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37.規格外!

 次の日からも、私達は大小様々な依頼をこなしていった。

 そうそう。ハルも、めでたくB級ハンターに昇格。


 まあ、彼女は私達の中で最強だからね。

 本来ならトリプルSくらい付けても全然問題ないって思うくらいだよ!


 表向きB級でも、実質、超ドS級ハンターの美女三人組だし、もはやギルド内では完全に注目の的だった。

 あっ!

 ドSって言うと、なんだかHな女王様みたい。

 私の苦手なアキみたいって思ったよ。



 トリケラトプス退治から数日後、ハンターギルドの受付の女性が、

「ラヤさんにお願いがあるんですけど」

 私を名指ししてきた。


「何でしょう?」

「前にスティービア・ビロサを大量に採取してくれたでしょ。あの実績を買われてね。いくつかのハーブとか薬草の採取の依頼が来ていて」

「ハーブならOKです。でも、薬草は、済みませんがパスします」

「どっちも似たようなモノだけど?」

「私が一番得意なのは治癒魔法なので、薬草は私のライバルだからです!」


 本当は、私の物質創製魔法は飲食物と日用品と簡単な武器限定だから、ハーブじゃないと出せないからなんだけどね。

 あの後、試しに薬草を出すのにチャレンジしてみたけど出せなかったんだよ。


 ただ、私の言葉を聞いて受付の女性は、

「またまたご冗談を。ラヤさんは治癒魔法よりも攻撃系でしょ?」

 と言って来た。全然、私の言葉を信じていなかったよ。



 そう言えば、この世界に来て、まだ治癒魔法は一般公開していないんだっけ。

 彼女が見て来ているのは魔獣退治の成果だけだもんね。

 そう思われても仕方が無いか。


「では、五種類のハーブをお願いします」

「五種類もですか?」

「はい。アシローラ・トランカータにサリーシア・マキシマ、フーリスカ・アラタ、クォーラー・イナーミス、フェンティア・ベリの五種です」

「どれくらいの量が必要でしょうか?」

「あればあるだけ買うと言われていますが、まあ、それぞれ、しょいカゴ一つ分か二つ分で十分かと」

「レートは?」

「しょいカゴ一つ当たり小金貨一枚ですかね。前回と同じで」

「そうですか」


 ここで私は、ステータス画面を開いて、いつものチャットボット機能を立ち上げた。

 ちなみに、この画面は私には見えるけど、ギルドの女性には完全に見えないようになっている……はず!

 で、早速質問。


『Q:アシローラ・トランカータ、サリーシア・マキシマ、フーリスカ・アラタ、クォーラー・イナーミス、フェンティア・ベリは、いずれもハーブか?』

『A:全てハーブ』


『Q:それら五種は、全て私の魔法で出せる?』

『A:出せる』


 よし、これなら大丈夫。スティービア・ビロサの時と同様に、私が物質創製魔法で大量に出して納めればイイよね?

 正直、この世界で私一人が生きるだけなら、この手の仕事だけこなせばイイんじゃないかって思えてきたよ。



 私は、

「分かりました」

 快く、その依頼を受けることにした。


 ただ、この場でホイっと出すわけには行かないからね。さすがに魔法で出すところを見せるわけには行かないもんね。

 便利で都合のイイ女と思われてしまう!


 なので、

「ナツミ。ハル。小さい依頼だけど名指しで来たから」

 私はナツミに、適当なところに転移魔法で移動してもらおうと思っていた。



 ところが、この時、ナツミも、

「面白そうな依頼を取っちゃって」

 とんでもない魔物退治の依頼を受けていたっぽい。その隣では、またもや大暴れできるってハルが『わーいわーい』と喜んでいたよ。


 この体力お化け共が!

 でも、それなら、その魔物退治に行って、その近くの森かどこかでハーブを取ったってことにすればイイか。



 と言うわけで、

「ナツミ。その依頼の現地までお願い」

「ラヤの方の依頼の場所は?」

「ハーブ採取だから」

「そう言うことね」

「そう言うこと」

「じゃあ、行くよ!」

 私達三人は、毎度の如くナツミの便利な転移魔法で現地に飛んだ。


 …

 …

 …


 現地到着。

 そこは、ギルドから南に三十キロほど行ったところにある湖の畔だった。

 左手には森があるし、まあ、ハーブはあそこで採ったことにすればイイか。


 と言うわけで、一つ目の仕事をさっさと片付ける。

 私は、

「ハーブ五品目、出ろ!」

 物質創製魔法で所望の品々を出した。しかも、しょいカゴ二つ分ずつだ。


 それにしても、しょいカゴ一つ分山盛りで一万Xenって、高いのかな、安いのかな?

 スティービア・ビロサの時もそうだったけどさ……。



 あの時は、結構な儲けって思ったけど、それは、私が魔法で出せるし苦労していないからなんだよね。

 改めて考えると……、もしかすると激安だよね、これ。


 まあ、余り深く考えないことにしよう。

 一先ず、これで依頼の一つ目は達成!

 私は、これらの成果物をアイテムボックスの中に収納した。

 では、いよいよ魔物退治と行きますか。


「ねえ、ナツミ」

「なに?」

「ターゲットはどんなヤツ?」

「ええとね。体長十メートルの巨大ワニガメだって」

「ワニガメ? あの、凶暴なヤツ?」

「そうみたい。テヘッ!」


 なにがテヘだよ、もう……。

 そんな風にブリッ娘を演じる年でも無かろうに。


「それに、敵は湖の中でしょ? どうやって戦うのよ?」

「それは、ラヤの探査魔法で場所を特定して、ハルの光の矢を撃てばイイかなって」

「……」


 もしかして、ナツミのヤツ、本件に関しては、最初から他力本願のつもりだったんじゃなかろうか?

 でも、トリケラトプスの時は先陣切って戦っていたしね。

 今回が、たまたまなんだろうけど……。

 そう信じたい。



 私は、湖に向けて探査魔法を放った。

 ええと……。

 ハッキリ言うよ。

 巨大ワニガメだけじゃなくて、変な巨大生物が結構ウジャウジャいるよ!

 でも、全部が魔物認定されているわけじゃないし、今回は、ワニガメ限定ね。



 それにしても、地球のワニガメは最大で甲長八十センチって言う話だけど、それでも人の指とか食い千切るレベルらしいからね。


 十メートルサイズって言うと、人間の胴体を余裕で噛み切るんじゃないかな?

 それは、是非とも退治して欲しい対象になるね。



 ワニガメ発見!

 私は、湖の一点を指さして、

「ハル。あそこにいる!」

 って言ったんだけど、

「えっ? どこ?」

 やっぱり、これだけじゃ分からないよね。


 なので、私はハルの背後に回ると、彼女の両肩に手を置いた。

 私の探査魔法で捉えた映像をハルに送り込む。



 普通は、そんなこと出来るかどうか分からないし、無茶ぶりかも知れないけど、ハルなら私の考えていることができそうな気がするよ。

 桁外れの、とんでもない魔力を持っているからね。


「ハル、分かる?」

「こういう風に見えるんだね。分かるよ!」

 思った通りだ。


 でも、マジで常識外れの化け物だよね、ハルって。

 本当に、どこでこんな魔力を身につけたんだろ?


「じゃあ、一発かますよ!」

 そう言うとハルは、右手を前に差し出し、掌を広げて湖に向けた。

 そして、無詠唱で光の矢……と言うか、光の銛を湖に向けて掌から放った。

 光の銛は、光のロープでハルの右手に繋がっている。

 コイツ、こんなことも出来たんだ!


 銛は一発でヒット。

 巨大ワニガメの甲羅を貫いたよ。



 さらにハルは、右手を大きく振り上げた。すると、信じられないけど巨大ワニガメが湖面から飛び出して宙に浮いた。

 この小さな身体の何処に、こんなパワーがあるんだろ?


 ワニガメは背中から……と言うか仰向けになって甲羅から地面に叩きつけられた。

 何から何まで規格外なんですけど、この少女は!



 続いてハルは、光の銛を魔法解除すると、改めて光の剣を出した。

 そして、その剣を大きく振りかぶると、

「えぇーい!」

 ワニガメの首をさくっと斬り落とした。

 ホント、結構な大仕事なのに、簡単作業でヤッちゃうね!


 ところが、その首が宙に浮いてハルの方に向かって突進していった。

 生首攻撃!

 ええと……。

 マジでアキの『ケケケケケケ』を思い出したよ。

 隣にはアキのそっくりさん、ナツミがいるし。



 私は、これでビビっちゃったけど、ハルは全然驚いてもいない。

 こうなることを予測していたのかな?


 そして、

「てぇぇい!」

 迫り来るワニガメの生首を、光の剣で真ん中から左右真っ二つに切り裂いた。


 これで完全に絶命したんだろう。

 その生首は、地に落ちて動かなくなった。



 これで今日の仕事は完了!

 ハルが私達の方を振り返って、

「じゃあ、お昼にしよう!」

 と笑顔で言った。



 この時だった。

 湖から巨大な軟体生物が陸に上がってきた。しかも、まるでイルカが水面をジャンプするように飛び出して来たんだ。

 見た目はナメクジみたいだけど、目がある近くに口が見当たらない。


 そして、まさに一瞬だった。

 その軟体生物の尻の方がラッパのように広がったかと思うと、ハルの身体を、そのラッパ部分で捕えて丸呑みしたんだ。


 もの凄いスピードだったよ。

「「えっ?」」

 私もナツミも、一瞬、何が起きたのか理解できなかった。


 でも、その状況に理解が追いついた途端、私の目からは涙が流れ出た。

 まさか、ハルが喰い殺されるなんて!

「ハルー!」

 私は、大声で泣き叫んだ。



 ところが、次の瞬間、

「ドカン!」

 その軟体生物が爆発した。

 いったい何が起きたんだろう?


 そして、その爆発の中心には、何事もなかったかのようにケロッとした顔のハルが立っていた。

 強大な魔力を解放して、軟体生物の身体を吹き飛ばしたんだ。


 こんな芸当ができるとは……。

 私にもナツミにも絶対にできないよ、こんなこと。



 軟体生物の破片の中に、直径二十センチくらいの黒いゴムボールみたいなのがあった。

 そのゴムボールからは強大な魔力が放たれていたんだけど、これって何?


 そんな風に私が思っていると、ハルが、

「それが、さっきの生物の核だよ。それが残っていたら、さっきのが復活しちゃうから、それを二つに切り裂いて!」

 と言った。


 よく、そんなこと知ってるなぁ。

 するとナツミが、

「私に任せて!」

 巨大な剣を一振り。そのゴムボールもどきを真っ二つに切り裂いた。

 その直後、ゴムボールもどきからは魔力が消えた。



「じゃあ、気を取り直してお昼!」

 無邪気な声でハルが言う。


 続いてナツミが、

「そうね。今日は何がイイかしら? じゃあ、取りあえず広島風お好み焼きにオムそばにたこ焼き!」

 とほざいた。


 なんで取りあえずなのに三品なんだろう?

 これを聞いて、

「私も!」

 ってハルが言う。

 そして、二人の視線が私の方に向けられた。



 はいはい。出せってことね。

 なので、

「出ろ!」

 私は、御所望の三品二人前とチーズバーガーを一つとサラダを出した。このチーズバーガーとサラダは私の分ね。


 すると、

「それも欲しい!」

 とハルが言って来たよ。ええと、『それが』じゃなくて『それも』ね。交換じゃなくて追加ってことね。


 そして、ナツミも、

「私の分もお願い!」

 だってさ。


 へいへい。分かりましたよ。

 それにしてもコイツ等、いったいどれだけ食べるんだよ?

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