143話 8番目の国
-----(時間は少し遡る)-----
僕は頭を絞って考えた。
かつて12国で一緒に召喚を行っていた。…………という事は?
昔あった国は、そんなに遠い僻地ではないのでは?
遠かったら一緒に召喚なんて出来ないよね?(勝手な想像だけどね)
乗り物がないこの世界だから隣の国も物凄く遠く感じる。
だけど、そんな世界だから、仲良くしているお隣同士の国って実はそんなに離れてはいないよね?
馬とか魔物に乗って行ける距離。
そして『境の頂』はそれらの国の中心にあるんじゃない?って思った。
だから地図の『塔』を中心に、円を描いてみた。
円の右半分、森、草原、沿岸部は国が多く残っている。
円から左側、ギリギリのところに山岳と砂漠の国。
けれど、荒地一帯には国がない。
もしかしてそこ、昔は荒れていなかったとか?
12国のうち5つの国が不明なんだよ?
荒地は国が5つあってもおかしくない広さだ。
それに荒地には何気にそこかしこに村が存在していると聞いた。
それってきっと過去に滅びた国の生き残りじゃないの?
となると、国は無くなったけれど、ストーンヘンジは残っている気がする。荒地のどこかに……。
ブリンクランドに戻ったら馬車を借りて、荒地を探そうと決めていた。
決めていたんだ。
だけど、やないさん達の方が早くにブリンクランドに到着していた!
びっくりすぎるんですが!
今回、召喚されたのは25人だったんだって。
僕と爺ちゃんの考えた召喚条件は以下の通り。
第一条件:千葉県流山市立緑陽中学2年1組梁井美優を中心に召喚陣に入る人数マックスで
第二条件:職業が自衛隊員
第三条件:この世界で生き抜ける力のある者
そしたら自衛隊員が20人、やって来た。
ちょ、ちょっとやないさん?
何で自衛隊の人に囲まれて暮らしてんだよ。びっくりなんだけど? いや、呼んだのはこっちだけど。
実はちょっとだけ期待してた。だから召喚条件に自衛隊を入れたんだ。
やないさんは趣味で自衛隊の薄い本を作っているって、前に言ってた。
たまに見せてくれる漫画も迷彩柄の服を着たイケメンだった。
「上手いね」
「まぁね。見学とか行くからね」
「自衛隊って見学出来るの?」
「学校の自由課題とか言ってる。学校じゃなくて完全に個人の自由課題だけどねw同人誌描いてるからw」
そんな話を聞いた事があったから、もしかしたら召喚のタイミングで自衛隊員さんが数人でも居てくれたらって思ってた。
まぁ、第二条件がダメでも第三があったからね。
でも、まさかの自衛隊20人???
やないさんって何者? もしかして中学生とは仮の姿で、実は成人している女性自衛官…………?
「あほ! ポチャ次郎! 私は正真正銘の中2だわ!」
「そうそう。ポチャ次郎、俺らもう直ぐ3年にあがるかんな? 3年1組。お前もな」
あのあの、やないさん以外に城之内君が居るんだけど?
董明さんと漆原さんも居るんだけど。
「驚いたよなー、梁井の周りにいきなり召喚陣が出てさ」
「いつ呼ばれていいように準備はしていたけど、お昼に呼ばれて焦ったわ」
「そうよ! ポチャ次郎! 召喚するなら朝会の時にしなさいよ!」
えっ、えっ、こっちはお昼じゃなかった気が……。地球とここと時差があるんだ?
城之内君に腕を引っ張れらて耳元で話された。
「ポチャ次郎ぉ、よりによって何でタガセンまで呼ぶんだよ! お前、どんだけタガセン好きなんだよ」
え、あ? タガセンも居た。
今回の召喚で呼ばれたのは25人。
自衛隊員20人と、やないさん、董明さん、漆原さん、城之内君、そしてタガセンの、合計25人だった。
その後に交換した話で、みんなが地球に戻った後は普通の生活ではなくなったんだって。
どこかの謎の施設で毎日勉強してるんだって。イチクミだけでなく、めぎ中やさか中や、他の召喚された中学の子達は全員そこで生活してるって。
それで今回、お昼休みにやないさんの足元から召喚陣の光が湧き起こって、やないさんと一緒にいた董明さん、漆原さん、城之内君が4人でかたまり、近くでそれを見た自衛隊の人とタガセンが飛び込んだんだって。
自衛隊の人、20人も飛び込んだんだ。凄いな。
「召喚陣に間に合わず悔しそうなやつも居ましたね」
自衛官さんが笑っていた。自衛隊って異世界に行きたい人多いのかな?
「赤城達も走ってくるのが見えた。あいつらも悔しがっているだろうな」
「そうそう。太郎もスライディングしてくるのが見えたけど惜しかったわね」
今回の召喚でやないさん達が現れた場所は、国は無くなっていたって。
ただやないさんは残り5国の場所もだいたい把握してたんだって、
凄い!やっぱりやないさんは凄いな。呼んで正解だった。
それで、その国からブリンクランドへ向かったんだって。
沿岸沿いの僕らよりずっと早くにブリンクランドに到着していたって。
「よく無事に到着出来たね。あ、あの白い部屋で新しくスキル取ったの? 宝箱の中のスクロールは僕らの時とおんなじスキルだった? それとも別のスキル? スキルじゃなくて武器とか金貨とかだった?」
「無かったんだよ」
「えっ?」
「無かったのよ、何も」
「宝箱は空っぽ」
「ええっ! そうなの?」
「たぶんだけどさ、俺らが前に来た時、自分達の部屋以外に5つの空間にあった宝箱を開けただろ? あれって別の国のだったんじゃないかな」
「そうよね。数が合う。以前は12国あって召喚も12。私達が前に来た時は7つの国で召喚、だから5ヶ国分の宝箱が余っていたはず。でも私達が6個の箱を開けた。ブリンクランドのひと箱と他5箱」
「だわねー。前の時に宝箱のスキルは使い切った感じね。だから今回はカラだったのかなって」
「そうなんです! 残念です! スキル取得を楽しみにしておりました!」
自衛隊の人達が物凄く残念そうな顔をしていた。
僕達、欲張ってごめんなさい。
「あ、じゃ、もしかして今回は全員スキル無しなんだ……」
「それがね」
「ふっふっふ」
城之内君も漆原さんも、なんかドヤ顔?
「私達、地球に戻った時はスキルが消えていたのに、こっちに来たら復活してたの!」
「そうなのよー、前のスキルが復活」
董明さんも嬉しそう。
と言う事は?
城之内君が弓、付与、体力回復、回復、解毒、解呪、収納ボックス。
やないさんが、鑑定、生産(採取等)、亜空間倉庫、生産(養殖等)。
董明さんが、鑑定、生産(採取等)、亜空間倉庫、生産(養殖等)、マッピング。
漆原さんが、弓、付与、体力回復、回復、解毒、解呪、収納ボックス、魔法移動。
タガセンが、生産(養殖等)×2。
自衛隊員さんは全員、ノースキル……。ごめんなさい。
「しかもしかもね!」
落ち込んでいる自衛隊員さんを横目にかなり嬉しそうなやないさん。
「帰還前に亜空間倉庫に入ってた物が、全部そのまま入っているのよおお! グッジョブ!亜空間倉庫!」
「収納ボックスにも入ってるわよ」
漆原さんが対抗するように言った。城之内君も首を縦に振っている。
そっか。だから僕らよりずっと早くにブリンクランドに到着したんだ。
漆原さんならブリンクランドのブックマークはあるもんね。
自衛隊員さんが物凄く羨ましそうな目で見ていた。
本当、ごめんなさい。
僕のスキルを渡せるものなら返したい。
それからこちらの情報を伝えられるだけ伝えた。
僕の記憶力は容量が少ないしどんどん消去されてしまってるので、そこは爺ちゃんと山﨑君が話していた。
今回召喚25人。
帰還は本郷中17人、僕、爺ちゃん。再召喚のろく中(タガセン含む)が5人。
合計24人だから帰還枠は足りる。
自衛隊から1人だけ帰れるけど19人はここに残る事になる。
どうするんだろう……。
それは大人が考える事だから心配しなくて良いと言われた。
今回、やないさん達は再度持っている情報を自衛隊の人達と照らし合わせている。
「ポチャはいいわよ。どうせ、忘れちゃってるでしょ」
う、うん。ごめん。あまり……ほとんど覚えてない。
自衛隊員さんは今回、ひとりだけ帰還する。
実は残り4国の場所もだいたい掴んでいるそうなので、あと3回は行き来出来る。
4回目に残った人は、もう帰れなくなる。
けどそれも国が考える事だって。
ただ、スキルが貰えないのが厳しいと言っていた。
「召喚が100年単位くらいで行われていたのは、もしかするとスキルスクロールが作られるのにそのくらいの時間が必要だったのかも知れないわねえ」
さすが董明さんだ。
「だとしたら、私達が生きているうちには新スキルは貰えないわね」
漆原さん、まだ貰う気でいたのか!
「ほら、ポチャ、これも食え。美味いぞ」
「あ、私、お菓子色々持ってきてるよ。ポチャ、チョコ好きでしょ」
帰還まで色々とやる事があるみたいで、僕らはまだブリンクランドに居る。
そんで、やないさん達イチクミのみんなが何故かやたらと僕にオヤツを与えるんだ。
「もう! こんなに痩せちゃって!」
「ポチャ次郎の名が泣くぞ、ほら、これ食え」
塔の近くの村での登り降りで僕はかなり痩せたみたいだった。
それでもあの村やディサートの人達よりは太っていたから、意識してなかったんだけど、僕を見たやないさん達がすごく慌てていた。
タガセンからもピッタリマークされるようなった。
みんなは相変わらず朝晩城庭5周だけど、何故か僕は免除されている。
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完…………では、ないです。
もう少し続きます。(;´Д`A




