第18話 い、いつでも来ればいいじゃない!
「あ、そうだ。リメイにも紹介しておこうかな。じゃーん!初めての弟子のメルナ・クラウルです!」
「わっ!?え、は、はじめまして……。よろしくお願いします?」
ずずいっとメルナを前に立たせながら紹介する。
「え?あんた弟子取ったの?」
「は?弟子?お前が?」
目を瞠るリメイとライルだがそれぞれ驚きのポイントは違うようだった。
「ライル殿下……。ミルのことあんまり聞いてないんですね?これがあれです、"星"ですよ?」
「!?なるほど、っていうべきなのか……」
これとかあれとかいうな!と抗議していると隣ではメルナが首をかしげていた。
「星?」
「あー……。あんまり気にしなくていいけど。前にちょっと話してた二つ名とかで私のもので星っていうのが入ったのがあるってだけだから……」
ちらっとリメイを見ると目が合って「何よ、教えてないの?」「今はまだ言う必要ないわよ」とアイコンタクト……
「やっぱお前ら仲いいよな……」
「とにかく!ちゃんと私は指導ライセンスを持ってます!で、初めての弟子だしちらほら王都にもいることになると思うからリメイも仲良くしてやってよね。何かあったら頼ることもあるかもしれないから」
「ふ~ん?まぁいいけど……。リメイ・イーサ・コルネットよ。王宮図書館の司書をしているわ。魔法学院卒業で在学中はミルとパーティを組んでいたりもしたわ」
「は、はい!えっと、あのまだ習い始めで分からないことがたくさんありますがよろしくお願いします!」
素直にぺこりと礼をするのを見てひっそりほほ笑む三人だった。
「いいわよねー。ミルは素直で育て甲斐のありそうな弟子を見つけたみたいだし。いつの間にか殿下とも仲良くなったみたいだし?」
「まぁライルはともかくメルナは掘り出し物よねー。あんたが振った依頼のおかげでもあるけど」
「あの依頼ね……ほんとはもっと早く誰かが行くと思ってたけどなかなか動きがなかったからね……」
眉をしかめて小さく呟く。メルナの前ではちょっと話しづらい内容だなぁ。まぁ大体予想は付くけど…。
恐らく依頼は出ているが距離や報酬の問題もあってなかなか受ける人がいなかったのだろう。しかし本当にゴブリンが複数出ているなら増える前に片づけるべきとは依頼を見かけたリメイは思っていたが仕事もあって動けずにいた、というところだろうか。
ひとまずせっかく来たので片っ端から当初の目的通り書物を読みまくりたい。ライルは仕事もあるだろうし城に追い返してメルナには初級程度でもわかる魔法に関する書物と歴史の書物を読んでもらう。歴史のほうはきっと眠くなるだろうけどざっと自分がいる国や周辺の国の成り立ちは知っておくほうがいいからね!わからないことはリメイもいるので司書として質問に回答してもらうように頼んだので私は山になっている書物に没頭した。さすが王宮図書館!品揃えが違う!今まで見たことがないものやかつて一部を見て気になっていた深部の詳細が分かる。研究室の中でも私とダルディナー先生だけが追っていた研究内容の真相に少しずつ近づく気がする。
また同じ事件が起こる前に……少しでも解決を……。
気が済むまで、とは行かないが閉館時間!とリメイに揺さぶられて外を見ればすでに夕方。ここ数日の宿としている学院にメルナと共に帰る。ちなみにさすがに図書の貸し出しはしていなかった。まぁ入るのに許可がいるくらいなんだし当然か。ぶーぶー文句を言っているとリメイが「許可証は期限なしのにしたんだから……い、いつでも来ればいいじゃない!」と相変わらずのツンデレ発言をしていた。
「うーん……ずっと本とにらめっこしてるとがちがちになるわ~……ずっと様子見られなかったけどそっちはどうだった?リメイの説明は勉強に関してはばっちりだったと思うんだけど」
「はい。指定された本で分からない所はばっちり教えてもらえましたよ!すごくわかりやすかったです~」
「まぁあれでも小さい頃から歴史や基礎学問に関しては家庭教師付きで教育受けてるからねぇ。さてと明日までは学院の寮で宿泊頼んでるけど次どうしようかなぁ……」
あそこは……使えるようにすれば使えるはずだけど今どうなってるかわからないし悩むとこだなぁ……。実は王都に一つ住居はあるのだ。とある貴族の仕事を片付けた時に報酬でってことで家を貰ったが……。今どうなってるんだろう?当分留守にするってことは実家に帰る際に言ったから閉鎖されてるかもしれないし。
「まぁどっちにしても今日は学院の寮に帰って先生にでも聞いてみよっと。すっかり忘れてたけどリメイに聞いておけばよかったなぁ……」
食堂で今日の勉強した中で疑問に思ったことや興味が湧いたことなどを聞いて話をしながら夕食を食べる。食後のデザートとお茶もしっかり頂いて研究室に向かってみる。
「あー、あの家?まだあるぞ?」
「え、あるんだ……さすがにもう処理されてるかと思ってたわ」
先生にかつて使っていた家のことを聞いてみるとさらっと回答が。学生時代に依頼を受けたとある貴族に気に入られて王都の中で過ごすことも多くなるだろうから屋敷を用意してやろう!とか言われたのだ。最初は西区画の貴族街に豪邸を用意されそうになったがさすがにそれは使えないって言ったら東区画に小さい家を用意してくれた。依頼を受けた時に使ったりチームでの打ち上げやミーティングでよく使っていた。色々と面白がってみんなで実験として魔法をかけたのでセキュリティはばっちりだった。盗聴の心配もなし!とはいえ元はその貴族の持ち物と言えるので王都から去る時に一応連絡はしておいたのだ。当分こちらを使うことがなくなり申し訳ないので必要であれば処分して下さい、と。
「お前気に入られてたしなぁ。残っていればまた戻ってくるかもしれないしあっても困らないでしょうって言ってたぞ」
「ふむぅ……じゃあありがたくしばらくまた使わせてもらおうかな。あの家なら部屋もいくつかあるしちょうどよかった~」
「どうせ噂でお前が戻ってきているのは知っているだろうけど一応また使わせてもらうって挨拶には行ったほうがいいと思うが……」
先生の助言に従って明日は図書館の前にお邪魔することにしよう。




