第36話 色々台無しです……
パチパチパチ!
「はい、おっけーですよ。今、最後の審判に掛けられたミリュエラ様の答えは出ました。これでこの件は収束です」
「思ったよりも早く出たわねぇ。いい勉強になったかしら?」
『え?えっ?』
「では、私はまた別途ご相談には乗りますので今日はこのあたりで失礼させて頂きますね」
手を打って事件の解決を言い渡す私とのんびりと会話する王妃様やキュレイア様。何があったかわからず目を白黒させている双子の姫たち。それを笑いをこらえてみているティアリル様。急に和やかな空気になった空間について行けずリーシュ様がマントの端を引っ張ってくる。
「あ、あの~、ミルさん……?一体どういうことですの?」
「このお茶会が最後の試験だったわけです」
「そうなのよ~。ミルちゃんから状況は教えてもらったしもう少しで正式に貴方たちも公式の場で仕事ができるのにミリーに合わせて貴方たちなかなか勉強が進まないじゃない?どうしようかなと思っていたのよね」
そしてにこやかにはしているもののその秘められた怒りを感じ取った娘たちは恐怖するというひと時が訪れた……。
王妃様のお説教の間にキュレイア様は暇を告げて去って行った。さて、そろそろお説教を止めますかね~?ティアリル様が暇そうですし。そっと新しくお茶を淹れなおす。ほのかに花の香りがするようにほんの少しハーブを入れる。
「王妃様、お茶も入りましたしそろそろ良いのではないかと……。せっかく料理長が作ってくれたお菓子も勿体無いですよ?」
「まぁしょうがないわね。とにかく明日から二人には再教育ですよ!特にミリー、最近まったく何もできなかった分ビシバシ行きますからね!」
『はい……』
ぐったりとした二人の王女にもお茶を差し出す。温かいお茶とおいしいお菓子を受け取りほっと息をつくのであった。
「後は初日にリネイル様にも伝えた件はどうなりそうでしょう?双子とはいえお二人は別々の個性や意思を持つ別人です。ごく小さい頃の教育はもちろん一緒で構わないとは思いますがもうその段階ではないと思うのです」
「そう、ね……。当たり前のことなのにすっかりその事は抜けていたのよね。上の子たちはそれぞれ年齢も違ったし当たり前に別々に対応していたのにだめねぇ」
「お二人で並んで勉強する姿に見慣れていましたからねぇ。でも確かにダンスの授業はミリー様が得意で社交のお話をしている時はリーシュ様のほうが活き活きされてましたわ。双子でも得意不得意は別ですものね」
クスクスとティアリル様が思い出したように笑いながら言う。ちなみにダンスの時、リーシュ様はぐったりしていて社交のお話の時はミリュエラ様が眠そうにしていたらしい。歴史の授業もきっとそうだったんだろうなぁ、と何となく思った。
「とにかくミルちゃんからの初日の指摘があったのもあるから二人はいつも同じ授業を受けてもらうわけじゃないわ。もちろん最低限必要な基礎はどちらもみっちりやってもらうけどそれ以上は個別に特に適性があるものや興味があるものを強化する方向にしたわ。だから貴方たちも自分が何を学びたいかしっかり自分で確かめて主張なさい。それに合わせてこちらも準備することにすることにしましたからね」
『は、はい!』
「そんなに緊張しなくても授業を受けていて疑問に思ったことや興味を持ったことをどんどん言えば良いだけなんですよ。教師側もそれを受けて報告書を上げるんですから何も言わないと教師も報告書に書くことがなくて空白埋めるのが大変なだけですしね」
「ミ、ミルさん……ぶっちゃけすぎですわ。特に最後の一言で色々台無しです……」
私の発言を聞いて脱力してかっくりうな垂れたティアリル様の突っ込み……。いや、ほらねぇ?何もなく、だと空白多くて体裁整えるのも大変じゃないですか。それに何でも言ったほうが教師の助けになる、と思ってもらったほうがどちらもバンバン言いたい放題言いそうですからね?そのほうが面白そうです!
薫り高いバターをたっぷり使ったシンプルな焼き菓子を熱々のお茶と頂きながら明日からの予定を決めるべく二人の希望を聞いたり授業に少し関わっていたティアリル様に意見を聞く。ここ数日で特に差が付いてしまったが復習も兼ねて基礎の授業は二人で受けてもらうことに。
今までの授業もティアリル様の話ではダンスではミリュエラ様が活き活きと、リーシュ様がぐったり……座学や社交系の授業だとその逆に、といった具合だったようで。まぁなんだか予想が付きやすいですね。お二人とも好奇心は旺盛ですが興味の方向が違うということですね。
「まぁ基礎となる部分は誰でも身につけて損はない、というか方向性によっては冒険者でも知っていることですし何とかなりますよ。活用するかは別として学院の生徒なら誰でも等しく教育を受けて覚えますし……一応有用であることは分かっているので弟子としたメルナにもその辺は覚えてもらうつもりですし」
「有用……ですか。貴族からの依頼くらいでしか使うことはなさそうですけど?」
不思議そうに言われるがお金を出してでも依頼を出すというのはなんだかんだと言っても貴族の方が多い。依頼者に面会があることは珍しいかもしれないがないとも言えない上に学院に指定があって回ってくるものは『そういうもの』が多かった上に卒業後の就職でも知っていて損はないので貴族の礼法的な物の基礎は誰でも覚えているものであった。実践の機会が多ければ嫌でも覚えるもの。
まとまらない文章!まとまらない話!
わき道にそれすぎた自覚は作者にもあるんです…
(´・ω・`)…申し訳ない。
※登場人物紹介に抜けていたテラ(地の魔霊)を追加。乗りのりで見た目とか設定したのにすっかり忘れていた…orz




