第一章 坑道の中で目覚めた力
昭和二十年代、田川の街は石炭で沸き立っていた。
石炭は「黒いダイヤ」と呼ばれ、日本の復興を支える原動力。
だが同時に、それは男たちの命を削り取る過酷な現場でもあった。
――そんな時代に、僕は転生してしまった。
しかも炭鉱夫の見習いとして。
「おい、新入り! ランプ持っていけ!」
怒鳴られて反射的に受け取ったランプ。
その瞬間、僕の視界に浮かび上がる見慣れぬ文字列。
【スキル:坑道鑑定 Lv.1】
坑道の安全度を可視化できます。
【アイテムボックス】
無限に近い収納空間。時間停止機能付き。
(……は? ゲームかよ!?)
現代知識どころか、まさかのチートスキルまで。
試しにそっと坑道の壁へ視線を向けると――
【炭層:高品質石炭(熱量6500kcal)/掘削効率:◎】
「……これ、めっちゃ掘りどころじゃん」
普通なら手探りで進む坑道も、僕には一目で分かる。
さらに掘り出した石炭をアイテムボックスに入れれば、酸化も崩落も関係なし。
つまり――安全かつ効率的に、他の誰よりも掘り出せる。
その日から、僕の快進撃が始まった。
◆◆◆
「おい、あいつ……一人でどんだけ出す気だ!?」
「まるで石炭の神様に導かれとるみたいやな……」
現場監督や仲間たちがざわめく中、僕は黙々と掘り続けた。
事故を未然に防ぎ、最高品質の石炭を山ほど運び出す。
給金は跳ね上がり、やがて上層部の目に止まる。
(よし、この力を使えば……)
僕は決意する。
ただの一労働者として終わるのではなく、炭鉱主や政治家たちと渡り合い、
「炭鉱の未来」そのものを変える存在になってみせる。
歴史上避けられなかった閉山や事故。
あの悲劇を、僕の力で乗り越える。
坑道の奥で、ランプの炎がゆらめいた。
それはまるで、新しい時代の火種のように――。




