第3話 管理画面、ログイン
※本作は第70話で完結予定です。
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ゲームが好きだったのは中学生の頃からで、とくにMMORPGのギルドマスター用管理コンソールを弄るのが好きだった。
ギルドの資産管理、メンバーの権限設定、ダンジョン内のイベントフラグ操作。ゲーム会社の公式マニュアルより自分でUIを解析した方が早かった。そういう趣味があった。
だから目の前の管理画面を見たとき、思ったことは一つだった。
——これ、あのゲームの管理コンソールと同じ作りだ。
タブの配置。カテゴリの分類。権限レベルの概念。全部見覚えがあった。
「何か出てきた?」
霧島さんが端末室のドアから顔を覗かせた。
「出てきました。かなり」
「かなり……って、どのくらい?」
「タブが七つあります。モンスター配置、難易度設定、収益レポート、施設管理、規定書、緊急機能、経費申請」
霧島さんが「そんなにあるの」と言いながら部屋に入ってきた。「前任者は何も触れなかったって言ってたけど、それはそうだよね。管理スキルがないとログインすらできないんだから」
俺はノートを出して、タブの名前を全部書き写した。まずは全体把握だ。機能の詳細はあとで確認する。
「収益レポートが気になりますね」と俺は言った。
「なんで?」
「前任者が見て真っ青になった可能性が高いので」
霧島さんがしばらく俺を見て、「……そういう考え方するんだね」と言った。
収益レポートのタブをクリックした。フルログイン済みのため、データが表示された。
数字が展開された。
俺は画面を見た。一列目に月次の集計値。二列目に内訳。三列目に「攻略者消費マナ量」と「システム回収マナ量」という二つの数値が並んでいた。
……合わない。
攻略者が消費したマナ量と、システムが回収したマナ量を見比べると、後者の方が桁違いに多かった。前の画面で気づいたことが、詳細データで確認された。
「やっぱりおかしい」と俺は言った。
「どういうこと?」と霧島さんが訊いた。
「攻略者が使った量と、システムが回収した量が全然違います。攻略者の使用量より、回収量の方がはるかに多い。比率を見ると——」俺は計算した。「回収量が消費量の数十倍になっている」
「数十倍……それって?」
「仕組みがある。次の確認で調べます」
「神崎くん、なんか独特な言い回しするね」と霧島さんが言った。
俺は画面を閉じなかった。この数字の意味を、もう少し確認してからにしようと思った。




