107話 砂漠地帯と山脈の狭間で
-----(五中・滝田)-----
話し合いの結果、アンブリアへ戻る事にしたのだけど、道がわからない。
商隊の馬車で移動していた時も、3回は野宿をした。と言う事は馬車でも3日はかかる距離、歩いて戻るのは無理か。
「でもさ、途中で幾つか村に寄ったじゃん、そこでお世話になりつつアンブリアを目指すのはどうよ?」
「それな。賛成。金井、頭良いな」
「いやいや、滝田君ほどでは」
「お前ら、ウンコだからなw」
「うんこぉっ!」
「なんだとぉ!」
「あ、間違えた。目くそ鼻くそだ」
「なるほど。クソを上品に言ったのがうんこだな」
「え、じゃあ、目うんこ、鼻うんこなの?」
「鼻うんこって匂いが厳しそう。で、どっちが鼻うんこなん?」
そう。引き返し始めた時はまだ元気だった。
とりあえず、馬車を降りた方角へ向かおうと言う事になった。
「すぐそこに見えるのに中々硬い地面にたどり着かないのは何故」
「砂に足を取られて思ったほど歩いてないよ、俺たち」
なんとか砂地から抜けた時には日が暮れていた。
砂地から出ても砂漠地帯だからか、夜になると気温がグッと下がった。身を隠す場所などない。俺たちは身を寄せ合って休む。
砂漠を行くならと、商隊の人から貰った大きな布、日避け用の硬い布だけど、それに皆でくるまった。
翌日、歩き始めてすぐに揉めた。
「なぁ、馬車を降りた所はこっちの方角だけどさ、その前に寄った村はもっとあっちじゃなかったか?」
「……そうかもだけど、地図も無いのに直接村方面へ進んだら山で迷うよ」
「山で迷ったら終わりだ」
「私達が唯一覚えている馬車の停車場みたいなとこに、まずは戻ろうよ」
「けどさ、商隊の人達が言ってたの思い出した。年に2回、回ってるって。じゃあさ、次に来るの半年後じゃん?」
「…………」
「俺ら食料があと2日分しかないんだぜ?」
「あそこまで戻るのに1日、そこから村を探して1日……」
「ギリ、行けるか?」
「山を舐めない方がいいよ」
「じゃあどうする!? 食料も無いのに、そこで半年後の馬車を待つか?」
「ディサートの国はここからどのくらいなんだろ? そっちに行った方が近いか?」
やっぱりどう考えても詰んでいる。頑張る気力が萎えてしまう。
女子が座り込んで動かなくなった。
ここに居てもどうにならないのはわかっているけど、どこに向かってもどうにもならないんだ。
何だよ!この異世界召喚はさ!
結局俺らはモブだから早々にこの世界から去れって事か。いや、1年以上も生き残ったんだから褒めてほしいよ。
-----(ポチャ次郎視点)-----
僕らは一行、僕と高田の爺ちゃんとタガセンは3人で次の国へ向かっている。
ディサート国は後回しにするって決まったので、アンブリア国を訪ねる。
森を抜けると目の前に山がたくさん連なっている。アンブリア国は、あの山脈のどこかなんだって。
範囲広すぎじゃない?
「上手くすれば、あちらの商人ロードを見つけられるかもしれん」
タガセンの作戦は、山を適当に走り回って、商人ロードを見つけるんだって。商人ロードが見つかれば、そこを通っていけがどこかの村や街があるはず。それでそこで情報をゲットしてアンブリア国への行き方を聞くんだって。
山を走り回るなんて、タガセンの従魔がいなければ出来ない。タガセンがテイムスキルを持っていて、僕ら本当にラッキー。
森を出て、山が深まった辺りでタガセンが山用の魔物をテイムしに行った。
戻って来たタガセンは砂トカゲを連れていた。
山へ行くのに砂トカゲ?
「砂漠から出て迷ったのか、誰かに捨てられたのか」
ポツンと座り込んでいたので思わずテイムをしてしまったそう。
ティラとマイキーは森を出てから動きづらそうな事があった。
そろそろ置いていくと、タガセンはテイムを解除した。
タガセンの背中に鼻を擦り付けていたマイキーに背中を軽く叩いて森の方へ押しやっていた。
「またな」
タガセンは低く小さな声でマイキーとティラにお別れを告げていた。テイマーって悲しいね。僕、スキルがテイムじゃなくて良かったかも。ティラが何度もタガセンを振り返っていた。
「泣くな 大丈夫だ」
タガセンが僕の目を袖でゴシゴシ擦った。
何が大丈夫なの。
「一度テイムすると、解除しても細く繋がった感じが残る。距離が離れたらわからんがな、多分近づけばまた同じ個体をテイム出来る」
「おお、凄いですな」
おお、お? ちょっとタガセンの言ってる意味がわからなかったけど、爺ちゃんが凄いって言ってるから、凄いんだな。
「この砂トカゲはどうするんですか? これからアンブリアですよね?」
「ここから山へは入らずに、砂漠地帯を山の麓沿いに進む。途中から山へと入る。それまではサンディに乗っていく」
ん? この砂トカゲ、サンディって名前なんだ?
サンディは灰色と茶色の細かいまだら色で、砂地に入ると見失う。タガセンが乗りやすい様に色々と取り付けたので、砂の上でもわかるようになった。
サイズも3人で乗っても問題なく砂の上を進んでくれる。
僕らは、砂漠地帯のギリギリ端を山に沿って進んだ。
「地図だとそろそろのはずだ。山脈の麓沿いに走ると山を上がる道が見えてくるはず。今もあれば、だが」
タガセンと爺ちゃんが地図を見ては周りをチェックしている。僕には一面の砂地とただの山々にしか見えない。
それと、その地図、どこで入手したんだろ。「今も……」って事はかなり古い地図なのかな。
「コイツは砂地しか走れんからな。道が見えたら降りて歩く。山を行けるやつをテイムする」
砂地が浅くなったのか、サンディが走りづらそうでスピードも落ちた。
「山脈間の道まであと少しのはずだ」
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ん?
遠くから何かの鳴き声?
悲鳴みたいなのが聞こえた? 獣の鳴き声???
タガセンがサンディを止めて降りた。爺ちゃんも降りた。僕は転がり落ちた。
タガセンと爺ちゃんに挟まれるように乗っていたので、前後が居なくなると安定感がなくなった。サンディが少し動いた拍子にコロリと落ちた。
「ぉ………ぃ」
「おーい、すみませーん」
「待ってぇぇ」




