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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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136/145

136話 フォーレスタに戻ってきた

 フォーレスタに戻ってきた。


-------


 森林方面への商人ロードを見つけた爺ちゃんは、その道に立て看板を取り付けた。

 看板には村の位置と、出来ればその村に寄って欲しいと書き添えた。


 そこを通った商人一行がもしもそれを目にしたら、そして、もしも寄っていいと思ったら、村にお迎え馬車がきてくれるかも。



 来た。商人一行の馬車が来た。

 看板を見たから、ただ村まで足を延ばしたわけではなかった。爺ちゃんは、村へ来ない場合でも、フォーレスタ、ウッダレジオン、ウッドランドへの伝言を貼り付けていた。


 各国の宰相宛てである。それを見た商人はUターンをし、さらに道を外れるのもお構いなしに村まで来たのであった。


 商人一行と一緒に行ったのは爺ちゃんと山﨑君のみ。僕と由良君は安定の留守番。

 向こうに到着してフォーレスタをブックマークした山﨑君が爺ちゃんと戻ってきた。



「フォーレスタではいつでも歓迎すると言ってくれた」


「すげえ、俺、エルフ初めて見た。人間じゃねえ。8……10…12等身?」



 うん。人間じゃないよ。エルフだもん。僕なんて3等身くらいなのに……。


 僕らはずっとお世話になっていた村のみんなに挨拶をして回った。由良君の挨拶まわりがこれで本当に最後になってしまう。由良君は村人に囲まれて惜しまれていた。僕はただ揉まれた。



「ディサートのみんなはいつ呼びに行くの?」


「フォーレスタで生活の目処が立ってからじゃの」


「みんな驚くだろうなぁ。特に女子が煩そう」





 村から少しだけ徒歩で移動した。入口で送ってくれた村人が見えなくなった所で、山﨑君の魔法で飛んだ。


 森の中!

 森だ! 木だ!木だ!

 あー、なんか湿ってる。草ぼうぼう。木の実ぃ!



「落ち着け、ポチャ次郎」


「あ、ごめんなさい……」



 蔦が絡まる巨大な樹。絡み合う枝と蔦がの通路が頭上にある。樹の棲家、上にも下にも樹のようで建物のような、あ、顔が覗いている。あそこにも。あっちにも。


 フォーレスタのエルフさん、向こうも僕を覚えていたようで、あっという間に美形エルフに囲まれた。

 囲まれて揉まれた。………揉まれたというよりは、こねられた?

 やめて、お餅になっちゃう。


-------


 広い空間のある太い幹の家の中、爺ちゃんがこれまでの話をした。

 フォーレスタの誰かに(タガセンが)お願いして、境の頂に塔まで行ってもらい『帰還』の操作をしてもらったのに、僕らは帰れなかった話。


 まだディサート国に15人残っている事、彼らをここに連れてきたい、ここでしばらく生活したいと爺ちゃんが話をした。

 その間、僕はガッチリキープされて揉まれていた。

 フォーレスタのエルフさん達は気持ちよくオッケーしてくれた。


 僕らは、麗朋学園の女子達が使っていた部屋を貸して貰える事になった。

 爺ちゃんと山﨑君が本郷中のみんなを迎えに行った。



「皆への説明と、お世話になっていた方々への挨拶まわりで、帰りは少し遅くなるかもしれん」


「大丈夫です。なっ?ポチャ次郎」

「うん、大丈夫」



 僕と由良君は留守番だ。

 由良君は村でやっていたみたいに挨拶回りを始めた。例のリジェネ飛ばしをしながら。


 僕もついて歩いた。爺ちゃんから『ひとり行動禁止』と言われているから。ただ、村の時と違って、僕の揉まれ具合が半端ないんだ。うー、行きたくない。ひとりで森に木の実を拾いに行きたいよぉ。



 爺ちゃん達は思ったより遅くならなかった。(助かったぁ)


 予想通り、本郷中のみんなは大騒ぎだった。

 暑く寂れたあの国とは異なる、樹々に囲まれた美しい幻想的な瑞々しい森、そして美しいエルフたち。


 本郷中のみんなは泣いていた。(え? 泣くほど?)


 夜には歓迎会も開いてもらった。新鮮で豊富な水、たくさんの美味しい料理。

 僕は目の前のご飯より、揉まれ疲れてしまって早く寝たかった。


 でも、一番疲れたのは爺ちゃんと山﨑君だ。

 内藤君達はそれをちゃんとわかってくれていて、山﨑君や爺ちゃんにお礼を言っていた。

 女子はエルフさんに目をギラギラと輝かせている。誰が良いとかこっちのが良いとか、『推し活動』をするらしい。


 僕にはまだ区別がつかない……。全員『綺麗なエルフさん』枠だ。



------


 久しぶりに爺ちゃんとふたりの寝室。みんなは何人かずつに分かれて部屋割りをしていた。

 鶴田君はひとり部屋。この部屋の隣。


 僕は本郷中でなくて良かったと、つくづく思った。

 新堂君なんて怖いいじめっ子も居るし、部屋分けで『ひとり』とかするし。

 イチクミのみんなに会いたいなぁ。太郎君、元気かな。



 僕は、新堂君と一緒に帰った徳野君が気になっている。

 なんで新堂君は徳野君だけ連れて帰ったんだろう? 鶴田君と高松君は刺されたのに。


 僕はそれが気になっている。

 あ、でも僕は名探偵にはなれない系だから推理はいつもハズレる。

 

 ジャイアントと手下3人、じゃなかったのかな。最初から新堂君と徳野君は手を組んでいて、高松君と鶴田君は利用されたのかな。

 高松君は死んじゃったから、新堂君と鶴田君は殺人犯になっちゃったのか。


 鶴田君の傷がだいぶ良くなってきてから、内藤君達が色々と聞き出したみたいだけど。

 結局鶴田君の口から出た言葉は、鶴田君から見た意見だし。みんな自分で自分を悪くは言わないよね。

 本当に高松君を刺したのは新堂君と徳野君なの?


 みんなの話で『徳野君にいじめられた』って話はあまり出てこない。だから鶴田君を疑っている人もいる。

 でも『イジメをしない』人が、イジメっ子の新堂君と仲良くするかな。


 僕らが眠っていた時、何が起こったのか。誰も知らない。


 タガセン……大丈夫かな。無事にあっちに戻っているといいんだけど。

 イチクミのみんなの元に戻れたかな。



「爺ちゃん、あれからどれくら経ったっけ?」


「あれからとは?」


「んと、イチクミのみんなが360日目の帰還をしてから」


「ああ、そうだな。なんだかんだで一年近く経つか」


「みんなが帰ってから1年近く。じゃあ、みんなはもうすぐ3年生になるね」


「そうじゃのう」


「僕、戻ったら留年? みんなと学年が違っちゃうね」


「どうかのう」



 留年より前に帰還しないと。

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