第二章 黒いダイヤで築く夢
炭鉱夫として働き始めて数か月。
僕の給金は、普通の若者の三倍を超えていた。
掘れば掘るほど高品質の石炭が出てくるからだ。
「お前さん、今月もすげぇなあ!」
「……どうやってるんだ?」
仲間たちは不思議そうにしていたが、僕は笑ってごまかす。
――アイテムボックスとスキルのことは、絶対に秘密だ。
◆◆◆
炭鉱住宅の長屋に住んでいると、街の生活がよく見えてくる。
子どもたちは裸足で走り回り、母親たちは配給された米でやりくりし、男たちは酒と博打で給金を溶かす。
炭鉱の街は活気に満ちているが、どこか貧しさと危うさが漂っていた。
(ただの贅沢に使うんじゃ、二度目の人生がもったいない……)
僕は考えた。
――金を使って、この街を変えてやる。
◆◆◆
最初に投資したのは「炭鉱住宅の食堂」だった。
給金を出して設備を整え、食料を買い込み、腹いっぱい食べられる場を作った。
するとどうだろう。
「兄ちゃんのおかげで、子どもが元気になったよ!」
「こんなに米が食べられるなんて……ありがたい!」
街の人々が次々と頭を下げる。
僕はただ苦笑するしかなかったが、心の奥では確かな手応えを感じていた。
◆◆◆
次に始めたのは「金融」。
博打で身を崩す炭鉱夫は多い。
そこで僕は「無利子の貸付」と「代わりに労働で返す仕組み」を作った。
借金で首が回らなくなった男たちが、僕のもとで働き始める。
石炭の仕分けや運搬を任せれば、さらに効率が上がり、僕はますます儲かった。
――気づけば、街の人々は僕を「若旦那」と呼び始めていた。
◆◆◆
ある夜。
酒場で盃を傾けていると、炭鉱主の一人が近づいてきた。
「君……妙に金回りがいいらしいな」
「ええ、まあ。ちょっと運が良かっただけですよ」
炭鉱主の目は笑っていなかった。
だが僕は怯まない。
――これはただの運じゃない。
スキルと知恵と、そして未来を知っている僕だけの武器だ。
(よし……次は、この炭鉱主たちを相手にしてやる)
僕の成り上がりは、まだ始まったばかりだった。




