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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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138/150

138話 誰かのせい

 塔に比較的近いこの村には、僕らが全員で泊まれる宿はない。

 なので、数人ずつ分かれて、大きめのお宅にご厄介になっている状態だ。空き家とかも無かったんだ。


 僕は爺ちゃんとふたりで、村の南側のハズレに建っている小さい家でお世話になっている。

 ええと、風情があるって爺ちゃんは言ってた。


 爺ちゃんが昔住んでいた村は、割とこんな感じだったんだって。 

 ええと、細い丸太や皮を剥いていない木の板とかで建てた家。隙間が結構あって虫とかが普通にいる。天井に蜘蛛の巣もある。この世界にきて獣とか魔物を普通に見ているから小さい虫はもう全然気にならない。


 この家には一家6人が住んでいた。

 この家のご主人と奥さん、それと子供4人が住んでいる家の一室に僕らは住まわせてもらった。


 子供は赤ちゃんと、小学生以下くらいの子が3人。僕らは子供らと一緒に寝させてもらってる。


 寝る時はみっちり並んでいるけど、朝、目が覚めるとひとりが僕の腹の上、もうひとりは僕の腹を枕に、もうひとりは僕の股の間に挟まり太ももを枕にしている。

 狭い部屋に居候させてもらっているから仕方ないよね。


 本郷中の生徒も1〜2人ずつ、どこかの家にお世話になっている。


 フォーレスタの森を出たのは僕だけじゃなかった。

 エルフさん達が僕ばかりを特別扱いするので女子が怒り、僕だけ出ていこうと思ったけど爺ちゃんが許さなかった。


 それで爺ちゃんとふたりで近くのどこか村へと考えていたら男子もみんな来たいと言い出した。


 女子だけをフォーレスタの森に預けたけれど、僕が居なくなったあとのエルフさん達の反応がかなり冷たいと、女子が怒り、それに男子が怒った。「お前らいい加減にしろよ!」

 結局、女子も村へ連れてきた。


 正直、『えー……』って気持ちが隠せず、顔に出てしまった。爺ちゃんに頭をポンポンされた。




------


 僕は朝早くに起きてすぐに罠を見にいく。かかっていたら血抜き。

 山だからなのか、細い川みたいのがそこらで見かける。


「沢か」爺ちゃんが言ってた。

 さわ、なのかな?わからないけど、近くにソレがあればそこで血抜き。なければ、木にぶら下げておく。


 罠から獣を外したら、また新しい罠をセットして、帰りにはそこらじゅうから物を拾って歩く。

 何がどこで使えるかわからないからね。鑑定スキルも使って食べられそうな草と実ときのこを拾う。


 家に戻る頃には朝ごはんが出来ている。

 レソトさん、あ、レソトさんはお世話になっているうちのご主人、レソトさんと奥さんも朝から庭の畑の世話をしている。

 平らな地面が少ないからか、畑も小さい。


 それからご飯の準備、その頃には子供らも起きている。爺ちゃんは腰を叩きながら畑を手伝っている。


 ご飯のあとは血抜きしてた獣を取りに行く。僕ひとりでも亜空間倉庫に入れてこれるんだけど、爺ちゃんからスキルの事は言うなと言われてた。


 だから、担いで持って帰らなくてはならない。

 重い、重いんだよお、これが。

 最初の頃、とても持ち帰れなくて、それで村の他の家にも助けてもらうことになった。


 どっちにしても本郷中のみんなの食料にもなるわけだし、村にお世話になっている代金がわりに獲れた獣を差し出している。

 僕は場所を案内してまわる係。それでも毎日結構な運動量だよね。




 最初の頃は毎日夕方集まり、話をしていた。

 本郷中17人にろく中の僕とめぎ中の用務員だった爺ちゃん。

 僕と爺ちゃんは話し合いでも部外者っぽくて入りづらかった。


 話し合いは新堂や徳野への非難から始まり、生き残った鶴田を責めて、鶴田達と一緒にいた原君達を攻める人がいれば、原君達は鶴田を恨んでいる。

 本郷中男子9人は5vs3vs1の言い争い。


 女子はディサートに戻りたがっている。フラワータウンの方が良かったって言う。


「ねえ、ディサートに戻ろうよ。だって私たちあの国に召喚されたんでしょ? あの国には私達を面倒見る責任があるんじゃない?」


「召喚出来そうになったら声かけてよ。そしたら行くから」


「行くってどこにだよ」


「知らないわよ! 帰還出来るところに?」


「どこだよ!」


「どこから帰還するの?」



 そうだ、その問題がある。大きな問題だ。


 あの使えそうな召喚陣はどこの国? どこにある国なの?


 召喚は『境の頂』で操作するけど、実際に召喚された人は、その召喚した国のどこかの場所に出現する。

 僕らがブリンクランドの平原にあるストーンヘンジに出たように、本郷中のみんながディサートの砂漠の中のストーンヘンジに出たように。


 今現在知られている国は7つ。

 じゃあ、8番目の国はどこのなの? そんで、そのどこかの国のどこにストーンヘンジがあるの?


 ブリンクランドの書庫で探した文献ではそこまで見つからなかったと思う。

 どこかにソレが載った文献がないかな。他の国を訪ねて書庫で文献探しをさせてもらわないとダメかなぁ。



「今現在、この大陸の大きな国は7つ。他の5つは既に滅んだ国かもしんねぇな」



 爺ちゃんがボソリと呟いた。国が滅んでもストーンヘンジが残っているといいけど。



「それって、もしも、滅んだ国の召喚陣を作動させたらどうなるんだろう……。呼ばれた人はこの世界にちゃんと出てくるのかな」


「どうだろうな……。わからんな」



 うわぁ、責任重大。うっかり呼べない。でも呼ばないと僕らは帰れない。でもでも召喚された人が、国が無いからってへんな次元の隙間とかに落ちちゃったら。


 うわぁ、でもでもでもー。


 僕と爺ちゃんの苦悩をよそに、本郷中のみんなは『誰が悪い』論争に夢中だった。

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