第66話 上位存在の分裂
「内部審議の結果を報告します」とヴァルドが言った。
「賛成多数で、条件を受け入れることが決定されました」
俺は一拍置いてから言った。「ありがとうございます」
「……私は反対のままだが、多数決に従う」とゼクスが言った。苦い顔だった。
「ゼクス代表の立場はわかりました。多数決の結果を尊重していただけることに感謝します」
「……今回は君の勝ちだ」とゼクスが言った。
「勝ち負けとは考えていません。双方に利益のある結果が出たと思っています」
「……そういうところが」とゼクスが言った。それ以上は続けなかった。
「神崎凌」とヴァルドが言った。「正直に言えば——この結果は、君が誤送信文書を読んでいたことが決め手になった。内部のシェア競争を把握していることを示した瞬間、審議の方向が変わった」
「カードとして温存していました」
「いつから持っていた?」
「着任から数ヶ月後です。整理して、適切な場所で使えると判断した時のために取っておいた」
「……」とヴァルドが言った。「管理員に誤送信文書が届いた件は、調査します。ただ、君が規定の範囲で扱ったことは事実です」
「はい」
「では」とヴァルドが言った。「条件の詳細を詰めましょう。この場で合意できる部分を固めます」
「了解しました」と俺は言った。「三点あります。全国管理権の引き渡し手続き。手数料七十五パーセントへの変更日程。民営化法案への対応。この順番で確認させてください」
「わかった」とヴァルドが言った。「進めよう」
会議室が、動き始めた。




