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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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128話 今更スキル

 混乱の中、スクロールを開いた者が数人いた。

 それならスキルを取得しているはず。



「ステータス出ないぞ、スキル持ってないからじゃないのか?」


「スキルあってもステータスは出ないです」



 ステータスが出ないってイチクミでも最初の頃騒いでいたな。

 結局その後、この世界には『ステータス画面はない』って理解した。地球にもなかったじゃん。


 ただ、ステータス画面がないとスキルが見えなくて不便って言ってた。あとレベルも表示されないし、とかね。

 本郷中のみんなも、あの頃のイチクミと同じようなことで騒ぎ出した。


 こっちに来る寸前にスクロールを開いた人に集まってもらう。

 僕はスキル一覧を書いた紙を出した。取得したのがわかっているのだけ横に名前を書いていく。


 手を挙げた以外の子も集まってきて紙を覗いている。



「新堂君が他に取得したスキルってわかる?」



 原君達3人が新堂君1番近くに居た。スキルを使うのを見ていたはず。



「体術かなぁ……」


「でも、元から乱暴者だったじゃん。兄貴がボクシングやってるとか空手やってるとか、噂だけどさ」


「そっか。でも、中学生とは思えない蹴りだった。俺、多分、骨いってる。あれから普通に立てないし」



 原君と一緒に避難してきた坂本君は、膝が変な方に曲がって歩きにくそうにしていた。

 あれ、生まれつきじゃなかったんだ。

 回復スキル持ち、いないかな。そうだ!



「あの、さっき手を挙げた人、スクロール開いたっぽい人」



 僕が全部を言う前にまた数人が手を挙げた。



「あのね、ちょっと坂本君に手のひらを向けて、回復!って言ってみて」



 手を挙げた人が首を傾げながら坂本君を取り囲んだ。



「回復」

「回復……」

「回復」



 ビンゴ! 坂本君が薄く光った!

 ええと、坂本君の背中側に立ってた女子。


 彼女を指差してしまった。人を指差すのはいけないんだった。

 慌てて人差し指をぐぬっと下に曲げた。

 でもさ、人差し指って言うくらいだから指差してもよくない?

 それはともかく。



「あの、もっと続けて言ってください」


「え? 回復って?……回復、回復……? なんか指から出てる?」


「はい。この人は、回復スキル持ちです」


「えええー」



 その場に皆の声が上がる。歓声と、羨ましがる声。

 坂本君の顔の右半分にあったアザも薄くなった。

 足は……そんなに直ぐには治らないか。



「スキルを取得しても、ステータス画面があるわけじゃないから。自分で覚えてるだけ。だから、こっちに来る前にスクロールを開いた人はそのスキルを取得している可能性が高い。100%くらい」


「100%なら、可能性が高い低い関係ないじゃん。絶対取得済みだろ」


「でも、何のスキルかわかんないよ、あん時かなり揉めてたし」


「そうそう。水浸しだし転がされたしドアに吸い込まれたし」


「スクロールを開いたっぽい人は、とにかく何でも試してみればいい。その中で使えるのがあれば、スキル取ってる」


「他に何があったっけ?」

「さっきの紙見せて」



 今、回復を使った女子に名前を聞いた。さっきの紙に慌てて回復の横にその名前を書き込んだ。



「スキルは25個、全部違うから回復はもう終わりー。別なのを唱えてみて」


「唱えればいいのか? スキル名を?」


「あ、待って待って、攻撃スキルは人に向けちゃダメー」


「剣術とか槍術とか唱えてもスキルは発動しないぞ、物が無くてもできそうなとこからつぶしていったほうがいい」



 高田の爺ちゃんが見かねて口を挟んでくれた。

 そっかぁ。じゃあここで出来そうなのから試したほうがいいかな。

 何だっけ?前にジャンプしてたのあったよね?付与スキルだっけ。付与の……跳躍!

 それと鑑定も試せそう。あとは収納系。



「あ、じゃあね、付与跳躍って言ってみて。付与スキル取った人はびっくりするくらい飛び上がるから天井に気をつけて」



 結果、誰も飛び上がらない。付与スキルを取得した人はいないのか。



「だったら近くの椅子とかテーブルを見ながら鑑定って言ってみて」



 集まってた生徒たちがボソボソと鑑定と口にした。



「だあーっ! 出た! 出た出た出た。高級な絨毯って文字が出たぁっ!」



 叫んだ男子がいた。



「鑑定スキル取得済み、だね」


「おおおぅ!」

「いいなー」



「そしたら、残りの人は、収納ポーチ、収納ボックス、亜空間倉庫って言って、手に持った物を見えないとこにしまうイメージしてみて。物が消えたら収納系のスキル持ち」


「その3つに違いがあるのか?」


「うん。入るサイズが違う」



 誰からも声があがらない、収納系スキルはいないみたい。あと、ここで出来そうなのって……。



「あ、魔法移動とマップ出来るかな。ええと、ちょっとあっちまで言ってそこでブックマークと唱えて。それでこっちに一旦戻って、あそこまでテレポートするイメージで、魔法移動唱えてみて」



「うおっ!」



 おおお? ひとり飛んだ。



「山﨑が消えた!」

「山﨑あっちにいるぞっ!」

「俺……オレオレ、テレポートしたああああ」


「あ、うん。おめでとう。ええと、山﨑君? 魔法移動スキル持ちです」


「やっべ、俺やっべぇぇ」

「いいなぁ、山﨑」


「魔法移動のスキル持ちがいてくれるのはありがたいです。ええとね、魔法移動は本人だけじゃなくて、周りみんなも連れて飛べるんだよ。だから、逃げる時とか疲れている時に便利。練習すると距離や回数も伸びるから」


「回数制限あるのか」


「うん。最初のうちはすぐに使えなくなる。ある程度時間が経てば復活するけど、常に練習しておけばスキルアップするって、千谷君が言ってた」


「千谷って緑中バレー部の千谷?」


「うん、そう。千谷君がそのスキル持ってた。もう帰還しちゃったけど」



 その後、マップも試したけど出来る子はいなかった。僕の亜空間倉庫に入れたのをすっかり忘れていた武器の存在を爺ちゃんから指摘されて剣やた弓やらを出したけど、使える子はいなかった。


 毒回復とか確認出来ないものがあったけど、今のところスキルを取得出来たのは3人だった。


 回復、鑑定、魔法移動。


 この先、何があるかわからないので、スキルの練習はしたほうがいいと話しておいた。

 話したけど、動かないんだね。イチクミのみんなは即行動してたのに。



 現在判明しているスキル一覧。

火魔術 新堂

水魔術 新堂

風魔術 新堂

土魔術 木田

魔法武器

体術 たぶん新堂

剣術 不明

槍術 不明

双剣術

弓術

投技術

付与魔術

体力回復 由良かも

回復 湯本

毒回復

解呪

鑑定 内藤

生産採取他

生産狩猟他

生産テイム 山口(亡くなった)

マッピング

魔法移動 山崎

亜空間倉庫

収納ボックス

収納ポーチ



 原君達は新堂君が魔術系を使うところはよく見たけど、それ以外はわからないとの事だった。

 白い空間での話を聞いた感じから、混乱の中すぐに召喚(扉を誰かが開けた)があったみたい。

 もしかしたらそれほどスキルは取っていなかったのかも。

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