表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
127/136

127話 原の話

 ポツポツ話し出した原君の話を埋めるように坂本君と吉田君も混ざってきた。


 城からここに来てみんなに会った時、やはり坂本君も吉田君も泣きながら謝っていた。

 この国に来たばかりの頃、新堂君の下で威張っていた事を悔いていたんだって。


 内藤君達の処刑の話を聞いた時、中村さん達女子が売られた時も、もう絶対に許されない人間になってしまったと思ったって。


 3人は普段の新堂君がどんなスキルを使っていたか、思い出しながら話を続けた。



「新堂が取ったスキルは水魔術の他に、火魔術と風魔術もあった」


「うん。言う事を聞かないと火で炙られるんだ」



 そう言って、引き攣った火傷の痕を見せられた。



「風魔術は面白がってよく使ってたよな。俺らだけでなく、高松や鶴田も飛ばされてた。飛ばされたって言っても2〜3メートルだけど。高さはそうでもなかったし、火よりはマシかな」


「他には? スキルスクロールは25枚あったはずだよ?」


「んー……。火、水、風が新堂なのは確かだけど、他は何だろ?」


「ええと、土魔術は木戸君、生産のテイムが……えと、名前忘れちゃったけど女子が取ってたはず」


「木戸が土魔術!」


「木戸のやつ、どさくさに紛れてスクロール取ってたのか」


「テイムを取った女子って、瀬戸かな。今ここに居ないのって瀬戸と……山口」


「あ、多分、山口さん。瀬戸さんはノースキルだった」


「ふたりは今、どこに? ろく中さんの召喚された国に?」



 きつい花の香がする女子数人に囲まれた。

 オシャレタウンに匿われていたからかな。香水? かなり強い匂い。さすがはフラワータウンを名乗るだけある。



「あー、えとえと……」



 振り返ってタガセンを見たら小さく頷いたように見えた。話していいんだよね?



「ええと、蒼井君、木戸君、瀬戸さん、山口さん? あともうひとり」


「河野かな、木戸達と仲良かった、もうずっと見てないな。木戸達と逃げたんだ?」


「たぶん河野君。5人がこの国を出てブリンクランドに辿り着く前に、山口さんと河野君は亡くなったって、蒼井君から聞いた。ブリンクランドには蒼井君、木戸君、瀬戸さんの3人だけが辿り着いた」


「そんな……」

「うっそ…」



 処刑されたと思ってた5人が生きていたのに、無事に逃げたと思ってたうちの2人が亡くなってた。


 逃げなければよかったのか。

 違う。その時にはそれが正解だったはず。

 でも、正解だと思った行動が裏目に。悲しいね。


 オシャレ女子がみんな静かになっちゃった。でも泣いている子はいない。強い。色んな意味で。



「あの、話、続けていい? それで、他にもスキル取った人はいる?」



 みんながキョロキョロとお互いに顔を見合っている。

 ひとりがおずおずと手を挙げた。



「あのぉ、私、あの時に拾ったの。新堂の水で弾かれて飛んでいた筒。紙っぽいのに濡れてなくて驚いた」


「それは何のスキル?」


「知らない。じっくり見る時間なかったし、新堂に見つかったら水で飛ばされるから直ぐに隠した。でも、そのあと凄い力で引っ張られて砂地で目を開けたときには、もう無くなってた」


「実は……私も」



 手が幾つか挙がった。

 拾って開いた時に吸い込まれたって子もいた。



「私も! 新堂に見つからないうちにってしゃがんで開いたけど次の瞬間には吸い込まれちゃったから」



 吸い込まれたのは、この世界へ来る扉だ。扉の近くに居た誰かがドアを開けた、そしてそこに踏み込んだんだ。

 ひとりが入ると全員がこっちの世界へと引っ張られるって、どこかの薄い本に書いてあったはず。やないさんが読んでた。



「えとね、あの部屋は僕らにスキルをくれる部屋なんだ。宝箱に入ったスクロール、それがスキル。それで、誰かひとりでもスクロールを開いてスキルを取得すると、この世界への扉が現れる。でもドアを開けなければ、ゆっくりスキルを選べる」


「誰かがドアを開けたのか」


「うん。多分、元の世界へ戻る扉って思ったのかも。それで、ひとりでも扉を潜るとその部屋に居た全員が扉へと吸い込まれて、召喚した国へ来ちゃうんだ」


「誰だよっ! ドアくぐったやつ」

「そうよ! もっとゆっくり探したら戻れるドアがあったかもしれないのにいいい」


「あのっ、あの! 戻るドアは、無いと思う。召喚されたらもうこっちにくるしかないみたい。だけど、あの部屋でスキルを貰えるのは神様から僕らへのプレゼントって言うか、そんな感じ?」


「そのプレゼントは新堂の独り占めかよっ!」

「くそっ! 死ねよ、新堂」


「ダメ。嫌いでもその言葉は言っちゃダメ。後で絶対後悔するから」


「しねえよ、後悔なんて」


「ううん、する。この先、元の世界に戻れて、もしも新堂君が戻れなかったり、死んだりしたら、今は思わなくても、いつかきっと思う。ずっとずっとあとになって、何であの時思っちゃったかなって。だから、新堂君のためじゃなくて、自分のために、言っちゃダメ」


「わ、わかった……」


「でねでね、スキルの話に戻るけど、引っ張られてドアをくぐる前にスクロール開いた人、何人かいるよね?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ