第52話 真実の開示
「人間という種は」とヴァルドが言った。「マナを生産・消費するために最適化された存在だ」
「はい」
「ダンジョンが出現したことも、人間にスキルが発現したことも、すべてシステムの一部だ。自然発生したものは何もない。全て設計されている」
「はい」
「……驚かないのか?」とヴァルドが言った。
「知っていました」と俺は言った。「収益レポートを見ればわかることです。人間のマナ消費量と上位存在の最終収益の比率から、何らかの設計があることは推測できていた。確認ができていなかっただけです」
ヴァルドが俺を見た。しばらく黙っていた。
「知っていたのか」とヴァルドが言った。今度は本当に驚いている声だった。
「推測はしていました。でも今確認できて——言葉で聞くと、少し違う重さがありますね」
「……そうか」とヴァルドが言った。「普通、これを聞いた人間は、怒るか、絶望するか、どちらかだ。君は?」
「怒る部分はあります。でも、それより聞きたいことがある」
「なぜ、これを教えてくれるんですか?」
「君は遅かれ早かれ気づく」とヴァルドが言った。「なら先に話した方が効率的だ。それと——」
ヴァルドが少し間を置いた。
「——君が、知った上でどう反応するかを見たかった、という部分もある」
「テストですか?」
「そう呼んでもいい」
「俺の反応はどうですか?」と俺は訊いた。
「規格外だ」とヴァルドが言った。少し笑いながら。「これだけは言える」
「では、聞きたいことを聞いていいですか」
「続けろ」
「なぜ、管理員だけがシステムの内部設定に触れられるんですか?」と俺は訊いた。「通常のスキル保持者には、管理スキルは発現しない。これも設計ですか?」
ヴァルドが表情を変えた。
今まで見せた表情の中で、一番慎重な顔だった。
「それは——」とヴァルドが言った。「良い質問だ。だが、その答えは少し複雑でな」
「聞かせてください」
「……君は本当に」とヴァルドが言った。「こちらを相手として話してくる。上位存在に対して、人間側の担当者として」
「そういう立場で来ています」と俺は言った。
「なるほど」とヴァルドが言った。「では、続けよう。管理スキルについての話だが——」




