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上位存在の下請けを押し付けられたら、世界一マナが集まるポジションだった  作者: ヲワ・おわり


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60/70

第60話 一人で行く

 交渉当日の朝、管理局に来ると、三人がいた。


 霧島さん、宮代、飯塚。


「送り出しに来ました」と霧島さんが言った。


「飯塚さんも?」と俺は言った。


「俺、上位次元には行けないんだろ」と飯塚が言った。


「はい」


「……そうか」と飯塚が言った。しばらく間があった。「じゃあ代わりに言っておく。お前は正しい」


「正しいかどうかはやってみてから判断します」


「……あんたらしいな」と飯塚が言った。「正しいって言ってんだ。聞いておけ」


「わかりました。ありがとうございます」


「神崎さん」と霧島さんが言った。「記録から引き出せることは全部やります。接続中に何か必要な数字があれば、こっちで確認できるように待機してます」


「ありがとうございます。そのつもりでいてください」


「見てます、ここから」と宮代が言った。「うまくいくと思います。神崎さんなら」


「根拠は?」


「全部準備してるのを横で見てたので」と宮代が言った。「これで失敗するなら、もう誰でも失敗するって感じです」


「……そうかもしれません」


「じゃあ行ってらっしゃいって言えますね」と宮代が言った。


「行ってきます」


 管理端末の前に座った。画面には「本社交渉接続要請:受信済み」という表示がある。「接続開始」のボタン。


 霧島さんたちが後ろに立っていた。


 全部、準備した。


 試算書。収益シミュレーション。実行計画。飯塚の意見書。想定問答リスト。カウンターの想定。誤送信文書で知った情報というカード。


 あとは動くだけだ。


「……行ってきます」と俺はもう一度、小声で言った。


 ボタンを押した。


 白が、広がった。


 ただし今回は、白の中に形が見えた。最初から。


 大きな空間。会議室のような場所。複数の上位存在の代表が、机の両側に座っている。


 ヴァルドが一番奥にいた。その隣に、見知らぬ存在が複数。


 これが——本社の交渉の場か。



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