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第28話 これを人は八つ当たりという

予定外ながら実戦的な魔法も見ることが出来た、ということで修理を終えた訓練場でまだ使ったことが無かった大き目の魔法を使ってみたりと過ごす。やはりメルナは闇が相性が良く、次いで風が底上げされた事もあって使いやすいようだった。リーシュ様はというと水は予想通りだったが土と火もかなりの使い手になれそうだ。


「なんか火とか土が相性いいって……リーシュ様見かけに似合わず厳《いか》ついものを使いこなしますね……」

「そ、そうですか?」

「水はランドール王国の象徴というのもあるので予想通りでしたけどね。王妃様も確か水の使い手ですし」


以前に杖を届けた際も一振りで水を操って式典用の儀式の一旦を垣間見た。リーシュ様曰く昔から水の魔法は身近に使う人がいた上にねだれば喜んで見せてくれていたのでイメージがしやすいとの事。たまにやりすぎて家族でびしょ濡れになったり部屋が水浸しという事件もあった、とか……王妃様も存外お茶目さんですね?


「あ、でもライルは火が得意っぽかったけどねぇ……火は割と攻撃的なイメージが多いからリーシュ様はなんかギャップを感じますね」

「火は父の所に時々顔を出されていたダルディナー様が良く見せて下さいましたし、土は前の魔導師長様がお得意でよく目にしました」

『あー……』

「?ミルさん、リメイさんどうかしたんですか?」

「いや、前の魔導師長ねぇ……あの爺さん私達が学院にいた頃に時々特別授業だーって授業に乱入してきてたから……」

「よく生徒達がぼこぼこにされていましたわ。他から聞いた話ですと魔導師長のお仕事でストレスが溜まると発散を兼ねて学院の授業に乱入されていたそうですわ……」


ストレス発散のためにぼこぼこにされる生徒って一体。しかも土系の魔法は意外と厄介だし特別に得意ってだけで他の魔法も合わせて使って本気で仕掛けてくる大人気ない爺さんだった。当時を思い出してややげんなりと遠い目で思い出に浸る二人。


「思い出してもイラっとしてきたわー、何なのあの異常な硬さと厚みの土の壁とか。ないわー、ありえないわー」

「しかもそれに生徒を閉じ込めて出てくるまで自分はお菓子食べてるとか脱出した時とか軽く殺意が沸いたわ」

「だよねー。後は足元を土で固めて動けなくして上から降ってくる巨大隕石とか本気で死ぬんじゃないかって思った」

「しかも硬くて砕こうとしても一発粉砕とか出来なかったし。自分の所に届く前に少しずつ砕くとか……何この命がけの掘削ゲームって感じよ」

「本人はそれを見ながら『おっ、やっと三分の一まで削れたぞ!今のペースだとヘルメットを用意したほうがいいかもしれんぞ~』とか誰のせいだよ!ってぶん投げようかと思った……」


ぶつぶつと思い出を呟いていたがだんだんと怒りが溜まってきて二人で訓練場にあった人型の的をぼこぼこにした。これを人は八つ当たりという。


「ミルさんが素手でリメイさんは鈍器なんですね……」

「ちょっと意外でしたわ。魔法使いっぽくない感じですわね」

「あ、そうでもないらしいですよ。前にミルさんが村の人たちに説明してましたし」

「そうなんですの?確かに魔法も組み合わせるならどのような武器でもいいのかもしれないですわね」


武器とは結局のところ使いこなせないと何を持っても意味がない。逆に本人が使い易ければ何でもいいともいう。学院時代に組んでいたパーティは見事に使うものが分かれていた。私は素手による体術、リメイは鈍器、ピッドは投げナイフを中心とした短剣、ミーナさんは変わり種で糸、特に使ってたのは鋼糸だった。


「ふぅ……すっきりした。得意武器によって受ける依頼も変わる、というときもありましたから。武器なしで行ける私や隠しやすく嵩張らない武器のミーナさんは潜入関係や侍女に扮しての護衛にはもってこいでしたし」

「はぁ~。潜入は相手に魔導師がいるとミルだと微妙でしたけどね。魔力が大きすぎてばれることが多すぎですわ。そつなく事前調査ならミーナが得意でその情報をもとに踏み込む際には全員という感じですわね」

「そうなんですか……普段のあのおっとりとした様子からは全く想像付きませんね……」


前魔導師長の名前を考えようと思ったけどさっぱり思いつかなかったので常に役職でしか出てこないのであった……。

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