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旅路前

恭頌新禧、なんてめちゃくちゃおしゃれに言ってみますが、明けましておめでとうございます!(めちゃくちゃ遅い)

本年もよろしくお願い致します!

「――なるほど、そんなことが……」


 課長が帰宅し、子供達と団欒で夜ご飯を食べている最中、俺は先ほどの事を話した。

 オウミさんは自分の部屋に戻り、ヒノタテさんはオウミさんを追ってこの場には居ない。

 隣でどんな展開が広げられてるのだろうと心配になるが、大きな物音がしないあたり、穏便に話し合いという名の説得が続けられていると思いたい。


「ああ、そういう訳で花宮殿にも了承を得なければならない」


 アレイスターさんが課長にそう言う。

 ヒノタテさんがオウミさんを説得するなら、アレイスターさんは課長を、ということなのだろうか。

 子供達に囲まれながら食事をする課長はその後ろで立ったままのアレイスターさんを見上げた。

 二人の視線が交わる。そこでは恐らく、高度なやり取り……言うなれば思惑みたいなのが交錯し合っているのではないか。それだけ真剣な眼差しの応酬が直ぐ側で見守っている俺からでも分かる。


「……確かに、慶志郎の有給は有り余っています。普段から言わないと全く取らないので」


 少し考える素振りを見せ、課長がそう言いながら俺を見た。

 少し呆れているというか、諦めているというかそんな顔をしている。

 いや、まあ、だって、休み取ってまでどこか行ってみたいも、何かしたいもなかったし、無趣味で一人って案外寂しい……


「だとすれば、直ぐにでも行けるというわけか」

「……そう、ですね」


 俺が少し落ち込んでいるとアレイスターさんが課長に何やら確認していたが……ん?


「では花宮殿、直ぐにでも慶志郎を借りるぞ」

「あ、ああ、事情が事情なら仕方ない」

「えっ!? ちょっと待って下さい!」


 俺を余所に俺の事が決められている。

 阻止するため、すかさず俺は二人に割って入った。


「どうした慶志郎」

「いや、いやいや! どうしたもこうしたも無いですよ! いくらなんでも急過ぎません!?」


 俺の問いに何言ってんだこいつ、みたいな顔をアレイスターさんがする。

 多分俺の反応の方が当然で当たり前だと思うが、何だこいつ……。

 そんな思考を読んでかアレイスターさんが言う。


「お前、こいつらを此処に置いておくわけにもいかないだろ」


 アレイスターさんの視線の先にはヒタキとアカビを捉える。


「わらひはまだいてもいーよ!」

「ヒタキ、食べてる最中にしゃべるの良くないよ」

「んっ……ごっくん……だってこんな美味しいもの食べた事無い!」

「まあ、それは、確かに……」


 ヒタキとアカビはご飯に夢中でそれどころではない。

 大人びて見えるアカビもご飯には勝てないようだ。飯が美味さには逆らえないというのはどうやらどこの世界も同じらしい。


「えーっ!? ふたりとももういっちゃうの?」

「ルフちゃん、お姉ちゃん達は行かなければならないのだ」

「ヒタキ、言い方……でも、こればかりは仕方ない」

「えー、でもルフ、いっぱいなかよしになりたいよ?」

「ルフ、この子達は遊びに来たんじゃないの」

「ルフちゃん、また今度いっぱい遊んでもらおうね」


 ルフを竜華とラウちゃんが嗜める。

 さっきの発言といいルフはどうやらヒタキとアカビを気に入ったらしい。寂しそうに二人を見ている。

 そんなルフに近寄り、俺はくしゃりと頭を撫でた。


「お兄ちゃん? ……ふみゃ!?」

「すぐまた会えるさ。そのために俺が行ってくるんだ」

「ほんとに? またすぐあえる?」

「うん、大丈夫。任せて」

「ふみゅ! わかった!」


 そして気持ち良さそうにルフが甘えた声で俺にされるがままに撫でられ続ける。


「まあ、こんな二人を見ていたら、私がどうこう言える立場にはないよな」


 俺達のやり取りを課長が微笑みながら、それでいて少し羨ましそうに見ながらそう言った。


 最早、俺の旅路を阻むものは無くなった。

 俺ももう覚悟は決めている。後は……


「アレイスターさん、そういえばどうやって行くんですか?」

「ん……ああ言っていなかったか。ふむ、そうだな――」


 疑問だった。

 ルフは親父が連れてきたからあまり考えてもなかったが、竜華もラウちゃんも、オウミさんも――皆、どうやって行き来していたのだろうと。

 何か特別な力があるあたり、そういう力があっても可笑しくはないが……と、思えるほどには俺も色々と毒されている。


「その時が来るまで楽しみにしていろ。何、期待は裏切らんさ」


 少し考えた素振りを見せたアレイスターさんがにやりと笑い、そう言った。

 見るに、あれは絶対に良くない事を考えているに違いない。


「うげーっ! アレイスター様……」

「ヒタキ、顔」

「だってアーちやん!」

「言いたいことは分かる……」


 だって見るからにヤバい顔をしているヒタキと、うんうんと頷くアカビが全てを物語っている。

 これはもしや……とんでも無い事に巻き込まれようとしているのは明らか……!


 ヤバい、早くも不安になってきた……

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