25話 班替え
久遠さんと竜崎さんは僕を呼びにきたのだった。
漆原さんの件で一部班替えの相談をするからCD班は校庭の隅に集合だって。
僕以外は既に揃っていた。
タガセンも居る。うわ、僕のせいで待たせちゃってビンタ案件かな。先に謝っておこう、先手必須。さっきのA班参考に。
「あ、あの、すみませんでした。バレー部のハンドサインがどうなったか気になって赤城君に聞こうかなあとか思ったんだけどA班が忙しそうで」
「クラスのハンドサインはバレー部のじゃなくなったよ。それより少し班を弄ろうって話になった」
あ……漆原さんの件かな。
梁井さん、どうやって話を持ち出したんだろう。
漆原さんがC班で孤立してるとかいきなり話しちゃったのかな。僕がそれだったらちょっと嫌だな。
僕だったら、僕にわからないように遠回しにお願いしたい。
だって1年の時、夕方のクラス会でよく僕の事を話題にされた。
『ペアでいつも草凪が余るけど問題あるんじゃないですか』ってさ。
だって4組は男子の人数が奇数だから必ず誰か余るんだよ。いつも僕だけどさ。
それで僕に原因があるっていつも責められた。聞き流していたけど謝れとか土下座しろとか、意味がわからなくて面倒すぎた。中学って理不尽の塊。
って去年の事はどうでもよくて、どうしよう。
漆原さんも僕に庇われるのは嫌だろうなぁ。嫌だよね? でもちょっとだけ口挟んじゃおうかな。
「あの……班は常にリフレッシュした方がいいと……」
「ポチャ次郎、何言ってんだ、少しシャランラップな?」
「あ、はい。すみませんでした」
ヒュウガ君に怒られた。でも、シャランラップ……黙れ(シャラップ)の事だよね。ププ、ヒュウガ君ってたまに親父ギャグ挟むよね。天才って凄いな。プププ
「ポチャ次郎ぉ、日向の寒いギャグで受けるのってアンタぐらいだよ」
「ポチャ次郎、よくわかってるな、お前」
あ、ヒュウガ君に褒められた。
「アンタそれ、世間一般には褒められてないからね?」
んん? そうなの?
「ポチャ次郎のリフレッシュはともかく、班の見直しをしないかって話。C班は中衛、D班は完全に戦闘不向きで固まっている。うちのD班にも付与は欲しい」
「それを言うならこっちC班はマッピングがいないんだよ」
「Cは常にABと一緒の戦闘だからあっちのマッピングで事足りるって話なんだけど、何かあって班行動で逃げる時うちだけマップいなくて迷子になるぞって話」
「それでだな。とりあえず漆原をD班に貰えないか?」
「交換じゃなく移動? 5人7人になるけど?」
「うん、とりあえずだ。漆原って魔法移動持ってるだろ? だからいずれはD班から代わりに鈴山田さんを出す」
「今、交換じゃないのは?」
「生産の飼育だよ。魔物テイムと言われているスキル。うちは俺と女子3人がテイムを持っている。本当にテイムかはまだ試していないけれど、もしも魔物か動物をテイム出来たらいずれ戦力になる。そうしたらD班から俺と鈴山田さんがC班へ、C班から城之内と漆原がDに来る感じ」
「なるほど、そうしたらC班D班とも、マップとテレポートが居ることになる」
「それにテイマーもそれぞれふたりずつ」
ん?んんん? 僕が話についていけずに混乱しているとやないさんが紙に書き出してくれた。
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【最終的にこうなる班分け】
C班
剛力 弓、付与、体力回復、回復、解毒、解呪、収納ボックス
井伊 弓、付与、体力回復、回復、解毒、解呪、収納ボックス
久遠 弓、付与、体力回復、回復、解毒、解呪、収納ボックス
竜崎 弓、付与、体力回復、回復、解毒、解呪、収納ボックス
日向 鑑定、生産(採)、生産(養)、亜空間倉庫、マッピング
鈴山田 鑑定、生産(採)、生産(養)、亜空間倉庫、魔法移動
D班
善哉 鑑定、生産(採)、生産(狩)×3、亜空間倉庫
草凪 鑑定、生産(採)、生産(狩)×3、亜空間倉庫
董明 鑑定、生産(採)、生産(育)、亜空間倉庫、マッピング
梁井 鑑定、生産(採)、生産(育)、亜空間倉庫
城之内 弓、付与、体力回復、回復、解毒、解呪、収納ボックス
漆原 弓、付与、体力回復、回復、解毒、解呪、収納ボックス、魔法移動
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「今すぐにチェンジしないのは、テイム待ちなのもあるけど、俺はD班で生産経験を上げたい。戦闘班がある程度レベルが上がるまで生産班は外へ生産に出られない。生産スキルの使用が始まったらある程度使いこなしてからC班へ移動する。それは城之内も同じだ。AB班相手に付与をバリバリ上げてくれ」
「なるほど」
「漆原は申し訳ないけど、D班で付与の訓練をしてほしい。なのでしばらくは5人7人体制になる。つってもAB班にはまだ話していないから今日の夕食後のクラス会で話す」
「賛成。漆原、戦闘怖がってたもんね」
「ダンス部も吹奏楽部も体力には自信があるけど漆原は外国語部だもんね。身体は使わない系」
「あ、うん……」
「大丈夫? 嫌だったらC班のままでもいいよ?」
あ、漆原さんが元気ない事、みんな気がついていたのかな? 何となくだけど、裏で話はまとまってた感じ。でも漆原さんはD班にも乗り気じゃないのかも。僕がいるから、かな?
だったら僕が移動した方がいい?
どう言い出そうかと悩んでいたらタガセンが立ち上がった。うわっ、ビンタ来る? 誰、誰に? まさか、僕?
「ひとりだけの気持ちを優先していいのか? それでいいんだな? Cに残りたいと言えばCに、Dに行きたいと言えばDに。Aに行きたい言えばAに入れるのか? 他の者が同じように好き勝手言い出したら好きにさせるのか」
「あ、ええと、別に漆原さんが移動したいと言ったわけでは……」
うわぁ、あの、天才日向君もタガセンにはタジタジだ。
「お前らが、各班のスキルの内容を考えて出した答え。漆原はそれに異存があるなら理由をハッキリ言ってみろ」
ひええええ、タガセンに言えと言われて言える人、いるの?
「……」
「聞こえんな」
「……ありません」
「なら、漆原はD班だ。Dはしばらく7人。Cは5人でいいな」
「「「「「「はい」」」」」」
あ、危なかった。思わずイエッサーと口から出るとこだった。寸前に飲み込んだ自分、偉い。
タガセンが去った。去ったと言っても同じ敷地内、城庭だ。タガセンはAB班の方へ行った。
「俺、殴られると思った」
「俺もだ」
「校庭10周も無かったな。あれで合ってたのかな」
「いやもう何が正解とかわかんねー。ただ怖い」
「同じく」
「漆原さんよろしくね」
董明さんが漆原さんに声をかけていた。タガセンの攻撃力によるダメージは運動部の方が大きいかも。
井伊君や剛力君は地面に倒れ込んでいた。そうでもないか。ポチャ太郎君もうつ伏せに死んでいる。
かく言う僕も膝がガクガクだ。やっぱタガセン怖い。




