↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/14

第四章 仁義の果てに

月明かりの下、資材置き場に緊張が走る。

僕は拳を握りしめ、親分・大田 仁はドスを構える。


だが――。


【スキル発動:喧嘩上等 Lv.5】

ダメージを受けるほど攻撃力が上昇します。


【スキル発動:仁義 Lv.3】

信じる者のために戦う時、能力が大幅に上昇します。


「なっ……親分もスキル持ち!?」


驚愕する僕をよそに、大田の体が赤黒い闘気に包まれる。

その迫力は、まさに“修羅場を潜った侠客”のそれだった。


「若造ォ! シノギに首突っ込んだなら、命懸けで通してみせろやァ!」


ドスが閃光のように走る。

僕は直感回避でギリギリ躱すが、頬に血が滲む。

坑道で鍛えた力を込めて拳を叩き込む――だが、仁義スキルに強化された大田はびくともしない。


(クソッ……力の差がデカすぎる……!)


必死にアイテムボックスを駆使し、炭鉱用のスコップやツルハシを取り出して応戦する。

だが、大田は「喧嘩上等」で傷つくほどに強さを増していく。

やがて僕の体は血と煤にまみれ、膝をついた。


「……クッ……これで……終わりか……」


大田がドスを振り上げる。

群衆が息を呑んだ、その瞬間――。


「……だが俺は、街を守るって約束を、最後まで通すぞ!」


フラフラになりながらも立ち上がる僕。

ドスに素手で挑むその姿は、もはや無謀だった。

だが――その眼差しは決して折れていなかった。


◆◆◆


ドスが振り下ろされる直前。

――ピタリ、と止まった。


「……ほぅ。仁義を通すか。テメェ……気に入った」


ドスを引き、笑う大田。

その顔は、戦う前よりもずっと晴れやかだった。


「若造。名は?」

「……ただの炭鉱夫です。みんなからは“若旦那”って呼ばれてますけど」

「ハッ! 面白ぇ! 俺と五分の兄弟にならんか?」


群衆がざわめく。

親分・大田 仁が、敗れたはずの若造に兄弟盃を差し出すなど、誰も想像していなかったのだ。


「……俺と五分の兄弟盃を交わせば、この筑豊は半分お前のシマだ」

「大仁会を……俺に預けるってことですか?」

「そうだ。お前の仁義に惚れた。炭鉱の街のために、俺と並んで立て」


◆◆◆


杯が差し出され、静寂が包む。

僕は震える手でその杯を受け取った。


――こうして、炭鉱夫から成り上がった一人の若者は、筑豊を動かす侠客と五分の兄弟盃を交わすこととなった。


それは、炭鉱街の運命を大きく変える第一歩でもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。