118話 目論見
-----(田川視点)-----
俺は委員長を伴って、魔法移動のためのブックマークをしながら、ストーンヘンジを探していた。
五中の生徒25人は揃った。
アンブリア国に召喚された五中の25人を帰還させる、それがポチャ次郎や俺たちが次の帰還予定地であるディサートへと旅立つための最終通過点である。
まずはこの25人を帰還させて、スッキリとした状態で最後の国、ディサート国を訪ねて本郷中の生徒を探す。
詰んでいたように思えた五中の生徒捜しだが、運が味方についているかのように、スルスルと上手くいった。怖いくらいだ。
生徒が集まった。
帰還するための地点、ストーンヘンジは今、探している。これは貴族経由で情報をもらえた。じきにその場所に辿り着けるだろう。ブックマークをしておけば、いつでも生徒をそこに運べる。
帰還に必要な魔力石。
実はフォーレスタ国に期待をしている。
彼の国はポチャ次郎にかなり執心、好意的だった。
そこで俺は、帰還のための魔力石と、帰還の操作をフォーレスタに頼む事にしたのだ。
山岳地帯のここから、堺の頂の塔まで行くのは生半可ではない。
五中の委員長の魔法移動を使い、危険な場所を何週間かかけて移動していくよりも、フォーレスタに頼んだ方が確実である。
それに、移動の間、五中の生徒をアンブリアに残しておくのも心配だ。
なので、従魔のコンドルを使い、フォーレスタへ連絡をとっていた。
堺の頂の塔に1番近いのがフォーレスタという事もある。1番安全にスムーズに事が運ぶはずである。
そう思っていたが、目論見が外れた。
運は、そこまで俺たちの味方をしてはくれなかった。
フォーレスタからの返事。
塔での帰還操作は、了承してもらえた。
しかし、魔力石が、集まらなかったのだ。
部族間で保有している魔力石を集めてもらえないかと、依頼したのだが、どこの部族も残っている魔力石がそれほど無い事が発覚したのだ。
なんてこった。
となると、自分達で地道に魔力石を集めるしかない。
そして、集めた石を結局は堺の頂の塔まで持っていかなくてはならない。
25人をすぐに帰せると思っていたが、実際はかなりかかる事になりそうだ。
この件で1番ショックを受けたのは俺だな。
『運良く』フォーレスタで魔力石をセットして、帰還操作もしてもらえる。生徒25人をサクっと帰還させられる。
そんなふうに考えてしまっていた俺が、たぶん、1番ショックを受けている。
生徒達には魔力石を集めるように言ってあったので、帰還が延びたとは思わないだろう。
ただ、時間はかかる。ろく中のイチクミにようにはいかないだろう。
けど五中の生徒をこの世界においていくわけにはいかない。時間がかかってもやるしかない。
委員長を連れて塔まで行き、ブックマークさせる。
魔力石集めて塔へセットしていく。
祭壇の燭台が灯ったら委員長をアンブリアへ戻して25人をストーンヘンジへ。
俺が塔で操作。25人の帰還。
そして、従魔で塔からアンブリア目指し、そこに待たせておいたポチャ次郎と高田さんを連れて、ディサートへ。
ふぅ。
頭が痛くなるような遠い道のりだな。
人生は思い通りにはいかんもんだ。
-----(ポチャ次郎視点)-----
タガセンから、スキル訓練に力を入れるように言われた。魔力石を集めるのに、スキルは不可欠だからだ。
それにしても、山岳地帯って大変。ちょっと街から出ると森は森でもかなり崖状の足場。
うっかりするとどこまでも落ちていきそうで恐ろしい。こんな場所で魔物に襲われたら、確かに命を落とすね。魔物にやられて、ではなくて落下による事故死?
なので、スキル訓練後は少しずつ外へ出るのだけど、まずは足場の確保。土魔術持ちがふたり(爺ちゃんと五中の生徒)居るので、とにかくまずは足場を作る。
拾える物はどんどん拾うし、罠で安全地帯を作ったりする。
「スキルはどんどん使って。使った方がレベルが上がるから」
収納系スキルの子は入れたり出したりしている。付与とか回復とかもどんどん使っている。
「解呪、解呪、解呪……よっし、中島、お前はもう呪われてはいない」
「そりゃ、どうも」
「俺、俺もやって」
僕はあれから思い出した魔法武器について、久喜田君に教えてあげた。
「なんだとぉ! 魔法武器が手から出てくるんじゃないのかよおおお!」
「うん。ただの武器に魔法纏わせるって言ってた。あと、自分の魔法なら火傷しないらしいよ?」
「のおおおおおおおお、俺の苦労と痛みを返せえええ」
「苦労と痛みを返してもらうの??? そしたら痛くならない?」
「久喜田ぁ、気持ちはわかるが日本語おかしいぞ?」
他にも頭を抱えている人がいた。
「何で俺TUEEEEとか思っちゃったんだろうな。スキル貰って浮かれてたのかな。ソロより皆でやった方がずっと楽だし安全だな」
「俺たち、1年間無駄にしたな」
「無駄ではないじゃろ。お前らはそれぞれ何か学んだはずじゃよ」
「獲れた物を修道院持っていってあげたいね」
「それは帰還直前まで収納しておきなさい」
「なんで?」
「君らの有用さがバレたらまた貴族に目をつけられるぞ? 帰還の直前にそれらを渡せば良い」
「ポチャ次郎ぉ、俺、投技術なんだけど、イチクミの投技メンバーってどんなだった?」
「投技? えっと、投技投技……誰だったかな、あっ! 船橋君。あのね、石に力を入れて投げる」
「それやってるけど、普段より遠くまで飛ぶくらいで魔物倒せないよ」
「うん、あのね、風魔術と合体技。石を投げた瞬間、風魔術を纏わせてもらうとか言ってた。ええと、ローリング何とか!」
「ローリング何?」
「詠唱は何でもいいって。勢いが大事って」
「なるほどぉ」
「ねぇ、ポチャ次郎君。毒回復って使いどころなくない?」
「んーと。なくないよ?」
「なくない? あるの? どっち?」
「ある。えとね、鑑定持ちに毒草見つけたら声かけてもらって。毒草に毒回復かけると……、何だっけな? えと、面白い事になる? ごめん、ちょっと忘れたけど、やってみて」
「わかった。って、面白い事って何が起こるの? 爆発とかしないよね?」
なんか、みんながやる気満々。まだほんのちょっとだけど、魔力石も手に入るようになった。
タガセンとイインチョが戻ってきた。ストーンヘンジをブックマーク出来たんだって。
あとは魔力石の収集だけかぁ。




