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2年1組、Go to アナザワルド 〜イチクミ、異世界へ〜  作者: くまの香


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123/127

123話 その頃の日本②

 -----(城之内視点)-----


 そんな話で盛り上がっていた7月も終わりの頃、5つ目の学校、麗朋学園中等部2年B組25名が戻ってきた。



「麗朋学園? どこ?」


「都内の私立だって」


「違う違う、召喚したのどこの国?」


「フォーレスタ国だって。ウッドランドの北の、ウッダレジオンよりもっと北だって」


「かなり山脈よりの森林地帯か」


「行ったと思うか?」


「タガセン達?」


「どうだろなぁ。そんな森の奥より、本郷中が居る砂漠を目指すんじゃないか?」


「だよなぁ」



「朗報だ!」



 部屋へ入ってきた日向の表情が明るい。今回呼び出されたのは日向と鈴山田だった。

 弾んだような日向の声に皆の視線が集中する。


 ニッと笑う日向。早く話せ! 朗報ってなんだよ。



「ポチャ達はウッダレジオンに居た!」



 何と、ポチャ次郎はウッダレジオンに行ったのか。だが一緒に戻っては来なかったんだよな?



「残念ながらポチャ次郎は帰還しなかった。ウッダレジオンに召喚された麗朋学園は25人全員が生徒だったんだ。だからタガセンも彼らだけを帰還させたそうだ」


「日向! ポチャは元気だったか?」

「ポチャ次郎、泣いてないか?」

「ポチャ次郎君の事だからうっかり何かやってない?」

「ポチャ次郎、食いすぎで腹壊してないか」

「拾い食いしてないかな、ポチャ君」

「召喚陣から転げた時怪我してないといいんだけど」



 俺も含めて皆が日向と鈴山田さんを囲むように近づいた。皆、ポチャ次郎の安否がずっと気になっていたからだ。



「大丈夫。ポチャ次郎君は無事だし元気ですって」


「麗朋の生徒は全員が女子なんだよ。それで鈴山田から話を聞いてもらった」


「でも麗朋の皆さんもあまりポチャ次郎君と接触はなかったんですって。エルフさん達と森へ狩りに行ってしまったっておっしゃってました」


「それと、タガセン達がウッダレジオンに到着して、大して経たずに麗朋女子は帰還したんだって」




 ポチャ次郎を連れたタガセン一行は、ブリンクランドから北を目指した。

 何故だ?


 本郷中の蒼井がポチャ次郎の帰還の席を奪ったせいで、ポチャ次郎は帰還できなくなった。

 ポチャを帰還させるには、空いているはずの本郷中の帰還の席を使用するしかない。


 となると、タガセン一行は本郷中が居るはずのディサート国を目指すと思っていた。

 あの世界には、正確な世界地図など存在していなかった。だが、過去の記録等で大まかな位置はわかっている。


 砂漠地帯へは、ウッドランド辺りの森から西へ、荒地を超えて行くのが方向的には近いんだが、実際にはそうもいかない何かがあるのだろうか。


 もしくは、タガセンには何かの思惑があり北へ進んだのか。

 北の森林地帯。ウッドランド、ウッダレジオン、フォーレスタ。森林地帯も謎だらけではあったはず。



「タガセンの思惑は何かしらね」



 俺への問いかけかと思ったが違った。近くにいた董明さんが鈴山田さんにかけた言葉だった。



「ポチャ次郎君を、先に帰そうと思っているんじゃないかしら?」


「ポチャを?」



 つい割って入ってしまった。



「そう。私達って向こうに居た時、どこの国がどこの中学を召喚したのかわからなかったじゃない?」


「そうだな。実際に出向いて会うまで、知るのは不可能だったな」


「タガセンはポチャ次郎君をまず帰還させたい。もしも、ウッダレジオンかフォーレスタが召喚した学校に先生が居たら。自分のように子供を優先に帰還させてくれるかもしれない」


「そうか……。そこにかけたのか」


「でも実際にそこに行ってみるまではわからない。遠い砂漠のディサートなら本郷中の帰還席に空きがあるのは確実。だけど、かなり危険と思ったのね。だから出来るだけ近場で……」


「だけど、ウッダレジオンは帰還してしまっていた」


「そう。そして、昨日戻ってきた麗朋学園は生徒だけだった」


「となると、タガセン一行が次に向かうのはアンブリアか」


「アンブリアもかなり厳しい道のりみたいだったわね」


「アンブリアに先生枠があればいい。せめてポチャ次郎を帰してくれる、そんな先生が居てくれたら」


「きっとタガセンもそう願っているわね」

「そうね。タガセンだもんね」

「タガセン、ポチャ可愛がってたからな」

「やだ、それ聞いたらポチャが目をひん剥くわよ。いつもタガセンビンタを気にしてビクビクしてたから」

「タガセン報われねえな。可愛がってる生徒にビクビクされて」

「そういうあんただってビクビクしてるじゃない」

「俺はいいんだよ、ビクビクしても。俺は可愛いがられてないからな」


「とにかく、今現在、ポチャ次郎が元気なのがわかってよかった」


「だな。あ、そうだ。さか中とめぎ中にも教えてやろうぜ」



 

-----(調査員視点)-----


 謎の失踪をした七つの中学校。そのうち五校が戻ってきた。まだ行方不明のままなのは、本郷中学校と埼玉の第五中学校。

 ただし、帰還済みの緑陽中学校は生徒1名、教師1名、芽木つくし中学校は用務員が未帰還のままだ。


 そして本郷中学校から男子2名と女子1名が帰還している。


 本郷中学3名は、他の中学の生徒とは別棟の個室にて聴き取りを行っている。


 3人から聴取した話と3校の生徒達の話から、向こうの世界も国によってかなり扱いが異なる事がわかった。


 それはそうか。誘拐テロと例えると、こっちでも、日本、米国、アジア、南米、どこの国に攫われたかで扱いはかなり違うかもしれない。まあ、誘拐なのか招待なのかはおいておいて、だが。


 少なくとも本郷中学が招待された国は、あまり良い国ではなかったようだ。

 3人の話が真実だとすると、本郷中の生徒は既に7人が亡くなっている。


 それから女生徒の扱いがとても口に出せない。安否以前に、親御さんには知らせられない状況だな。

 今のところ、本郷中の3名は完全隔離をして他の生徒とは会えないようにしている。本人達も会う事望んでいない。家族との面会は許可をしているが、退院後は転校を希望しているそうだ。





 昨日、第五中学が戻ってきたそうだ。

 残りは本郷中学の生徒と、緑陽中学の生徒と教師、それと芽木つくし中学の用務員か。


 年内に戻って来るだろうか?

 第五中学の生徒は明日から検査や聴き取りが始まるらしい。家族が会わせろと入口に詰めかけているらしい。

 それと、緑陽中学の生徒の親族が激しいらしいな。半年前から抗議が始まり今は親戚一同日参してきているそうだ。


 戻ってこない子供の親ならなおさらか。

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