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強情

更新が出来てなくて申し訳ありません。まじで時間が無くて気付いたら年明けそうになってます。

「ま、待て、慶志郎! 私はまだ良いとは言っていない!」


 俺の決断にオウミさんが異を唱える。

 どうやら断固として俺を行かせたくないようだ。


 気持ちは分からんでもない。寧ろ、オウミさんからしたらそれが当然の行為である。

 何故ならオウミさんは俺を大事に思ってくれているから。それ故の懇願なのだ。

 俺の事を心配してるからこそ言ってくれている。それは分かっている。分かりきっている。


 でも、それよりも今は……行ってみたい。いや何故だか行かなければならないような気がしてならない。

 ルフの言葉を鵜呑みにするわけじゃないけど、会える気がして――会わなきゃいけない気がしてならない。


 この自分でも不確かさしかない言葉を伝えるため、俺はオウミさんを見る。

 オウミさんが俺を止めるように、俺もまたこの人を説き伏せなければならない。


 泣きつく真似を止めたオウミさんの強い目が俺を見据えていた。

 絶対に行かせまいとするその目に俺の決意なんぞ簡単に揺らぎ、たじろぐ。


「オウミさん、俺……」

「――オウミ、お前腑抜けたな」


 俺が言葉を詰まらせていると、背後から静かに、しかしながら鋭く尖ったような攻撃性を孕んだ声がオウミさんに投げ付けられた。


「何……?」


 ヒノタテから矛先を向けられ、オウミさんもまた睨み返す。

 大男を前に一歩も引く事無く、凛々しく見上げ、睨む姿はいつものオウミさんとまるで違う。殺気をむき出しに放っているのは本当に腹が立っているのか、或いは――


「私が腑抜けだと……ほう、お前が言うようになったな」


 凄みを利かせたオウミさんの睨みがヒノタテを襲う。

 しかしヒノタテはさも平然とそれを受け止め、オウミさんに言葉を返す。


「男が決めた事にグチグチと文句を言うな。お前は過保護過ぎる」

「ヒノタテ……ッ!」


 互いに譲らないまさに一発触発の雰囲気。

 その醸し出された空気に当てられ、嫌な汗が伝う。

 こんな戦闘狂のような二人の間に割って入るのは嫌だ。

 だが誰かが止めねば最悪の惨事が目に見えている。その誰かが何処を見渡しても俺しかいなかった。

 事の発端であるアレイスターさんなんかもう他人の喧嘩を見ているくらいに二人に興味を失くしているからな!

 かと言って、まだちっちゃい二人に頼るなんぞ出来やしない。


 だとすればもう仕方が無い。この戦場のど真ん中に入る覚悟を決める。

 限りなく低いが断らなかった俺にも責任の念はあるのかもしれないからな。限りなく、限りなく少ないが。

 それに――この話を聞いた時、ルフから言われた時、俺の中の燻っていた下心が芽生えてしまったのは事実なのだから。


「オウミさん、俺は大丈夫ですから」

「慶志郎! お前の気持ちも分からんでも無い! だが、お前は何もかも甘く考えすぎている!」


 言われなくても知っている。

 だけどここで素直に引き下がるような覚悟なら俺は最初から言い出していない。

 もしかしたら俺って意外と強情なのかもしれない。誰かと似て――


「大丈夫ですって! ちゃちゃっと行って、すぐ帰ってきますから」


 それらの感情も今は包み隠して軽い言葉を口にした。

 その時のオウミさんの感情は表情からは読めなかった。

 怒っているのか、はたまた呆れてるのか、それとも別の何かか――


「〜〜ッ! それがお前の考えならもういい! 勝手にしろ!」


 そう言い残してオウミさんは踵を返して去っていく。

 その背に何も言い出せなく、ただ呆然と見つめることしか出来ないのは俺の心の弱さだ。


「安心しろ、光志郎の息子。オウミの事は俺に任せておけ」


 ゴツくデカい手が俺の肩に置かれた。


「あいつは少しばかり過保護な面がある。小さい頃を知っているお前には尚更な」


 行き場の無い視線で見上げると、穏やかな目をした竜と目が合った。

 その目がふっ、と笑う。

 何故だろうか、あれだけ警戒していたのに、この人が言うならきっと大丈夫だと思い込んでしまう。

 まさに武人、竜華から聞いていた印象からは遠く離れている。


「ヒノタテ……さん、お願いします……」

「ふっ、任せておけ。こう見えてオウミとは昔から付き合いが長い。相対する事もこれが初めてではない。色々とな」


 言葉に含みがあったような気はするが、任せられる気がする。


「あぁ、お前と先生は昔から反りが合わなかったからな」


 アレイスターさんが何やら口を挟むが……大丈夫だと思われる。うん、大丈夫だと思う。


「どの口が言う。昔は俺やお前、ダイエンとシロトラ――皆が皆、オウミの言う事なんぞ聞いていなかったであろう」

「だが、俺は違う。あの時からお前達のように先生を困らせることはもう止めた。お前達は悪い子、俺は良い子」

「お前、オウミの目の前で、その言葉もう一度言ってこい。絶対に頭抱えるぞ」


 ……本当に任せても大丈夫なんだよな。不安になってきた……

短く、あまり話が進んでないですが年内までに一話だけ投稿させていただきました。

皆様たくさんお世話になりました。ありがとうございます!

また来年もご贔屓に! 良いお年を!

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