18話 異世界での生活
なんかわからないけど、僕らは今、異世界にいる。異世界のどっかの国のじょうさい……城塞都市。
その城内の一画の僕らは部屋をもらって寝起きしている。結構広い部屋だけど、男女でそれぞれふた部屋ずつ。僕は1班で1号室。あ、勝手に1号室って言ってるだけ。
1階結構奥まったところにある。廊下を挟んで4部屋。食堂やお風呂は全然別な所で、城内を結構歩くんだ。
あと、中庭もOK。と言うか、タガセンから中庭を走らされている。
ろく中『イチクミ』の風物詩。タガセンのクラスになった生徒は、毎朝校庭を走らされる。異世界に来てもそれは変わらず。
僕たちは今日から中庭で(走った後に)スキル訓練を行うそう。
僕ら召喚したこの国の偉い人が戻るまで、スキルの検証とこの世界を勉強しておくんだって。
中庭で走り終えて、太郎君達と話してた。城之内君は異世界系?に詳しいんだって。
「何でこの国の王が挨拶にこないんだ? 俺らを召喚したんなら初日に挨拶があってもよくないか?」
「そうだよな」
「国の偉い人だったら忙しいんじゃない? だってほら、日本でも総理に簡単に会えたりしないでしょ」
「だけど、向こうが俺たちを呼んだんだぜ?」
「呼んだと言うかいきなり誘拐したようなもんだな」
「そうかぁ、確かに。何か問題が起こったのかな」
「ちげぇ、この国、この世界も色々あるみたいだぜ」
船橋君がやってきた。背後からのしかかられて思い出した。船橋君は同じ部屋で野球部でピッチャー。そうだ、人懐こい大型犬。
「俺の仕入れた情報によると、先王は割と最近、魔物に襲われて亡くなったって。その爺さんの先々代の王は高齢で伏せってる。現王はまだ5歳なんだと」
「えっ、そうなんだ。じゃあ、俺たちを召喚したのはその5歳児か?」
「いや、いくらなんでも無理でそ。宰相とかその辺らしいよ」
「はぁ、じゃあ挨拶はいいか。5歳児に挨拶されてもな」
「てか、王様、魔物にやられちゃったんだ。やっぱりいるんだ、この世界……」
「だろうね。異世界から勇者を召喚するくらいだからな」
「そういや、勇者なんているのか? 誰だよ」
「どうだろね。勇者いない系のファンタジーか、後で発覚する勇者モノか」
「どっちにしても俺じゃないな。ポチャ次郎でもない」
「俺も違うなー。バレー部かバスケ部の誰かか……」
「勇者いない系かもな。俺たちスキルかなり貰っただろ。あ、俺やポチャ次郎は生産系だけどさ」
「なんかね、魔物が増加してるんだって」
女子も話に入ってきた。それにしてもみんな、どこから情報を仕入れてくるんだろう。
「やっぱ魔物がいる世界なんだ」
「だから俺らもスキルを貰ったんじゃないか」
「その魔物を俺たちが退治するのか」
「私たちが?」
「虫も殺せない国、日本から来た俺らが?」
「虫は殺せるんじゃないか?」
「Gは殺せるわよね?見かけたら即排除よ」
「だよね」
「え……蜂は苦手って、だから養蜂は出来ないって」
「蜂は別よ! 蜂は刺すじゃない」
「私、前にスズメバチに刺された事あるから2度目は要注意なの。アナフィラキーショックになるから」
「でもGは刺さないから」
「ねっ?」
女子強し。
「俺、出来るかな……。動物とか殺すのダメかも」
「獣どころかゲームだとゴブリンとかオーガとかの人間みたいなやつもいるぜ? 人型を倒せるかな」
「この世界にも居るのか?」
「わからん。わからないからまずは情報入手だ。女子を見習うぞ」
なんか、みんながやる気に満ちている。
「魔物の勉強だ」
「城の中に図書館あるかな」
「この国の文字読めるのか?」
「言葉通じてるし大丈夫じゃない?」
「確かに」
「ね、ファリちゃん、日本語以外にタイ語と英語出来るよね? どう?」
「どうって?」
「この国の文字、読めそう?」
「どうだろー」
「漆原も外国語部だよね?何語出来る?」
「えー、私まだ英語とちょっとだけ韓国語。でもさっきのメイドさん、そのどっちでもない。耳に集中すると聞いた事ない言語。って、私が知らないだけだけど」
「うん。タイ語でもない。でも集中しないでリラックスすると日本語に聞こえる」
「俺らの耳が凄いのか、さっきのメイドさんの口が凄いのか」
「これまさに異世界ファンタジーだな」
みんなの話の内容が、僕にはよくわかんない。
これは……考えたら負けのやつかな?
僕らが中庭でクラス会議というか無駄話をしている間、タガセンはどこかにいってしまった。
タガセンの情報収集かな。
クラス会議で僕らのルーティンが決まった。
明日から、朝食前に全員『校庭5周』、洗面後に朝食、クラス会議。午前中は全員で座学、昼食、午後はスキル別の班の訓練、スキル検証をしていく事になった。
さらっと流したけど、洗面所ってどこ? みんなどこで顔を洗ったの?




