第十話 反政府勢力と総選挙
逃げる車の中で、マリニーが光とアピンに語ってくれたのは、この今のタイ王国の現状だった。タイ王国では、軍事政権側が、勝手に憲法を改正しようとしている、そのための総選挙が、来月あるらしいが、その選挙が、民主的手段で行われない可能性が、出てきているという。その選挙には、投票に左右されない、軍事政権側の議員が始めから三分の一いるという。そして、タイのマフィアと、軍事政権は裏で繋がっているというのだ。
「と言う訳よ。軍事政権側は、何としても3分の二以上の議員を獲得するために、賄賂や脅し、はては暴力的手段に訴えて、タイの人たちにいう事を聞かせようとしているの。」「そのために私たちは戦って切るのよ。」
と、マリニーは光とアピンに訴えた。「だからお願い、こんな方法で、訴えてくる奴らと、対等に戦えるのは、カルマの目を持つ、貴方。光君だけなのよ」
光は、考えるのであった。アピンには恩もあるし、もしアピンが、日本に来ることになれば、祖国を棄てたことにならないかな?と。
「アピン、アピンは、どうしたい?」「俺と日本に行くか?それともタイでこの人たちのためにひと肌脱ぎたいか?」
「私は、日本に行きたい。けど、タイの人たちも好き、見捨てたくない」と言ってきた。
「分かりました。自分に何が出来るか、この目が何であるかは、まだ分かりませんが、協力します。元々アピンにあの絶望から助けてもらったんです。そのアピンがタイの人たちを見捨てられないと言ってるんだ。俺だけ、日本には帰れないですよ。」
「でも、気を付けてね。いくら、超回復能力がある君でも、左目をもぎ取られたり、首をはねられたら、それで死ぬから」
と怖いことを言ってくる、マリニーさんだったが、相手はマフィア何をしてくるか?分からない。(気を付けよう)と思う、光であった。
「ついたわよ」とマリニーさんが言うと、こじんまりした、外観は汚いラブホテルといった感じの建物だったが、中に入って驚いた。今度の総選挙で、市会議員で出る候補者が、沢山守られる形で、泊まっていた。そして、カルマの目を持つ人が来たと榊原さんがタイ語で言うと、皆が集まってきた。
光は、話しかけられても、言葉が全く分からないので、困惑している。そこでアピンが「メシアが来たと言ってるわ」というと、ますます、光は、困惑するがアピンが「嘘よ。皆よろしくといってるわ」と略すと、光もジェスチャーで、応答する。それがマリニーさんや、榊原さん。アピンにうけて、皆で大笑いするのであった。