第8話 魔力の知覚 Ⅲ
ちょっと色々考えていまして、少し投稿できない日が続いてしまいました。すみません
――初代勇者の軌跡――
「俺が死んでないっていうのは、どういうことだ?死んだからここにいるんじゃないのか?」
『本来ならそうなりますね』
【天界】
死後、いかなる生物も"魂"となりここへくることになる。
それらを新たな道へ導くのが神々の役割であり、ここへ生者が来ることはない
『あなたがここにいる理由は私たちからお願いがあるからです』
「お願い…ねぇ」
基本オカルト系の話は信じないが、こんなところに急に飛ばされては信じるしかないと状況を飲み込む
(潔さは俺の美点だ)
『ふふ、そうですね!美点だと思います』
「…そういや思考読めるんだったな」
自画自賛が聞かれてしまっていることに恥ずかしさを隠しきれない様子で改めて神なんだな、と再認識する
『それでは詳しい状況の説明をしますね』
「お願いします」
◇
「これが……」
「魔力!これで魔法が使えるのか!!」
ティアに支援魔術を掛けてもらい、2人は"魔力の知覚"ができた
「おめでとうございます!…これでやっとスタート地点ですね」
「本当に使えるの?」
「魔術はもう少し勉強が必要でしょうが、魔法や魔力による身体強化は可能でしょう!」
魔術は魔力があっても術式を読めないのであれば使えないだろう。
しかし、魔法は想像力。身体強化は体に魔力を巡らせるだけでできる
「それではもう1日ここへ泊まらせてもらい、明後日に出発しましょう」
『…え?!!!』
予想外だったのか、あいた口が塞がらないといった様子で驚くティアリス
「…フフ、さすがに"用が済めば即帰宅"なんて酷いこと致しませんよ。お礼も兼ねて、もう1日お世話になってもよろしいですか…?」
ティアの可愛さにおかしな笑みが溢れてしまう
しかし、言ってることに嘘はない。
『も、もちろんですっ!!!!!』
――――
王城へ帰って早々、勇者様たちの魔力の知覚ができたことをグレイフィや国王陛下へ伝えた。
その後、2人の適正系統を調べるために〈宮廷魔術師団〉の元へ向かうことにした。
「the・魔術師!って感じの人達ばっかだなぁ」
「そうだね!杖とかすごくかっこいいよ!!!」
2人が目を輝かせているのをそっとしておき、団長さんへ挨拶に向かう
「お久しぶりです、オルター先生」
「ん、…おお!ヒューマ君じゃないか!……あ、じゃあ君が勇者様方の付き人をしているんだね」
「ええ、今日は先生を訪ねると伝えたはずですが…?」
「……たぶん、、聞いた?」
〈宮廷魔術師団〉団長のオルター・ディンゼル。
風系統魔術の派生である『空間魔術』の使い手であり、周辺諸国で随一の魔術師。
でありながら、【アグレイド王立学園】の魔導科の教授も兼任している
「今日は勇者様の適正系統を調べるため、伺わせていただきました」
「なるほど、ならばこちらへ」
教授の案内した場所にはいくつものガラス球が置いてある。
おそらくその全てに【鑑定】の術式が組み込まれているのだろう
「それでは勇者様、この球に手を置き魔力を流してください」
「………… 」
「どうしたんだ?コウタ」
なぜか指示に従わずに黙り込んでしまうコウタの顔をリョウが覗き込む
「…?どうされました?」
「……いや、なんでもないです…………」
やっと動き始めたコウタはガラス球に手を置く
魔力を流し込んだのを確認し、結果を見るために近づく教授と俺を心配そうに見つめるコウタに違和感を覚えるが無視しようと決める
「これは……『火』と『土』の色だね」
なぜか安心したような様子のコウタを見ながら(情緒不安定な人だな…)なんて失礼な考えが頭をよぎる
「それでは、リョウ様もどうぞ」
リョウの属性は『火』と『雷』だった
――――
「……はぁ」
魔力問題がひとまず片付いたことに安堵のため息を吐く
短くも少なくない時間をスタートラインに立つためだけに使ってしまった
「ヒューマさん、疲れてるね」
「大丈夫?」
「…っ!すみません、お見苦しい姿を…!」
まさか2人が見ていると思っていなかったため、驚きに体が強張る
「ごめんなさい、僕たちのせいだよね……」
「…迷惑かけてすまんな」
「いえいえ、2人の方がお辛いでしょうに!おれ…私なんて」
突然知りもしない世界に連れてこられ、勇者と持ち上げられ、修行を強いられる。
(気づいていないだけで心労も俺の比ではないだろう)
「……まぁ、確かに疲れてはいるけど」
「言ってらんないよなぁ、って思うのも本当だし」
「なら私も『言ってらんない』……ですね!」
3人で顔を見合わせ笑い合う
とても、とても楽しい時間。
どれだけ疲れていてもこの時間のためなら頑張ろうと思える。
(この時間を守るために、俺自身も強くならなくては)
「ちなみにヒューマさんの適正系統はどれなんですか?」
リョウのそんな質問に少し動揺を見せてしまう。
「私は……『風』ですよ」
どこか歯切れの悪い物言いを不自然に思うコウタとリョウ
教授は「やれやれ…」と一言呟く




