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上位存在の下請けを押し付けられたら、世界一マナが集まるポジションだった  作者: ヲワ・おわり


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13/48

第13話 収益最適化

※本作は第70話で完結予定です。

※毎日5話ずつ、07:00 / 12:00 / 18:00 / 21:00 / 23:00 に投稿予定です。

※もし続きが気になったら、評価で応援いただけると励みになります。

 全フロアの最適化に一週間かかった。


 第十七Aダンジョンは全十二フロアで構成されていた。各フロアのモンスター配置を、攻略者のランク帯と行動パターンのデータを参照しながら調整した。「ちょうど苦戦する難易度」を維持しながら、マナ消費量を最大化するポイントを探った。


 宮代が毎日現地に行き、変化を確認して報告してきた。


「B4が少し難しくなりすぎてます。攻略者が撤退し始めてる」


「B4の東エリアの配置を戻します」


「B7は今がちょうどいいです。みんな苦戦してるけど誰も死んでない」


「B7の設定を記録します。他のフロアの基準にします」


 霧島さんが週次収益レポートを出してきた。


「……前月比、二十二パーセント増加してます」


「想定より少し上振れしましたね」と俺は言った。


「二十二パーセント……神崎くん、これすごいことなんじゃないの?」


「悪くはないです」


「悪くない? 前月比二十二パーセントが? 前任者は毎月マイナスだったんだよ」


「マイナスは管理をしていなかったからです。管理をすれば上がります」


 宮代が「管理するだけでここまで変わるんですね。ダンジョンって」と言った。


 アルダからの定例連絡が来た。


「今月の収益向上について報告を受けた。方法を説明してください」


「モンスター配置を調整して、攻略者のマナ消費効率を上げました」


「……それは管理権限内の操作ですが」とアルダが言った。少し間があった。「こんな使い方をした担当者は初めてです」


「問題はありましたか?」


「……ありません。継続してください」


 通信が切れた。


「アルダさん、口調が変わりましたよ」と宮代が言った。「観察眼スキルとは違うけど、声の感じが。最初より少し……丁寧になってる気がする」


「そうですか」


「神崎さんは気づきませんでした?」


「気づいてはいましたが、方針に影響しないので」


 霧島さんが「……でも意味があることだよ」と言った。「アルダさんが口調を変えたってことは、見方が変わったってこと」


 そうかもしれなかった。


 翌週、飯塚が来た。


「なんかダンジョンの雰囲気が変わってるんだが」と飯塚が言った。「B4が前より歯ごたえある。なんで?」


「モンスター配置を調整しました」


「……お前が変えたのか?」


「はい」


「管理局の人間がダンジョンをいじれるとは知らなかった」と飯塚が言った。驚いているようだった。


「管理権限内の変更です。問題はありましたか?」


「問題というか……なんか妙に手ごたえがある。悪くはない」


 宮代が後で「飯塚さん、怒ってないですよ。驚いてる」と言った。「観察眼スキルで表情を見てたんですが、困惑と……なんか、認めてる感じが混じってました」


「どちらでもいいです」と俺は言った。


「気にしないんですか?」


「飯塚さんがどう思うかより、数字の方が重要です」


「それはそうですけど」と宮代が笑った。「でも飯塚さんが認めるのって、珍しいことだと思うので」


 翌日から、二か所目の経費申請を準備した。業務学習資料の購入。管理スキルの専門書と、ダンジョン設計に関する資料。承認事例が一件あるので、今度は通りやすいはずだ。


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