104話 森の奥の部族
そこには黒髪黒目の中学生がふたり、居た。
向こうは驚いた顔をしていた。
と思ったら、顔がクシャっと歪んで突然泣き始めた。
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2人が落ち着いてから、タガセンが話を始めた。
召喚されたのは麗朋学園中等部2年B組の女子25人だそうだ。
麗朋学園は都内にある私立の中学なんだって。
「25人……生徒のみ、か」
タガセンは、先生がいて欲しかったんだ。先生(大人)がいれば、僕を帰せると考えている。
でも僕は、僕だけが帰るつもりはないので、結局、本郷中のディサートに行くしかないと思っている。口にすると怒られるから言わないけど。
今、この部屋にはふたりしかいないけど、この大きな木にある他の部屋や、他の木の部屋に、麗朋の生徒達は分かれて暮らしていて、今のところひとりも欠けず25人、全員無事らしい。
良かった。フォレスタ国が良い国で。ディサートの本郷中みたいになってなくて良かった。
タガセンは一緒に来ていたエルフさんに話をきいていた。
「帰還をさせなかったのは何か理由があるのですか?」
「帰還?」
フォレスタ国は『帰還』について知らなかったみたい。と言うか、興味がない感じだった。
外側に位置する部族が、森の他の部族(ウッダレジオンだと思う)が『召喚』を行うと言う噂を聞きつけた。
それで多少の危機感を感じて参加をしたらしい。
だが、実際に召喚でやってきた者は予想とは異なっていた。
「我々、森の部族は魔力には自信がある。だが、武なる力の不足は感じていた」
「なるほど。もしや、それで第三条件を『武力』にされましたか?」
タガセンの問いにエルフさんが首を縦に落とした。
「そうだ。だが、召喚された者達は、武も無く力も無く、戦いに長けているわけでなかった。かと言って魔力があるわけでもなかった。美しさも気を引く何かも無い。地味な小娘が25人」
ええええ! 地味な小娘とか言ったあ! 酷い!
フォレスタのエルフさん、さっきは親切とか思ったの取り消し!
「武力が無かった?……どういう事だ? 魔力が少ないにしても武力はそれなりに貰えたはず……」
タガセンは今度はふたりの女生徒の方をむいた。
「体術や剣術を取った生徒はいたのだろう? それなりにスキルは作動したはずだが」
タガセンに睨まれた子達はビクっとした。
「ちなみに、お前らのスキルは何だ?」
「……スキル?」
「スキルって? 特技って事ですか?」
「ほら、ここに来る前のあの白い部屋で、スクロールがあったじゃろ?」
タガセンの話し方だと怖がって話が進まないと気がついた高田の爺ちゃんが、慌てて話に割ってはいった。
でも、爺ちゃんの説明にも、ふたりは首を横に振った。
「スキルスクロールが無かった?」
「宝箱を見つけ……なかったのか?」
他の生徒数人が呼ばれてきた。
麗朋学園は宝箱を発見した。
けれど、中に入っていた筒状に巻かれた紙が何に使う物なのか、誰にもわからなかった。
それでそっと蓋を閉めた。
つまり、誰もスキルを取得しなかった。(ひとりだけ、確認するために開いたそうだ)
スクロールを使用してスキルを取得しなかったと言う事は、第三条件どころの話ではない。
魔術も武術も持っていない普通の中学生、女生徒が25人が召喚されてしまったのだ。
その後、タガセンとフォレスタのエルフさんの間に、25人の帰還の話が成立した。
魔物討伐を行なっていないのなら、帰還に必要な魔力石も無いのではと思ったが杞憂に終わった。
フォレスタの幾つかの部族が所有する魔力石を合わせると帰還分は賄える事がわかった。
その大量の魔力石を提供してくれるんだって。
やっぱり、良いエルフ?
「帰還するならさせるがよい。構わぬ。それより……」
召喚はしたけれど、興味はないらしい。
興味が失せて放置していたんだって。
タガセンが麗朋の生徒の帰還に奔走している間、僕はエルフさん達と森に罠を設置したりしている。爺ちゃんも一緒。
「何だ、これは! 何の生き物だ」
「こ、これは!」
「おい、触れてみろ。手が吸い付く」
「我が一族には無い造形美、そしてこの触り心地」
あの……、すみません、放してもらえますか? 罠が、仕掛けられない。
なんか、日に日にエルフさんが増えていく。そんで、みんな僕をモチモチ揉むんだ。
この国のエルフさんは細くて長くて意外と硬いから、僕みたいなデブが珍しいんだね。
高田の爺ちゃんが哀れんだ目で僕を見てる。助けて……。




