第48話 本社接触の連絡
「本社の担当部長が、神崎凌さんと直接話したいと言っています」とアルダが繰り返した。
「接続の形式はどういうものですか?」と俺は訊いた。
「上位次元の分局への"接続"という形になります。物理的な移動ではなく、意識の接続です」
「意識の接続」
「はい。このやり取りとは別の次元での通信手段です。詳しい説明は……私もうまく言語化できませんが、管理員のスキルには接続受信の機能がある程度には記載があるはずです」
「下請け管理員が本社役員と直接話すのは前例がないと言っていましたね」
「はい」とアルダが言った。「前例がありません。受け入れた場合、何が起きるかは私にも予測できません」
「わかりました」と俺は言った。「条件を確認してから決めます」
「条件?」
「接続中の発言は記録されますか?」
「……はい、記録されます」
「その記録の複製を管理員側に提供することは可能ですか?」
間があった。
「……規定を確認します」とアルダが言った。「少し待ってください」
通信が保留になった。
「本社との直接接続……そんなことができるんですか」と霧島さんが言った。
「管理スキルの機能として記載はあります。ただ、実際に使ったことはない」
「行った方がいいと思います」と宮代が言った。「でも気をつけてください、神崎さん。相手は上位存在の本社の役員です」
「わかっています」
「怖くないんですか?」
「怖いかどうかと、行くべきかどうかは別の話です」
宮代がまた手帳に何か書いた。
通信が再開した。
「確認しました」とアルダが言った。「接続中の記録は保存されます。管理員側への記録複製は、規定上可能です。また、切断は双方がいつでもできます」
「もう一つ確認します」と俺は言った。「接続中、俺の発言に規定上の制限はありますか?」
「……管理員として守るべき情報管理の規定は適用されます。それ以外の制限は特にありません」
「わかりました」と俺は言った。「なら受け入れます」
「……」とアルダが長い間を置いた。「わかりました。日程を調整します。ただ、神崎さん」
「はい」
「……くれぐれも慎重にしてください」とアルダが言った。「本社の担当部長は、私よりずっと上位の存在です。私もそう多くの接触経験はありません」
「アルダさんも慎重に、ということですね」
「……そうです」とアルダが言った。なぜか、少し心配しているような声だった。
通信が切れた。
「アルダさん、神崎くんのことを心配してたんですね」と霧島さんが言った。
「そうかもしれません」
「……変わりましたね、アルダさん」
「人は——上位存在も——変わります」と俺は言った。




