表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
上位存在の下請けを押し付けられたら、世界一マナが集まるポジションだった  作者: ヲワ・おわり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/70

第36話 試算書の完成

 試算書の完成に、三日かかった。


 三つのシナリオを作った。楽観ケース、中程度ケース、悲観ケースだ。それぞれにギルドの手数料率の仮定を変えて計算した。


 楽観ケース:ギルド手数料十五パーセント。上位存在への収益減少約十二パーセント。

 中程度ケース:ギルド手数料二十パーセント。収益減少約十八パーセント。

 悲観ケース:ギルド手数料二十五パーセント、さらに管理クオリティ低下による稼働率低下を加算。収益減少最大二十五パーセント以上。


「保守的に見積もっても約十五パーセント、最悪ケースで二十五パーセント以上の収益減少が見込まれる」と俺は整理した。「さらに、非専門家管理になれば設定の調整ができなくなる。ダンジョンの稼働率が下がれば、収益はさらに落ちる」


「……それって、アルダさんの本社ノルマに影響しますか?」と宮代が訊いた。


「Q2のコスト削減指示が出ている状況で、担当区域の収益が十五パーセント以上落ちれば、評価は確実に下がります」


「じゃあ、アルダさんには動く理由があるってことですね」


「そうです」


 霧島さんが試算書の最終ページをフォーマットしていた。表紙、目次、各シナリオの計算根拠、まとめページ。完璧に整えられていた。


「はい、できました」と霧島さんが言った。「確認してもらえますか?」


 俺は受け取った。数字を一通り確認した。計算式、前提条件、引用データ——問題はなかった。


「完璧です」


「書類仕事はまかせてって言いましたから」と霧島さんが言った。少し得意そうに。


「これをアルダさんに送れば、上位存在は動かざるを得ない」と俺は言った。「感情的な主張でも、政治的な訴えでもない。数字だ」


「……見たアルダさん、どんな顔をするんでしょう」と宮代が言った。わくわくした様子で。


「顔は見えませんが、反応は変わると思います」


 俺は試算書を送信フォルダに入れた。タイトルは「民営化法案施行による上位存在収益への影響試算——第十七支部データを基準として」。


 送信する前に一度確認する。数字の根拠。条文との対応関係。計算式の整合性。


 問題なかった。


「タイミングを考えます」と俺は言った。「すぐ送るより、アルダさんに状況を把握させてから送る方が効果的です」


「どういう状況を?」と霧島さんが訊いた。


「法案審議が具体的に動き始めるタイミング。アルダさんが"対応しなければいけない"と感じている時に届ける方が、刺さり方が違います」


「……神崎くん、そういうことを考えてるんですね」


「送るタイミングも戦略です」


 宮代がドアの前で「神崎さん」と言った。声が少し違った。


「どうしました?」


「廊下に飯塚さんが来てます」と宮代が言った。「管理局に話があるって」


「飯塚さんが?」と霧島さんが意外そうに言った。「何かありましたか?」


「神崎さんに話があるんだが、と言っています」という宮代の声が続いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ