表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
上位存在の下請けを押し付けられたら、世界一マナが集まるポジションだった  作者: ヲワ・おわり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/70

第43話 まだ終わっていない

 法案の審議スケジュールが公表された。


 本会議採決は六週間後。廃止手続きの提出期限と、ほぼ同じタイミングだった。


 霧島さんが引き継ぎリストの作成を続けていた。業務内容。管理システムのアカウント情報。ダンジョンごとの設定記録。


 俺は霧島さんの手が止まるのに気づいた。


「霧島さん」


「……はい」


「……神崎さん」と霧島さんが言った。書類から目を上げた。「ここって、本当に終わるんですか?」


「まだ終わっていません」と俺は言った。「俺はそう判断しています」


「根拠は?」と霧島さんが訊いた。


「……本社が動く前に、俺が動く手が残っています」


「本当に?」


「本当に」


 霧島さんがしばらく俺を見た。


「わかりました」と霧島さんが言った。「あなたを信じます」


「その分、結果を出します」


「……うん」と霧島さんが言った。それから引き継ぎリストに向き直った。


 宮代が「霧島さんが泣きそうなの、初めて見た」と小声で俺に言った。「……俺も怖いけど、神崎さんが動いてるから大丈夫だと思ってる」


「そうですか」


「そうです」と宮代がきっぱり言った。


 昼過ぎ、第十七-Aの前で飯塚と会った。巡回確認に行ったところだった。


「……あんた、ちゃんとやれるか?」と飯塚が言った。声が低かった。


「やります」


「……そか」と飯塚が言った。


 それだけだった。飯塚はダンジョンに戻った。


 管理局に戻った。霧島さんが引き継ぎリストを続けていた。宮代が現地データを整理していた。


 俺は管理画面を開いた。


 三つのダンジョン。それぞれの状態を確認した。稼働中。稼働中。稼働中。


 緊急停止権のメニューを開いた。停止対象ダンジョン選択。停止時間設定。理由書の入力欄。


 理由書はすでに書いてある。「管理上の安全確認」。規定第九条に基づく正当な手続き。


 明日の朝、実行する。


 霧島さんが「神崎くん、今日の分の確認、終わりました」と言った。「明日もありますが」


「ありがとうございます」


「……引き継ぎリストって、本当に終わったら使われるものなんですよね」と霧島さんが言った。


「そうです」


「でも私、作りながら"これは使われない"と思ってる」と霧島さんが言った。「変ですか?」


「変じゃないです」と俺は言った。「俺も同じ判断をしています」


 翌朝、管理画面を開いた。緊急停止権。三ダンジョン同時停止。停止時間七十二時間。


 「これが最善の手だ」


 ボタンを押した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ