第18話 詳細レポートの評価
※本作は第70話で完結予定です。
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アルダから返答が来たのは、翌朝だった。
「受領しました。……これは今まで受け取った中で最も詳細なレポートです」
霧島さんが「なんか言い方が変わった」と言った。「アルダさんって、いつも事務的な返答だったのに」
「感心しているんだと思います」と俺は言った。
「アルダさんが感心する? あの人が?」
「上位存在も評価できることはできると思います」
アルダからの通信が続いた。
「このデータの精度について、本社の担当部署から問い合わせがあるかもしれません」
「本社?」と霧島さんが言った。「上位存在の、本社?」
「そういうものがあるようです」と俺は言った。「非公開版の資料で読みました。上位存在にも組織があって、アルダさんはその担当者の立場です」
「……本社が動くってどういうこと?」と宮代が訊いた。
「アルダさんのレポートが本社に評価されれば、何らかの動きが出るかもしれません。具体的にはまだわかりません」
アルダが続けた。「……担当者の交代記録を確認したのですが、神崎凌という名前の管理員は前例がありません」
「前例がないというのは?」と俺は訊いた。
「この水準の収益改善を着任から短期間で達成した管理員が、この担当区域にいなかったということです」
「前任者が動かなかっただけではないでしょうか」
「……そうかもしれません」とアルダが言った。少し間があった。「続けてください」
通信が切れた。
「アルダさん、今"そうかもしれません"って言いましたよね」と宮代が言った。「認めてませんか?」
「少し認めているようでした」
「すごいことじゃないですか、それ」
「普通のことを普通にやっているだけです」
「それがすごいんですよ」と宮代が言った。少し強い口調だった。「神崎さんって自分のやっていることを普通だと思ってるけど、普通じゃないんです。ずっと見てきたからわかります」
霧島さんが「宮代くん、それ正しい」と言った。
翌月の収益が出た。前月比三十五パーセント増。三か月連続の収益向上。
「三か月続いた」と霧島さんが言った。「一度達成しただけじゃなくて、継続している」
「仕組みを作ったので継続します」と俺は言った。「次の段階に進みます」
「次は?」
「担当ダンジョンを増やす申請をします。今の一か所で収益向上の実績ができた。これを根拠に、もう一か所の担当を申請できます」
「書類が増える」と霧島さんが言った。
「増えます」
「……やります。でも少し覚悟させてください」
「十分です」
担当ダンジョン追加申請の書類を作り始めた。実績データ、今後の管理計画、収益予測。三か月分の記録が、そのまま申請の根拠になった。




