第27話 まぁ底なし沼でもいいのですけど
ふぅ、とひとつ溜息をつきながらリメイが説明する。
「そこの魔力バカについては心配しなくても大丈夫ですわ。いいですか、日常で魔法を使える一般の人たちの魔力容量をバケツ一杯、回復量は平均的には空になったら一晩休んだらようやく回復するとしましょう。そうすると魔法に適性がある魔術師であれば、ピンからキリまでですけどメルナであればその容量が小さな池程度、回復量が小さな小川から流れる水といったものです」
「えっと……バケツや池から少しずつ使うたびに水をくみ上げて使う感じです?」
「そういうイメージですわね。それで力がある魔導師などであればその池が大きくなったり汲み上げて使う水の量をうまく使えて少なくできるということです。ところがそこのミルはというと……」
魔力が流れた魔方陣に光が走って行き修復されていく訓練場に目をやりながらリメイの説明は続く。水でイメージかー……わかりやすい例えだよねー。
「容量は……果てが見えない海、回復量はそこに注ぎ込む大河や降り注ぐ雨という感じでしょうね」
『はあぁぁ!?』
「まぁ底なし沼でもいいのですけど。イメージ的には……」
説明しながらちょっと遠い目のリメイと驚愕の声を上げる二人。
「てへっ☆さて、修理完了ー」
「……ほんとに、ミルさんて……規格外なんですね……」
「もちろんただ容量が大きければそれでいいというわけでもないけどね。リーシュ様はご存知かもしれませんが現在の魔導師団にいて団長の補佐にいる子わかります?さっきも少しここに顔を出したミーナというんですが……」
暗黒オーラをかもし出しながら目が笑っていない笑顔で私達を正座させ、とつとつと財政に関することや維持や普段の修理にかかる人手について話して行った彼女を思い出しコクコクと頷く。
「彼女は魔力容量は城に勤める魔導師にしては少なめと思います。ですがあの人はその魔力の使い方が抜群に上手いんです。普通の人が同じ魔法を使うのにコップ一杯の水を使うのに対して彼女は同じ魔法をスプーン一杯の水で使える、という感じですね」
「ミーナの魔法に関する器用さが普段の生活に出ないのが不思議ですわ……」
「あぁ、それは分かるかも……妙な所で要領が悪いというか運が悪いというか」
『深刻なリアルラック不足』学院時代に良くミーナさんに言われた評価だった……。まぁそれを補う魔法の実力を付けざるを得なかったのは良かったのか悪かったのか。
「魔導師って言っても色々なんですねぇ。でもミルさんの場合は使用量の工夫とか考えずにがんがん使えるほどってことですよね」
「そういうことでもないですわ。ミルが魔法を使用量考えずにがんがんなんて使ったら王都一帯が更地ですわ……」
「あっ!もしかして現在の王宮魔導師長が就任時に断った方ってミルさんだったりします?腕も良いし力もある魔導師さんだけど諸事情があって断られて今の魔導師長のピッドさんを推してきたので決まったとか」
ゴンッ!
そう言われて思わず膝を着く。床が硬くて痛い……
「だ、誰にその話って聞きました?」
「前魔導師長様ですわ。歴史の授業の間に雑談をしていてお聞きしたのです。えっと、そのあの……力があるけどその力がちょっと規格外で、もしその人が王宮に勤めることになっていたら訓練場の強化改造が必要になるところだったと笑われていたのです」
「あ、あの爺さんめ……!」
「諦めなさいよ、大体否定できないわ」
ぐぬぬぬ……今度見かけたら後ろから飛び蹴りでも食らわせてくれるわっ!
ちょっと短めになってしまったのです…。前魔導師長の逸話が長く入ってしまってぶった切ったのでこっちが短く…(汗
あのおじーさん名前もいまだに考えていないんですけどねー。




