145話 召喚条件の謎
僕がおこなった8番目の国の召喚の話になった。
「なんかさ、今回、召喚陣が大きくなかった? ポチャ次郎、あんたどんな条件で召喚したのよ?」
思い出しながら話す。
実際に操作をしてくれたのはフォーレスタのエルフさんだった。僕と爺ちゃんは横で『条件』を説明していただけ。
「ええとね……」
第一条件:千葉県流山市立緑陽中学2年1組梁井美優を中心に召喚陣に入る人数マックスで
第二条件:職業は出来れば自衛隊員
第三条件:この世界で生き抜ける力のある者
に、したと思う。エルフさんにちゃんと伝わったか不安だった。けど、ちゃんとやないさんとみんなが来てくれた。
「城之内班じゃなかったかー」
「ちょっと、ポチャ次郎! 何で私限定なのよ!」
「だだだって、まさか、みんなと一緒に暮らしているって思わなかったし、何曜日かわからないし、土日だったらみんなバラバラの家にいるでしょ? やないさんなら自衛隊よく見にいくって言ってたから、自衛隊を連れてきてくれるかなって」
「召喚陣の広さに関しては謎が深そうですね」
近くで話を聞いていた数人の自衛隊の人が首を捻る。
「決まった大きさの召喚陣が発生するわけではない、のか」
「前回は25人の中2の生徒が教室という狭い空間にいた。どこの中学も教室の広さはさほどかわりませんからね。多少のはみ出しはあったが……」
「となると、召喚条件にマッチした大きさの陣が現れる可能性が高いな」
「今回はグラウンドという広い場所に散っていましたからね」
「しかし、第一に条件がダブルで入っていないか?」
「梁井さんと人数」
「いや、『梁井さんを中心に』という言い方なので、梁井さん自身を指したとは捉えなかったのだろう」
「なるほど。第一条件が絶対条件であるなら、広いグラウンドで梁井さんを中心にマックス25名が選出される広さの召喚陣か」
「お昼休みのグラウンドでしょ。そんな密に集まってはいないのよ」
「そう。太郎はトイレに行ってたしな」
「日向班も鈴山田班も、結構離れた場所で訓練してたな」
「自衛隊は金網で区切られた場所にいたのに、地面が光り出した時、隊員さん達がすごい勢いで塀を飛び越えて向かってきたね」
「ええ。自分らは訓練中でしたが、非常時は即中断してよいと言われておりましたから」
「流石、自衛隊です! ただ走ってくるだけじゃなくて、ちゃんとそこらに置かれていた荷物を手にとってからの猛ダッシュ!」
「スクランブルか!」
「スクランブルです!」
「タガセンが、見たことのないくらいの速さで突っ込んできたのよ。驚いたわあ」
「あれ絶対、縫った傷が開いたわよね。ダイナミックな飛び込み」
タガセンが少し恥ずかしそうに顔を俯けた。「んん」とか「ゴホっ」とか咳払い?痰が絡んだみたいになっている。
「第三条件で弾かれたのかなぁ」
近くの自衛官がボソリと言った。
自分より前に居た自衛官が数人、召喚陣から弾き出されたのが見えたんだって。
「召喚条件ってちゃんと仕事するんだな」
「どれかに当てはまれば召喚されちゃうと思ってた」
「第二の職業自衛隊はクリアだと思うので、弾かれたのは第三か」
「この世界で生き抜ける力のある者か」
「あー、確かに。池田はちょっと甘いとこあったからなぁ、無理と判断されたのか、したのか」
「したのか?」
「飛び込んだけれど、若干の不安を感じたんじゃないかと思いますよ。池田と同勤務時に、アイツ『異世界ちょっと怖いな』とか言ってましたし」
「なるほど」
「じゃあ私達の時も第三が関係してるの?」
「ブリンクランドの召喚の第三条件は『バランス力』だっけ?」
「正確には『全てにおいて偏りなく』だったわ」
「どう言う意味だろ。俺達どう判断されたんだろう」
「イチクミは俺が選んだ24人だ。勉強、運動、芸術、センス、コミュニケーション、道徳、勤勉。どれにおいても24人で一丸となれる、そんなメンバーを集めたつもりだ。ただひとつだけ、ポチャ次郎……草凪が心配ではあったが」
「なるほど」
「クラス24人で偏りがなくなる、そうか」
「違う。クラス24人だけじゃダメ。そこにタガセンが居て、固まる」
「ちょっと!やめてよ! 何コレ、今時観たことない青春ドラマ!!!」
「危なかったぜ。祖母さんちで観てたドラマになるとこだった」
「あら、私、昭和のドラマ好きよ」
なんかよくわからないけど、イチクミっぽくってホッとした。良かった。また会えて。




