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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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21話 火魔術スキル

 数日で、A班の魔術攻撃の腕前がかなり上がった。連続で火の玉を出せる回数が増えた。

 それにバレー部の男女6人が並んで撃ち出す火の玉は迫力がある。的への距離も少しずつ伸ばしているみたい。


 でも、僕は気になっている事がある。



「なんで火球を手から前に出すだけなの? バレー部だからサーブとかアタックとかしないの?」



 それほど大きな声ではなかったけど、たまたま僕の近くに置いてあった荷物(飲み水)を取りにきた千谷君に聞こえちゃったみたいだ。


 バレー部魂に火がついた?(火魔術だけに)


 赤城君が手のひらに出した火球でサーブを。それを見た残り5人も火球サーブを打ち始める。

 普通に手のひらから飛ばすファイアボールより飛距離が伸びた。


 セッターの馬場君が火球をふわりとアタッカーの千谷君へトスを上げた。それを千谷君がすかさずアタック。

 するとさらに威力がました火球が飛んでいく。



「どうせなら、馬場君があげた火球に千谷君が火球をぶつけてアタックしてみたら? 火球がダブルになるかな……」


「うおっ、天才かっ!」



 馬場君、千谷君の炎が燃え上がる(心の炎だ)。てか、こんなに離れているのに聞こえたんだ?



「ファイアボォッ! 千谷!」

「おうっ! ファイアボッ! うらぁっ!」



 ボールは火球2個にならず合体して大きなひとつの火球になった。そしてスピードも凄い。

 それを見た赤城君が横で燃えていた(物理的じゃない。多分、心で)



「ファイアボッ! 馬場!」

「うっす! ファイアボッ!! 千谷ぁ!」

「おう! 任せろ! ファイアボッ!!!」



 赤城君の出した火球に馬場君が火球を重ねて千谷君にトス、千谷君がそれに火球をぶつけてトリプルファイアボールがひとつの球になった。

 凄い遠くまで飛んでいったと思ったら地面で爆発した。


 ヤバイな、バレー部トリオ。怖っ。

 あ、女子トリオも始めた。A班ヤバっ。てか、バレー部ヤババ。



「何、あれ、合体技!」

「ズルイ、俺らもやりてぇ」

「魔術取りたかったぁ」

「今更だよ。でも、俺もほしい」



 タガセンが誇らしそうな顔で見ていた。バレー部の顧問だもんね。これ絶対に全国大会優勝だよね。


 燃えまくるA班にタイミングを見計らい付与をかけるC班、また威力がました。

 B班が何か作成会議を開いている。なんでみんなそんなに燃えてるんだか……。



「うちは生産班だから」

「そ、そうだよね?」



 太郎君と頷きあった。

 けど、気のせいか日向君の目つきが怖い。日向君もあっちの班に入りたかったのかな。

 そう思っていたら突然地面をビシビシと指差して高速で鑑定をし始めた。



「鑑定鑑定鑑定鑑定鑑定鑑定鑑定鑑定鑑定鑑定鑑定鑑定、カンテイカンテイカンテイカンテイカンテイカンテイ、カンテカンテカンテカンテ、カンカンカンカンカン、カカカカ、カカカカカカカカカカカカカカカカカカ」



 の、呪いの言葉? 怖いよ、日向君。



「よっし。超時短で鑑定出来るようになったぞ」


「うっそ、マジ?」

「まじで?」



 天才怖い。


 みんながカカカカ言い始めた。僕と太郎君は地道に石を鑑定した。



「飽きた。石はもう見たくない」

「石、としかでないもんね」

「雑草も中庭にはせいぜい3種類。別の場所に行きたいな」

「でもタガセンが、ほら、別行動禁止って」




----この世界に来たばかりの頃タガセンに言われた----


「ホラー映画で真っ先にコロされるやつがどんなやつかわかるか?」



 えっ? いきなり何の話?



「映画にもよるんじゃない?」

「海外の映画かな」

ボソボソ



「それは、ひとりで行動するやつだ。皆から離れてひとりで庭へ、ひとりで廊下へ、ひとりで別の部屋へ、ひとりでトイレに。そう言うやつが真っ先にやられるんだ。数人でジャングルを歩いていて遅れたりトイレに離れた瞬間に、殺人鬼だの怪物だのに狙われる」



「トイレダメなの」

ボソボソ



「映画の場合は大体が敵は単体だ。どんなに強くて武器を持っていようが相手はひとり。だからこっちがひとりなるところを虎視眈々と狙っている」



「ちょ、やめて、今夜からトイレ行けない」

「頼む、一緒にトイレに行ってくれ」

ボソボソ



「敵がひとりならこちらはグループでいれば何とかなる。生き残れる確率も高い」


「え……死ぬやつもいるんだ」

ボソボソ



「この世界、誰が味方で誰が敵かわからない。信じていいのは誰なのか。だからこそ、常に全員で行動していれば、相手はこちらを騙しにくい。ひとりでいたら騙されたり攫われる事があるかもしれんない。が、クラス全員を攫ったら流石に目立つだろう。こちらはそれが今のところ最善の武器だ」



 え、でも僕ら、召喚でクラス全員が攫われたんだよね。

 たぶんみんな思っていたと思うけどタガセンが怖くて口にはしなかった。


オズオズ……

「あの、じゃあ夜中にトイレに行きたくなったら」


「部屋付きのトイレがあるだろ」



「でも、その、……んこの時は、その、ちょっと遠くのトイレに行きたいかなーって」


「ダメだ。廊下の奥の共同トイレに行くならせめて班全員で行け」



「えぇぇ、夜中に叩き起こして班トイレかぁ」

「あ、じゃあさ、部屋の模様替えしようよ。ベッドを部屋付きトイレから一番遠い場所に集めよう」

「おっ、それいいな。天才かよ、ポチャ次郎。うちの部屋もそうしようぜ」

「ベッド6台くっ付けて高床式寝床にしよう」

「うちらもそうしよー」



「とにかく、部屋から一歩出たら常に全員行動がルールだ」


 タガセン、ビシっ。



-----


 実際、夜中に起こしても誰も起きてくれなかった。熟睡中か。

 いくら部屋付きでもひとりでトイレは……。タガセンの話を思い出して怖くていけない。トイレの中にジェイソンが居るかも。そんで拉致されて殺されるかも。


 一台だけ離して置いてあるベッドに居るタガセン。

 僕がモゾモゾしている気配で起こしてしまった。


「ほら、行くぞ」


 トイレに着いて来てくれた。

 タガセン噂と違って優しい?

 


 目が覚めた。

 タガセンの号令で全員走りに行く。いつものタガセンだ。

 やはり昨日のアレは夢だったのかも。

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