149話 三者面談
城之内君達に会えないまま、忙しくなった。
城之内君達も忙しいけど僕らも突然『三者面談』が始まった。
「普通、三者面談って、担任と親と生徒の3人で進路について話したりするだろ。でもさ、変じゃね?」
「そう。だって担任はタガセンひとりなのに、生徒全員が一斉に面談だってさ、どういう事だ?」
「タガセンとの面談じゃないのか」
「進路指導の先生にしても、24人同時はないだろ? ろく中に進路指導って1人しかいなかったよな?」
えー……、僕、まだ、進路とか考えてない。どうしよう……。
「み、みんなは、進路ってもう決めたの?」
「ああ、本当は2年で進路指導があったはずだから、先に帰還してた俺らは、考えなくもなかった。タガセンが居なかったから面談は無かったな」
「俺、行ける高校あるかな……」
「いや、赤城はバレーがあるだろ」
「運動部はいいよなぁ。そっちで引っ張られるだろ?」
「俺、推薦取れるかな」
いいなぁ、みんなちゃんと色々決めてて凄い。僕、どうしよう。
どうしよう……。
こっちじゃ、罠も仕掛けられないし採取出来ない。勉強も運動も出来ないし、芸術系も全滅だし……。どうしよおおおお。
全員一斉に行われた『三者面談』。呼ばれて連れて行かれたのは3人で面談をするような小さい部屋ではなかった。
普通に大きい部屋。
前に10人くらい、怖そうな大人がズラッと並んでいる。
これって、前にやないさんが話してくれた物語の主人公が受けた、なんだっけ、ええと、『圧迫面接』!
そう、圧迫面接! え?三者面談じゃないんだ?面接なの?
前にいちにさん……はち、8人座ってて、横に、あ!喜一郎さんと翔子さん、聡一郎さんに菫さん、恭一郎さんと椿さん、あと綾香さんもいる!
うちの家族7人……三者面談って家族全員参加するものなの? 高校生の姉もなの???
全部で十五者面談。あ、僕入れて十六者だ。
15人を相手に、進路が決まって無いって自白しないとならないのか。キッツ。死んだふりしたい……。
-----(組織)-----
まず、『スキルが地球で顕現される』可能性が高い、という話は伏せられる。
『再度異世界で作業に参加をしてもらえるかどうか』
本人の意思確認、それに伴う家族の同意を貰う。
その2点をクリア後に行われるのが、秘密厳守の書類に署名。
その後に、『スキル顕現』の話をする。この先、地球でもスキルが使える場合の諸々の危険についての説明。
その上で、異世界へ行くかどうか再度質問。
イエスでもノーでも、守秘義務が発生する旨を説明後、同意書にサインを求めた。
本人も家族も、山ほどの書類にサインを求められた。
-----(ポチャ次郎視点)-----
よくわからない面談の後、クラスに戻ってきた。僕が一番早く戻れたみたい。
それからひとりまたひとりと戻ってきた。
「今時、手書きってどうなのー」
「サイン書きすぎで手首痛い。20枚くらいサインさせられたね」
「この時代に紙の契約書とかありえないよねー」
「いや、録画の説明もされたし、それ自体も有無を言わせない証拠にされるんじゃない?」
「で、行くよね?」
「行くでしょ」
「行かないやついるの?」
「今度はポチャ次郎君を落とさないようにしないと!」
え?
みんな沢山サインしたんだ。
僕……1枚だった。字が下手だったから1枚しか書かせてもらえなかったのかな……。
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組織では、ポチャ次郎は『NO』と思い込んでいたので形だけの書類しか用意していなかった。
「後で、追加でもらいます」と慌てた。
家族が反対する間もなく「行く!」と言ったポチャ次郎。
涙ぐむ祖父と父をよそに、「よく言った。流石、草凪家の男子!」と、祖母、母、姉。
「俺も行きたい」と駄々をこねる兄。
第十一回のメンバーが決定した。ろく中25名。
城之内のスキルの話を事前に聞いていたイチクミは、今回の面談の理由に薄々勘づいていた。(ポチャ次郎のみ気がつかない)
イチクミは全員、最初から行く気満々であった。
第十一回の召喚は『スキル確定のため』のイチクミ20名と、色々と物資詰め込んだ城之内達4名と、付き添いである担任のタガセンの合計25名がブリンクランドへ再度召喚される事になった。
第十回目の召喚メンバーである自衛隊は、その旨を書き綴った新しい計画書持ち、異世界へと召喚されて行った。
第十一回の召喚までは、時間を長くとった。国としても組織としても色々な準備があるからだ。
もちろんイチクミでも準備はある。
運動部脳筋チームは、出ない魔法をイメージしてエア訓練を開始した。
脳筋以外も密かに色々と想像と妄想を爆裂。
クラス会議が萌える萌える。
「あ、そうだ。俺らの召喚はバイト扱いになるから、バイト代が出るぞ」
「まじ? 時給幾ら? 千二百円くらい出るかな」
「いや、時給じゃなくて日給だってさ。向こうへ行ってる期間。まだ金額は決まってない」
「あ、城之内達も行くのか? お前らもうスキル出てるだろ?」
「俺らのバイトはもう始まってるんだよ」
「なに?なに?」
「自衛隊の荷物運び。向こうで必要な物を大量に運ぶんだと。董明と梁井は亜空間倉庫倉庫だろ? 明日から一日中荷物詰めだそう。俺と漆原は収納ボックスだからそこまで大量には入らない。けど漆原は魔法移動があるからな。明日は施設内を移動しまくるらしいぞ」
「マジだるい。バイト代出なければ絶対やらなーい」
「だな。俺は他のスキル検証だ」
「タガセンは? こっちでテイム出来るん? こっち魔物いないじゃん?」
「タガセン、動物を使役できるみたいだぞ? 訓練犬をテイム出来たってさ」
「え? それって日本でこの先、役に立つの? 動物使い?」
「んー。動物園……勤務とか? 獣医補佐とか?」
「タガセン、教師辞めるのか?」
数日後、女子が騒がしい。タガセンの個室が動物カフェもどきになってたそうだ。タガセン、乙女チックか。
ちなみに、やないさんと董明さんもテイムを持っている。
「ポチャ、あっちから戻ったばかりなのによく家族が許したな」
「うん……恭一郎さん、ええと兄なんだけど、恭一郎さんが一緒に行きたがって……。でも人数がマックスだから断った」
「自衛隊だって行きたい人が多いみたいだけど我慢しているって聞いた。一般人は行っても作業出来ないからただの観光だよね」
「あ、そうだ! パスポートっていうか渡航ギルドのカード、貰った?」
「貰った貰った」
「カッコいいよな。金属製のカード」
「失くさないように鎖がついているのもギルドカードっぽいな」
ふふ。僕も貰った!




