技術、ポーチ、魔法移動
夏原 体術、剣、槍、双剣、投技術、ポーチ、マッピング
大野 体術、剣、槍、双剣、投技術、ポーチ
ファリタ 体術、剣、槍、双剣、投技術、ポーチ、魔法移動
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「まず、体術がわかんねえ」
「柔道とか空手みたいなものかな」
「誰か経験者いるー?」
誰の手があがらない。だよなー。
「とりあえず走り込みと柔軟は多めにしておこう。次、武器系」
「剣、槍、双剣、投技。剣と双剣は一緒じゃないの?」
「片手剣か両手剣か……」
「違う。ゲームで両手剣って言うとデカくて重くて両手で持つ類いな」
「ああ、じゃあ双剣は軽くて小さめかな。」
「レイピアとかショートソードかな」
「槍とか双剣は女子向きかも」
「投技術は手裏剣みたいなものを投げる系か」
「おっ、それは俺向き、まさに俺様のためのスキル。俺ってばピッチャーですよ? クギバット振り回すよりも、クギボールを投げますよ?」
「投げるだけ? 打てないの?」
「どこぞの打ってよし、投げてよし、顔よし、性格よしのスーパースターとは違います。俺は地味にピッチャー特化ですぅ」
「全員でスキルスクロールを分けちゃったけど、投技は船橋に集中させたほうが良かったかもな」
「今更だけどな」
「ポーチあるし投げるのに手頃なサイズの石っころ拾っておこうかな」
「石を探して拾うよりA班に作って貰おうよ。A班って土魔法あるでしょ?」
「だな。訓練にもなるしな」
「A班の訓練にな」
「いずれ得意分野に分かれるかもしれないけど、まずは全員が剣槍双剣投技に慣れておこうよ。お城の人に武器は分けてもらったじゃない?」
「あ、俺預かってる。全員に配っとくな」
「刃触って指切るなよ」
「剝きだしかぁ。入れ物ないのかな。刀の鞘みたいなの」
「じゃないと腰にぶら下げたら自分の足を切りそう」
「何のためのポーチよ。各自がポーチに入れとくんじゃん」
「あ、じゃあさ、ポーチへの出し入れの練習しない? 瞬時に出して、仕舞うとか、他の武器とポーチ内で入れ替えとか」
「お、いいな」
「それと武器の握り方。お城の兵士さんにお願いして教えてもらったけど、基本中の基本なんだろうけど、イマイチよくわかんない。ただ振り下ろすのは違う気もする」
「敵に振り下ろせるかが問題」
「とにかく触れていけばスキルが発動するかも」
全員が剣を持ち、構えた。…………。特に何も発動しない? スキルとはいったい。
「カッコいいねぇ」
いつの間にか近くにポチャ次郎が来ていた。さては、D班で難しい話になってるな。
「なんか構え方が様になってるね。スキルのおかげかな」
なんだと? 俺らイケてるのか?
ポチャが地面で何かを拾った。江崎に向かって投げた。はずの石は船橋の方へ山なりに飛んでいった。
ポチャ次郎め、意表をつく投げ方を習得していたのか。
突然斜め横から飛んできた石を船橋はバット、じゃなかった剣で打った。打ったじゃなくて薙ぎ払った。まるでバッティングのようなフォームだったので斬ったというより打ったように見えた。
「ご、ごめんなさい、船橋君。僕、江崎君に向けて投げたんだけど」
「いや、全然こっちには来なかったぞ」
船橋は足元から何かを拾った。石を投げ返すつもりか? ピッチャー魂に火がついた?
相手はポチャ次郎だ、許してやれよ。
「見てこれ。真っ二つ。俺凄くない?俺凄くない? ピッチャーやめてバッティングに専念しようかな」
船橋が突き出した石は綺麗に切れていた。
まさか? さっきの打ち返したようなポーズで、実は石を真っ二つに斬ったと言うのか?
船橋の周りに皆が集まった。石の断面は本当に綺麗だった。
「これ、剣が切れすぎるって事はない? 触ったら指無くなるね」
「いや、そうでもないよな、うちの包丁の方が刃は凄かった。何でこの剣で、そんなに鋭く切れるんだ? 野球部だからか?」
「おい、ポチャ次郎、俺のとこにも投げろ」
「えっ、えっ、僕、ノーコンなんだけど。どこに飛んでいくか……」
「よし、みんな並べ」
ポチャ次郎を中心に半円形に6人が並び、それぞれが剣を構えた。バッターのように、だが。完全に剣の持ち方を間違えているな。俺含む。
「どこでもいいから投げろー」
「は、はいぃぃ」
うわぁ、上がった。どんな投げ方をするとあんなに高く上がるんだ。これは、誰の元に落ちるのか読めないぞ。
「各自、ぶつかるのに注意!仲間を斬ったら笑えないぞ」
一応注意をしておく。投げたの石だよな? 落ちてくるのにこんなに時間がかかるもんなのか。ポチャマジック? ポチャ次郎ってスキル何だっけ?
「私ぃぃ!」
ファリタが声を上げて石の下の走った。
バットのように両手で構えていた剣が、いつの間にか片手になっていた。卓球部のスマッシュのように石を返されたらポチャ次郎に当たるんじゃないか?
さっきの船橋みたいに石を斬るのかそれとも打ち返すのか。ポチャ次郎、死ぬなよ? 避けろ?
ファリタは美しいフォームで石を真っ二つに斬りさいた。
ポチャ次郎は頭を抑えて地面にぺたんこになっていた。
「なんだなんだ? イジメか?」
「うちのポチャ次郎、虐めんなよ」
D班のやつらが集まってきた。D班仲良いな。
今あった事を説明した。決してポチャ次郎を虐めていたわけではない。事故だ。いや、事故はまだ起こってもいなかったぞ? 濡れ衣だ。
「B班は全員が投技術のスキル持ちだろ! お互いに投げ合えよ」
言われてみればその通りである。
「よぉっし、じゃあ男女ペアで投げる方と斬る方に分かれて10玉交代なー」
「その前に石拾わないと」
「あっちゴロゴロしてたね。走りづらいったらなかった」
「ちょうどいいな。まず拾っちまおう」
「A班に作ってもらうのは?」
「それは夜だな。今A班忙しそうだから」
あっちではファンタジーなバレーが繰り広げられていた。みんなはチラリとそれ見たあとすぐに目を逸らして地面にしゃがんだ。
「ポーチってどんくらい入るんだ?」
「さあ?」
「拾おうぜ」
俺らは無言で石を拾い始めた。暇だったらのかD班も手伝ってくれた。




