第67話 条件成立
「では詳細を確認します」とヴァルドが言った。
「手数料七十五パーセントは即日変更でよろしいですか?」と俺は訊いた。
「合意します。システム上の変更は即時反映されます」
「全国ダンジョン管理権の移管は、段階的に行います。三ヶ月で完了という形でいいですか」
「……三ヶ月か」とヴァルドが言った。「引き受ける担当区域の数は把握しているか?」
「全国の管理局が担当しているダンジョンのリストは、管理権限で閲覧できます。現在の担当区域数と比較して、引き受け計画を出せます」
「……わかった。三ヶ月で合意します」
「民営化法案への対応については」と俺は続けた。「上位存在から人間界の政治側に、反対の意向を伝えていただけますか。公式な表明でなくても、意向が伝われば十分です」
「……それは人間界の政治への介入だが」
「規定上の禁止事項に該当しますか?」
「……確認する」とヴァルドが言った。少し待ってから「規定上の問題はない。ただし、公式見解としては出さない。非公式の形でのみ対応する」
「それで十分です」
「では、以上の三点で合意します」とヴァルドが言った。「合意文書を作成します」
システム上の文書が生成された。俺はスキルを使って署名した。管理スキルによる署名は、契約上有効だとヴァルドが確認した。
「これで正式に合意となります」とヴァルドが言った。「記録として保存されます」
「ありがとうございます」と俺は言った。「複製を管理員側にも提供してください。確認しましたが、規定上可能なはずです」
「……用意します」とヴァルドが言った。少し苦笑いしながら。「神崎凌、あなたは歴史上初めて上位存在と条件交渉を成立させた人間です」
「ありがとうございます」
「……次は何を要求するつもりか、聞くのが怖い」
「楽しみにしていてください」と俺は言った。
「……それが君らしい」とヴァルドが言った。
ゼクスが去り際に「……覚えておく」と言った。
「はい」と俺は言った。
接続を終了した。




